南部鉄器のカラー展開
南部鉄器というと、
黒塗りの鉄びんや急須を連想しますね。
事務所にも、南部鉄器かどうか、
定かではありませんが、
黒塗りの鉄の急須があります。
たしか、鉄器で入れると、
鉄分も取れるんでしたっけね。
手に持ったときのずっしりとした重みや、
渋い黒がなんとも言えず味があります。
さて、岩手県盛岡市の南部鉄器メーカー、
「岩鋳」
では、昭和40年代から欧州へ鉄器の輸出を開始し、
現在、毎年2億円の売上げを持しているそうです。
(日経デザイン、June 2009)
ただ、販売開始当初は全く売れませんでした。
輸出していたのは従来の黒塗りの急須。
売上げが伸びるきっかけとなったのは、
フランス・パリの取扱店に依頼され、
「フレンチブルー」
に塗装した急須の輸出を始めてから。
岩鋳さんとしては、
塗料の開発に2年をかけたものの、
まさか、フレンチブルーの急須が売れるとは、
とても思えなかったようです。
ところが、予想に反して売れ、
他の色のオーダーも寄せられるようになりました。
現在は、さまざまな色の急須を展開していますが、
面白いのはお国柄によって好まれる色が違うこと。
フランスは「フレンチブルー」ですが、
イタリアでは、フェラーリを連想させる「赤」、
ドイツでは、BMWの「ドルフィングレー」が人気。
米国では、ポップな色が好まれるとのこと。
南部鉄器といえば、「黒」というのが相場ですし、
黒以外は、ある意味異端の存在です。
日本人が見たら、
「こんな色の急須、売れるわけないよ」
という先入観がどうしても生まれますね。
しかし、南部鉄器をそもそも知らない外国人に
取っては、黒という先入観を持たない。
青や赤の鉄の急須があってもおかしくはありません。
実際、日経デザインの写真を見ると、
青、赤の急須は、実に色鮮やかで魅力的です。
日本の伝統的な食卓におくと、
浮いてしまいそうですけどね。
単に色を変えるだけ、
といっても一定上の品質に仕上げるには
相当の労力が必要ですが、
思い込みを捨ててカラー展開することで
外国で売れる日本の民芸品っていろいろ
あるんじゃないでしょうか?
投稿者 松尾 順 : 2009年05月22日 16:43
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コメント
連投、失礼いたします。
お国柄で色の好みが違う代表(?)は、自動車でしょうか。
南部鉄器と同じく、アメリカではポップな色が好まれ、日本ではシックな白、黒、シルバーが売れ筋、なんて聞いたことがあります。
しかし、最近は(といってももう何年も前から)女性が運転するようになってでしょうか日本でもポップな色の自動車も増えましたね。
ダイソンの掃除機を参考にカラー展開し、iMacで再生をはかったコンピュータのAppleですが(その後はiPodに引き継がれましたが)コンピュータは、白(黒)、そして最近はシルバー&黒に戻り(?)、カラー展開しない方向に向かっています。コンピュータやITデバイスのデザインにおいて全てのメーカー(もちろんWindowsを含めて)に影響力が大きいAppleの動向は興味深いです。
思いこみを捨ててのカラー展開で成功の可能性がある日本の民芸品・工芸品、
松尾さんなら何にしますか?
陶磁器や漆器、木工品、和紙類、、、んん、難しいですね。
見付けられたら、一緒にプロデュースして販売しましょう(笑)
逆に海外出身の「モノ」を、日本的なカラーで展開するってのはどうでしょうか?
んん、それも難しいですね。。。(笑)
乱文にて。
投稿者 Chrosawa : 2009年05月22日 19:38
Chrosawaさん、連投ありがとう!
日本では、車の色が白や黒が好まれたのは、
無難な色なので下取り価格が高いからだという
ことだったかと思います。
アップルのiMacは一般消費者への展開を狙って
成功したわけですが、最近のシルバー&黒への
回帰は、ビジネスユースを意識してるんでしょうね。
色で遊んでない業界、
探せばいくらでもありそうです。
投稿者 松尾順 : 2009年05月23日 01:57
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