知的かつ芸術的活動
現在取り組んでいる、
「英語で学ぶベーシック・マーケティングリサーチ」(2月27日)
の講義資料づくりの参考本のひとつとして、
『Marketing Research Kit for Dummies』
を採用しています。
本書によれば、
“マーケティングリサーチは、知的かつ、芸術的活動である。”
Marketing research is both an itellectual and Artistic activity.
とのこと。
マーケティングリサーチが、
「知的(Intellectual)」
であるのは当然として、
「芸術的(Artistic)」
でもある、と書いてある日本のリサーチ本は、
私の知る限りありません。
なぜ、知的かつ芸術的活動なのでしょうか?
前掲書では、次のように説明されています。
(英文は省略します)
“マーケティング上の問題を解くためには、
必要な情報を取得し、それを適切に解釈しなければ
ならない”
“それには、創造性、芸術性、そして注意深い思考が
必要とされるのだ”
マーケティングリサーチにおいて、
とりわけ「創造性」や「芸術性」が必要となるのは、
調査結果の「解釈」の段階においてです。
もちろん、どんなデータが必要なのか、そして、
そうしたデータを正確に取得するために、どんな調査方法が
適切かといった調査の「企画」段階においても、深い知識と
経験に基づく創造性や芸術性が役に立ちます。
しかし、分析結果の「解釈」ほど、
創造性、芸術性が必要とされる段階はありません。
なぜなら、ひとつの結果から多様な解釈ができるため、
ある意味曖昧で、解釈者の「主観」に大きく左右されるからです。
非常に単純な例ですが、
ある製品の認知率が35%という結果に対して、
「35%‘も’認知率があるのか」
「35%‘しか’認知率がないのか」
という真逆の2つの解釈が可能ですよね。
この場合に、‘も’なのか、‘しか’のどちらが
適切な解釈なのかは、データそのものでは判断できず、
市場環境や消費者意識など、データ以前の
「環境・背景情報」や「歴史」、さらには
分析者の「経験」など基づいて行なわれるものなのです。
ですから、論理的な推論に基づいて明快な「解」を
求めることのできる科学の枠を超え、芸術の領域に
踏み込まざるを得ないことがおわかりでしょう。
まあ、マーケティングそのもの、経営そのものが、
科学であり芸術です。
科学、芸術の両輪をうまく回す必要がある。
これは、人、人で構成されている社会を相手に
している以上、心得ておくべき要諦と言えます。
以上は、昨晩のFBページ・ノートに
書いた内容をもとに再考してみました。
*Marketinglishページ・ノート:
Marketing Researchはどんな活動か?
投稿者 松尾 順 : 2011年02月15日 12:20
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