シャープの環境広告
昨年末、アサツー・ディケイの
シニア・クリエイティブディレクター、安井仁志氏
の講演を聴く機会がありました。
安井氏は、シャープ、ロッテ、ゆうちょ銀行などを
担当されていますが、お話の中で特に印象に残ったのが、
シャープの「環境広告」でした。
シャープが「環境広告」を開始したのは2003年。
「環境先進企業になりたい」が目的でした。
企業のイメージについての2003年当時の調査結果では、
「環境先進企業」のイメージを持つのは、トヨタが
ダントツの一番。
ハイブリッドカーの「プリウス」のおかげです。
次いで2位はホンダ、3位はイオングループといった
順位だったそうですが、家電業界の企業は10位にも
入っていない状況でした。
2003年はまだまだ「エコ」は特別なもので、
ようやくゴミの分別収集が始まったくらい。
よほど意識の高い人でないと関心をあまり持たないし、
生活の中で実践する人も多くはなかったのです。
そんな時期にいち早く「環境先進企業」という
企業イメージを確立しようと考えたシャープは、
さすがに「目のつけどころがシャープ」であったわけです。
さて、シャープでは、モノを売るための広告ではないので、
3年-4年かけてじっくりとそんなブランドイメージを
形成していくという基本姿勢を持っていました。
ですから、広告を担当した安井氏も、
イメージ(トーン&マナー)の一貫性を維持するため、
監督やナレーター(吉岡秀穂)は変えない、また
各種広告にはタレントではなく、猫のミーヤと
犬のジョージを起用し続けました。
「ネコです」
というイントロで始まるシャープのコマーシャル、
覚えてますか?
結局、この環境広告は4年間にわたって継続されたのですが、
4年後にどうなったかというと、「環境先進企業」という
イメージを持つ企業として、シャープは、トヨタ、ホンダ、
イオンに続く、第4位にエントリーするに至ったそうです。
家電業界だけで見ると、ダントツの1位になりました。
近年、広告も「売りにつながらなきゃしょうがない」
みたいな風潮が強くなってますけど、シャープのように、
ブランドイメージ向上のために「投資」的発想で広告に
取り組んでいる企業があることを忘れてはいけないですね。
(トヨタ、ホンダ初め、他の多くの大手企業もそうですよ)
投稿者 松尾 順 : 2011年01月11日 09:16
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