ショールーミング&アマゾンチェック対策
売り手にとって今、
最も悩ましいネットの消費者行動は2つあります。
(現実には、両者を組み合わせたものになることが多いのですが)
ひとつは、リアル店舗で品定めだけして、
購入はオンラインで行なう「ショールーミング」。
もうひとつは、通販カタログや様々なECサイトの
セール品を衝動買いするのではなく、アマゾンなどで
同一品・同等品の価格を比較して、最安値のサイトで
購入する「アマゾンチェック」です。
「ショールーミング」は、
リアル店舗において悩みの種。
しかも、スマホの浸透により、店頭でさらに簡単に
オンライン価格を調べることができるようになったので、
「ショールーミング」
はますます加速することが予測できます。
リアル店舗では、地代・家賃、光熱費、人件費など、
ネットと比較しても多額の維持運営費が必要です。
したがって、ネットほどの「安値」を打ち出すことは
なかなか難しい。店頭価格をネット価格に無理やり
合わせるお店もあるようですが、利益を削るだけの話。
また、「ポイントカード」が、
ショールーミング対策のひとつとして採用が
推奨されているようですが、ネットでも類似の
ロイヤルティプログラムをやっていれば、
あまり効果ありませんね。
現状、リアル店舗において有効なショールーミング対策は、
・オリジナル商品(プライベートブランド)開発
・既存商品のコーディネート、カスタマイズ提案
・接客サービスの向上
といったことになるかと思います。
一方で、
「アマゾンチェック」
(私が勝手にそう名づけました)
は、リアル店舗に加えて、
カタログ通販、テレビ通販、ECサイトなどに
とっても悩ましい行動です。
私もつい最近、ある通販カタログでいいなと思った
商品があり、購入しようしたんですが・・・
「ちょっとまてよ、いちおうアマゾンで同一品が
あるかもしれないから調べてみよう!」
とブラウザーを立ち上げたら、
やっぱり同一商品が見つかりました。
しかも、カタログ価格よりも1,000円も安かった。
送料も無料となれば、カタログ通販を利用するような
アホなことは誰もしないでしょう。
なお、「アマゾンチェック」といっても、
実際には、商品カテゴリーによっては
アマゾンだけでなく、楽天、そしてカカクコム
なども当然チェックするわけです。
要するに、もはや「安い(かも)」と思わせて
衝動買いさせるのはますます難しくなっており、
「同じ商品なら安いほうがいい」
とネットを調べまくる消費者を売り手は相手に
しなければいけないのです。
では、アマゾンチェック対策はどうしたらいいのか
ということですが、やはりショールーミング対策と同様、
・オリジナル商品(プライベートブランド)開発
・既存商品のコーディネート、カスタマイズ提案
に取り組むことでしょう。
昔のように、問屋から商品を仕入れて並べるだけの
安易な小売商売はできなくなったということです。
なお、ECサイトについて補足すると、
リアル店舗では可能な、
・接客サービスの向上
が実質的にはできません。
(ヴァーチャルにはある程度可能だけれど)
したがって、別の方法でのECサイトの「利用体験」、
すなわち
「ユーザーエクスペリエンス」
の充実がポイントになってくるように思います。
では、具体的にどうすればいいのか、
なかなか即答は難しいですが、
大事なのは、
「楽しい気分」や「ワクワクする気分」
にさせることでしょう。
感情的に高揚すると、
多少の価格差は気にならなくなる。
つまり、財布のひもがゆるむのです。
リアル店舗の例になりますが、
「ドン・キホーテ」
の店内を見て回るのは、
楽しく、ワクワクする気分をもたらして
くれるものです。
そして、欲しい商品を見つけて、
「ネットでも購入できるかも?」
と思っても、ついついその場で
購入してしまう。
それは、ドンキが
「楽しいユーザーエクスペリエンス」
を店舗で提供できているから。
アマゾンチェックにやられないためには、
ECサイトでも、ドンキのような
「楽しいユーザーエクスペリエンス」
をオンラインでどうやって実現するか、
とことん頭を絞らなければなりません。
投稿者 松尾 順 : 2012年09月07日 10:55
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