未来予測は当たるのか?
先日、日本能率協会総合研究所、
マーケティング・データ・バンク主催の
『未来予測セミナー』
を受講しました。
当セミナーは大変充実した内容で、
今後の世界、また日本を変えていくであろう、
「大きな潮流」
を再確認するよい機会となりました。
具体的な内容については、
今後、折に触れご紹介したいと思っています。
さて、そもそも、
未来予測って当たるんでしょうか?
実際のところ、
「大きな潮流」
については、
その変化の「芽」が多少なりとも
地面から顔を出していることが多いので、
ほぼ確実に当たります。
(「芽」に気づかない人も多いですが・・・)
しかし、
「個別業界や個別商品の先行きがどうなるか」
について言えば、
正確な予測は極めて難しいのが現状です。
というのも、
確実なひとつの収束点というものはなく、
たいていは複数のシナリオがありえるからです。
しかも、どのシナリオが実際に展開することに
なるのかは、確率的にしか予測できませんから、
結局はその時になってみないとわからないのです。
ですから、もし予測が当たったとしたても、
それはまぐれ当たりに過ぎないと言えるでしょう。
(超能力者を除き・・・)
ただ、そもそも、
「ビジネスにおける予測」
はそれ自体が目的ではありません。
たとえ、複数の「未来シナリオ」があるとしても、
将来の変化に適応して生き残るために、
今から準備しておくべき行動が明確になります。
そして、未来のためにやるべき行動が明確であれば、
あとは、それぞれの未来シナリオが現実化する確率を
踏まえて、優先順位をつけた行動計画を立案し、
早速着手する。
すなわち、予測困難だからこそ、
あえて予測してみることで、
未来に備えるために今から取り組むべき
行動を認識する。
これが未来予測の意義だと言えます。
よく、
「どうせ、未来はどうなるかわからないんだから、
目先のことに全力を注ぐべき」
という方がいますよね。
しかし、こんな人は、今転ばないように、
足下の石ばかりみて歩いているようなもの。
ふと顔を上げたら目の前は断崖絶壁だった!
どんづまりにいて、もはや後戻りもできない!
という事態になりかねませんよね。
足下の石ころに気をつけるのも大切ですが、
同時に、遠く水平線を見渡して、自社(自分)が
どんづまりの道を進んでいないかを常に確認する
ことも必要なのです。
要するに、これが未来予測をやる意義です。
ところで、変化には次の3種類があります。
---------------------------------
(1)パラダイム的変化
場・価値基準が短期間に大きく変化するもの
(ex.ガソリン自動車→電気自動車)
(2)構造的変化
一方向に進むが、新しい局面を生み出すもの
(ex.ノートPC→ネットブック)
(3)循環的変化
波状、元に戻る性質のあるもの
(ex.景気循環)
---------------------------------
そして、上記3種類の変化に対して、
企業が取るべき適応戦略の基本方向は以下の通り。
・パラダイム的変化 ←新しい競争条件の予見と革新準備
・構造的変化 ←ニーズギャップの調整や次世代製品
・循環的変化 ←生産調整やカイゼン
現在、私たちは昨年秋のリーマンショックに端を発した
世界的景気低迷期から少しずつ回復しつつあります。
これは、循環的変化ですね。
しかし同時に、
明らかにパラダイム的変化にも直面しています。
パラダイム的変化にはいくつかありますが、
その中で最も看過できないのはやはり、
地球温暖化や地球資源枯渇といった
「地球環境問題」
でしょう。
このパラダイム的変化は、
既に私たちの消費行動にも大きな影響を及ぼし
はじめており、企業は早急な適応戦略を立案し、
行動する必要性を感じはじめています。
というわけで、我田引水ですが、
INSIGHT NOW!さんの主催で、
『ソーシャル消費時代の適応戦略(製造業編)』
という勉強会を開催することにしました。
ご興味・ご関心のある方はぜひご参加ください!
*本文中、3種類の変化については、
『未来予測セミナー』の内容を参考にしました。
講演者の安部忠彦氏(富士通 研 取締役)、
および、清水克彦氏(東京創研 取締役)には、
この場を借りて御礼申し上げます。
*日本能率協会総合研究所
マーケティング・データ・バンク
http://www2.mdb-net.com/
*富士通総研
http://jp.fujitsu.com/group/fri/
*東京創研
http://www.tokyosoken.com/
『未来予測2009/2019』
~大不況後の事業戦略立案のための基礎資料
投稿者 松尾 順 : 2009年09月30日 14:30
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