「カチッ・サー理論」で、でんかのヤマグチを読み解く
マスコミでも頻繁に取り上げられる
驚異の街の電器屋さん、
「でんかのヤマグチ」
のことは、私のメルマガ&ブログでも
何度か紹介していますが。
同店の最新の状況は、
販促会議(2011年2月号)の記事で
把握することができます。
町田市郊外にある、
売場面積500平方メートルの同店の年商は
12億8800万円(2010年3月期)。
従業員数は42人(うちパート8人)です。
粗利益率はなんと38.9%!
年々粗利益率が高まっているようです。
これだけの粗利を取るわけですから、
店頭販売価格は、近隣の大手家電量販店よりも
数万円高い。カカクコムの最安値と比較したら、
2倍近くになることもあるようです。
また、同店はパナソニック系列店として、
「ハイビジョンテレビを一番売る店」
なのだそうです。
さて、同社が成功するきっかけとなった
最初の要因は、
「お客がうちを選ぶのではなく、
うちがお客を選ぶ」
という戦略転換にあります。
同店のきめ細かなサービスを喜び、
繰り返し買ってくれる顧客にターゲット
を絞り込んでいるのです。
具体的には過去5年間、
商品を購入していない顧客を削除しており、
現在の顧客リストの数は12,000人です。
以前の記事によれば、
戦略転換前の顧客リスト数は3万4千人
だったそうですから、現在は3分の1以下まで
減らしたわけですね。
では、でんかのヤマグチが成功し続けている
最大の要因と考えられる点を、
「カチッ・サー理論」で読み解いてみましょう。
「カチッ・サー理論」は、お客さんが
自然に財布の紐をゆるめてくれるような
心理的スイッチをまとめたものです。
(詳細は末尾の記事URL参照)
実は、同店が活用している「カチッ・サー理論」は、
徹底した「返報性」だと考えられるのです。
「返報性」とは受けた恩義に対しては、
将来報いなければならないという心理のこと。
まず、同店では土・日にお客さんを
呼んで旬の特産品を無料プレゼントしています。
例えば、11月は「だんしゃく祭り」。
男爵いも、たまねぎそれぞれ2キロを
お客さんに持ち帰ってもらいます。
お店では、いもをゆで、塩、バター、キムチ
などを用意して、その場で食べてもらえるように
設営してあります。
過去32年間にわたって続けているこのイベント。
月5回開催して、1回あたり400世帯が来店するそうです。
また、同店は、
無料でモノを提供するだけではありません。
本業とは関係のないこと、また直接売上につながらない
ことでも、お客さんが困っていること、望んでいること
なら、営業担当者が喜んでやってあげる。
同店では、こうしたサービスを
「裏サービス」
と呼んでいます。
ちなみに、先日ご紹介した電器屋チェーン、
「セブンプラザ」では、同様のサービスを
「めんどうみ活動」と呼んでいますね。
同店では、電球の取り替えなどは当然として、
犬の散歩とか、留守番、そして、最近、包丁を研いで
あげたら好評だったとのことで、昨年10月から、
営業担当者は全員、「包丁研ぎ」を持ち歩いている
そうです。
こうして、とことんお客様のために尽くす。
すなわち、商品を売る前に、
たっぷりの「恩」をお客さんに売っているわけです。
結果として、お客さんとの絆が深まり、
同店の商品を喜んで買ってくれる。
返報性って、考えてみれば、
昔から言われてきた「先義後利」なんですよね。
ただ、利益をまず前提として考える企業では、
「まずお客さんに尽くす」ということがなかなか
実行に移せません。
大手企業では規模的に、また人的サービスの点から
みてもまず無理です。
しかし、顧客を思い切って絞り込める
中小規模なら対応可能です。
中小企業の生き残りのカギは、
カチッ・サー理論の中でもとりわけ
「返報性」
を重視することなのかもしれません。
投稿者 松尾 順 : 2011年02月09日 16:51
トラックバック
このエントリーのトラックバックURL:
http://www.mindreading.jp/mt/mt-tb.cgi/1219
このリストは、次のエントリーを参照しています: 「カチッ・サー理論」で、でんかのヤマグチを読み解く:
» payday loan from payday loan
デイリーブログ『マインドリーダーへの道』 [続きを読む]
トラックバック時刻: 2013年06月09日 09:46
» www.iherb.com from www.iherb.com
「カチッ・サー理論」で、でんかのヤマグチを読み解く [続きを読む]
トラックバック時刻: 2013年12月09日 08:46
» relevant resource site from relevant resource site
「カチッ・サー理論」で、でんかのヤマグチを読み解く [続きを読む]
トラックバック時刻: 2014年02月07日 08:24
コメント
コメントしてください