“干物”の知識をもっと食べよう!

「干物」を自分で作ったことはありますか?

そもそも、料理さえろくできない私にはもちろん、
干物を作った経験はありません。

朝食でよく食べてますけど!
干物のアジとか、とてもおいしいですよね。


「干物」って文字通り、
天日の下に魚介類を干(さら)して乾燥させたもの。

鮮度は失われますが、
うまみが凝縮され、長く保存できるようになります。

干物の作り方を調べてみたんですが、
おいしい干物を作るポイントは、

「風通し」

だそうです!

ですから、乾燥した風が吹き込む冬場が、
干物づくりに適しているとのこと。


さて、ベストセラー、

「悩む力」(集英社新書)

の著者であり、政治学者として知られる姜尚中氏は、

“生もの”の知識と“干物”の知識

という言い方をされています。


姜氏の言う“干物”の知識とは、

「古典」

と称される書物のことです。


一方、“生もの”の知識とは、
日々起こっている目の前の出来事などについての
情報やニュースのことです。


姜氏は、

“ビジネスの世界は、言ってみれば「生もの」を扱う世界です。
 何事も鮮度が大事で、すぐに解決しなければいけない、
 ビジネスチャンスを逃してはいけないといったことが
 この世界の常識です”

とおっしゃっています。

そして、

“歴史の大転換期においては、「生もの」の知識やノウハウだけでは
 事足りません。自分たちがどこにいるのかという現状が理解できない
 からです。だからこそ、一見、無駄であるような「干物」の知識が
 求められているのです”

と古典を読むことの重要性を説いています。


とはいえ近年、
膨大な情報がネットを通じて入手できるように
なったこともあり、

「生もの」

の知識を追いかけるだけで精一杯。

なかなか、古典のような「干物」の知識まで
味わう時間が取れないのが現状でしょう。


しかし、「干物」の知識は、
時代の変化という強風に風化することなく、
むしろ味わい(エッセンス)が増したおいしい内容を
含んでいるのです。

そして、目先の情報だけを見すぎて

近視眼

になってしまった私たちに、

・全体を俯瞰してみること

そして

・ものごとの構造・仕組みや、
 世の中の変化の大きな方向性を把握する手がかり

を教えてくれるのです。


ちなみに私の場合、昨年の著作、

『営業はリサーチが9割!売上げ倍増の“情報収集”マニュアル』

および、監修者として先日出版されたばかりの

『先読みできる!情報力トレーニング』

の中では、同様のことを

「フロー情報」と「ストック情報」

という表現で説明しています。

すなわち、

・生もの=フロー情報
・干物=ストック情報

ですね。


「ストック情報」には、古典といわれる書物だけでなく、
様々な理論が載っている専門書を含めていますが、
「ストック情報」を積極的に蓄えることは、

・フロー情報の収集が加速できること
・フロー情報の解釈(読み方)がより的確になること

というメリットがあるのです。


確かに古典や専門書は、
とっつきにくいところがあります。

正直、難しい。読むのに骨が折れる。


しかし、日々流れていくフロー情報に
どっぷり浸かっているままだと、姜氏が指摘するように、
自分が今どこにいてどこに流されているのか、
という現状が見えません。

膨大な情報に流されないためには、
その流れから飛び出して、遠くから眺めてみる
必要があります。


ストック情報、というか、
“干物”の知識をもっと食べましょう!


*姜氏の発言は以下の記事から引用しました。

「教科書なき時代」に古典は唯一の羅針盤だ
(日経ビジネスオンライン Associe スキルアップ最前線)


『悩む力』(姜尚中著、集英社新書)

投稿者 松尾 順 : 2009年02月27日 11:49

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コメント

「フロー情報」と「ストック情報」

なるほど!ですね。

投稿者 SHIGACCHI : 2009年02月28日 08:34

SHIGACCHIさん、まいど!

フロー情報、ストック情報の区分けは、
要するに、

新鮮さが大事な情報か
本質的で普遍的な情報なのか

ということですね。

投稿者 松尾順 : 2009年02月28日 11:22

まつおっちさん!
まいどっ!

さらに、納得、なるほど!でした。
ありがとうございます。

あのぉ~、お仕事で使わせていただいていいですか?

投稿者 Anonymous : 2009年03月01日 10:21

SHIGACCHIさん、

どうぞどうぞ!

投稿者 松尾順 : 2009年03月01日 12:26

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