「情緒価値」の作り方・・・ミスティガーデン
「情緒価値」とは、
製品やサービスを利用している時、なんとなく
・心地よい
・楽しい
・ワクワクする
・癒される
といった感情をもたらしてくれる特性のことです。
何らかの具体的なニーズ(問題、課題)を解決してくれる
製品・サービスの本来的な機能を
「本質価値」
と呼ぶなら、情緒価値は「付加価値」部分といえます。
もはや常套文句ですが、
「本質価値」部分での差別化が難しい
と言われている現代、「付加価値」としての
「情緒価値」を製品・サービスに与えることは、
「製品開発における重要課題」
になっていますね。
そこで今日は、
うまく情緒価値を作りこんだ例として、
身近な商品、すなわち、ある「加湿器」を
ご紹介しましょう。
この制品については、
以前簡単に紹介したことがありますが
今回はちょっと別の切り口で考えてみます!
『ミスティガーデン』
は、自然蒸発式の加湿器です。
つまり、電気が不要。
07年10月に登場したばかりのこの製品、
私も発売早々に飛びつき、今冬も使用しています。
ミスティガーデンは
特殊な不織布フィルターを使用しており、
毛細管現象によって、水分をフィルター全面に
行き渡らせることで蒸発スピードを高めています。
たまに加湿器がない乾燥した部屋で、
やむを得ずコップにくんだ水を加湿のために
置くことがありますよね。
でも、1晩おいてもコップの水はほとんど減りません。
水が空気に触れる面積が小さいので蒸発しにくいからです。
ところが、同製品は、フィルターが置かれたトレイに
一杯の水が一晩でほとんど空になります。
つまり、かなりのスピードで
水分が蒸発していることが実感できます。
同製品に限りませんが、「加湿器」の本質価値は、
「空気の乾燥しすぎを防ぐこと」
ですね。
これによって、利用者は、
・のどを痛めにくい
・カゼの予防になる
・楽器保管場所を良好なコンディションに維持できる
といったベネフィット(便益)を得ることができます。
実は、開発は宮地楽器さん。
そう、楽器店や音楽教室を運営している会社です。
そもそも、乾燥や温度によってピッチが変わってしまう
デリケートな楽器である「ピアノ」に優しい部屋にしてほしい、
という調律師の声や、乾燥している部屋だとレッスン中に
「のど」を痛めやすいという音楽教室の指導者の声を聴いて
開発されたのが、ミスティガーデンでした。
上記のようなニーズに、
従来からあった市販の超音波式、熱蒸発式の加湿器は
適していなかったそうです。
おそらく、強制的に加湿するため湿度が
高くなりすぎることや、駆動音がすること、
清掃が面倒なことなどが問題だったのでしょう。
ミスティガーデンは、
自然蒸発式なのであまり大きな部屋の加湿には
向いていません。
(せいぜい6畳1部屋くらいまでのようです)
しかし、電気を使わないので音はしませんし、
ちょうどよい湿度が24時間、自然に保たれます。
また、手入れも基本水洗いでOKなので
手間があまりかかりません。
私は以前、超音波式、および熱蒸発式、
両方の加湿器を長年使っていたので、
手入れの面倒さがよくわかっています。
また、うっかり加湿しすぎて、
洋服ダンスの中に大量のカビを発生させたこと
がありました・・・
ミスティガーデンは、
私のようなめんどくさがりやにもありがたい
製品だったのです。
さて、前段が長くなってしまいました。
本題の「情緒価値」です。
ミスティガーデンの
「情緒価値」
は、不織布フィルターを草花の形にカットし、
ジャバラ状に成形したことによって生まれています。
実際にデザインをご覧になってみてください↓
http://mistygarden.jp/misty_set.php
これをプランターを連想させる白いミニトレイに
拡げて置くと「観葉植物」っぽく見えます。
私はデスクの脇に置いていますが、
目に入るとなんとなく気持ちいいのです!
また、水は毎日補充しなければなりませんが、
私はいくつか面倒を見ている本物の観葉植物用の
ジョウロで水をあげています。
これも実際に植物に水をあげているように感じて、
なんとなく楽しいんですね。
もし、純粋に蒸発効率だけを考慮したら、
草花に似せた形状にはならなかったかもしれません。
もしそんな製品だったら、
本質価値はあるけれど、情緒価値の欠けた
つまらないものになっていたと思います。
おそらく、ミスティガーデンは、
開発担当者やデザイナーを初め関係者の方々が
おおいなる遊び心を持っていたからこそ生まれた
のでしょう。
ただし、昨年の段階ではひとつ難点がありました。
色は当初、ナチュラルカラー1色だけ。
これは薄い黄色。あるいは黄色の強いクリーム色
ですかね。
この色は、草花にみたてると
「枯れ草」
のように若干感じる点が問題でした。
なんでこの色なんだろうと、
私は見るたびにちょっと引っかかるものが
あったのです。
ところが、私と同じように感じたユーザーから
実際に要望が寄せられたんでしょうか、
最近、「グリーンカラー」が発売されていました。
草花なんですから、なぜ最初から
「グリーンカラー」
にしなかったのか不思議です。
ともあれ、これでさらにミスティガーデンの
情緒価値は高まったと言えるでしょうね。
なお、既に専用芳香液も出ていて、
嗅覚的な癒しを得ることもできます。
それ以外にもいろいろとこの製品は
情緒価値を付け加えられそうですよね。
例えば、水を吸い上げると、
フィルターの上部だけが赤くなって
花が咲いているように見えるとか(水がなくなると緑に戻る)
フィルターを入れる「トレイ」も平板なホワイトじゃなくて、
陶器やレンガみたいなデザインにしてみるとか・・・
「本質的価値」と違って、
具体的な問題や課題の解決でないだけに、
いろいろ遊べるのが情緒価値を作りこむ場合に
楽しいところです。
ちなみに、ミスティガーデンを製造しているのは、
(株)ミクニというメーカーです。
また、私は、宮地楽器さん、
ミクニさんのどちらの回し者でもありません(笑)
*宮地楽器 ミスティガーデン公式サイト
http://mistygarden.jp/index.php
*(株)ミクニ 公式サイト
http://www.mikuni.co.jp/j/index.html
*アマゾンはこちらから↓
・ミスティガーデン U600-01 ナチュラルカラー
・ミスティガーデン 交換フィルター U60E グリーンカラー
投稿者 松尾 順 : 2009年02月17日 00:43
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