飛ぶコンピュータ!

数年前、ISIS編集学校(松岡正剛校長)が主催した

「アイディアコンテスト」

がありました。

これは、某家電メーカーとのタイアップで行われたもの。


テーマは、

「超リモコン」

です。


テレビやエアコンなどに欠かせないリモコンですが、
現在のリモコンを

‘超える’

斬新なデザインや機能を持つリモコンのアイディアを
出すのが当コンテストの狙いでした。


そこで、私が当時提出したアイディアは、
ひとことで言うと、

「鳥(ちょう)リモコン」

でした。

「ダジャレ!」ありきではないのですが、
自分で空を飛べるリモコンなのです。

外見は、オウムくらいの大きさの小鳥。

人と自然文で対話しながら、
人とマシンの仲立ちをしてくれます。

好きな名前をつけて
ペットのように付き合える関係。


既存のリモコンは、
どこに置いたかすぐにわからなくなって
探すのが面倒ですよね。

でも、鳥リモコンは、

“リモちゃん、どこいるの?”

と呼びかければ、

“ハーイ、今行きます、ご主人さま!”

などと答えてすぐに飛んできてくれます。


さて、私の考えた「鳥リモコン」は、
ほぼ実現不可能な

「夢物語的アイディア」

のつもりでしたが、
類似のアイディアの実現にむけて
研究している方がいらっしゃるんですね。

つい最近知りました。


一日中、ウェアラブルコンピュータを身に付け、
頭にはHMD(ヘッドマウントディスプレイ)を
装着しているちょっと変わった先生、ご存知ですか?

時折、テレビなどにも登場されるこの先生は、

塚本昌彦氏(神戸大学工学部電気電子工学科教授)

です。


塚本氏は、見た目はいかにも

マッドサイエンティスト風(ほめ言葉)

ですね。なかなかクール!

そして、塚本氏が推進している

「飛ぶコンピュータ」

の研究も、塚本氏同様、実にユニークです。


同研究には、
ラジコンヘリで知られるメーカー、

「ヒロボー」

も協力しているそうです。


残念ながら、塚本教授の研究室等の
Webサイトでは、当研究の詳細や進捗状況に
ついての情報は少なめです。

しかし、ソフトバンクビジネス+ITでは、
詳しい記事が掲載されていますので
興味のある方はそちらをぜひご覧ください。
文末URL参照)


同記事によれば、現在開発中のものは、

“オリジナルの小型コンピュータに自立飛行用のシステムが
 搭載され、地上のマークを探し出してのホバーリングが可能。
 2メートル司法のスペースがあれば空中に浮遊することができる”

とのこと。

イメージとしては、

“飛ぶコンピュータは、まさしくドラえもんの出す小道具のひとつだ。
 ストーリーの中で、のび太がスネ夫やジャイアンの行動を監視する
 ために飛ばしている「目玉にアンテナが付いているロボット」”

だそうです。

ただし、他人を監視するのではありません。

上空をホバリングしながら付いて来て、
自分自身のための

“第三の目”

になってくれるのが、
塚本氏の考える飛ぶコンピュータです。

具体的な用途ですが、
例えば災害に遭って、生き埋めになった時、
自分の分身である飛ぶコンピュータが、
救助隊にご主人さまの場所を的確に伝えることができます。
(飛ぶコンピュータも巻き添えになってなければ・・・ですが)


あるいは、客観的な立場で。
あれこれ助言してくれる便利なアドバイザー機能を活用。

例えば、朝の身支度時には・・・

「そのスーツなら、ネクタイは赤が似合いますね」
「鼻毛が見えてますよ。切りましょう!」

また、ジョギング中には・・・

「そろそろ止めたいと考えてますね。ダメです。」
「もう少しがんばれば、目標体重クリアですよ!」

などと叱咤激励してくれるでしょう。

ちょっと「うざい」と感じるかもしれませんが、
自分のためでもありますし、特に単身者の方は、
ズバリ直言してくれる配偶者・パートナーが
いませんから、ありがたい存在になるのではないでしょうか。

ヒマで退屈な時には、

「かくれんぼ」

など、遊びにも付き合ってくれます。


塚本氏は次のように語っています。

“(飛ぶコンピュータは)ピーターパンに出てくるフック船長
 の肩に乗っているオウムのような役割を果たすことになる
 でしょう。 ただ、ハードウェアとしての便利さをもたらす
 だけでなく、時には毒舌をはき、時には慰めたり、励ましたり。 
 なくてはならない、かけがえのないパートナーになると思いますね。”


私は、オウムよりむしろ、

ど根性ガエルの「ピョン吉」

を連想しましたけどね。
(わかる人がどのくらいいるかな・・・?)


私は、よりよい人生を生きるために、
私たちがマスターすべき‘最も重要なスキル’は、

「自分を客観視できる力

だと考えています。

これは、しばしば

「メタ認知力」や「幽体離脱力」

とも呼ばれますが、
現実にはなかなかできないものですよね。

ですから私は、

「飛ぶコンピュータ」

の実用化に大いに期待しているのです。


*参考記事

『関西流ベタベタIT商法の挑戦』
(合同会社関西商魂代表、中森勇人氏、
 ソフトバンクビジネス+IT)

夢を実現するナニワのエジソン(前編)
夢を実現するナニワのエジソン(後編)


*飛ぶコンピュータ PROJECT


*塚本昌彦氏関連サイト

Tsukamoto lab.
チームつかもと


*ヒロボーグループ Webサイト


*ISIS編集学校

*関連記事

『メタ認知力を磨け!』

投稿者 松尾 順 : 2009年07月06日 15:46

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