「不気味の谷」は本当にあるのか?
ディズニー映画、
『WALL-E ウォーリー』
はご覧になりましたか?
ゴミ処理ロボットの
「ウォーリー」
と、彼が一目ぼれした卵型の美しいロボット
「イブ」
のラブストーリー。
どちらも見かけはいかにも「ロボット」ですが、
とても愛らしいですよね!
2体の顔には「目」しかなく、
口は持たないため言葉はしゃべれません。
(機械音は出せますが)
でも、目の動きだけで、
不思議と十分に気持ちが伝わるんですよね・・・
思わず泣いちゃった人もいるのでは!
同映画では後半、
CG(コンピュータグラフィックス)で制作された
未来の人間たち
が登場します。
生活の全てにおいて、
コンピューターと各種ロボットたちが面倒をみてくれるため、
皆、移動可能なチェアに座りっぱなしの毎日。
このため、ぶくぶくと太り、
すっかり堕落してしまった人々という設定になっています。
ただ、映画を見た方ならお分かりいただけると思いますが、
CGの人間たちはかなり「リアル」に描かれているため、
ちょっと気持ち悪いですよね。
さて、人型ロボットやアニメのキャラクターが、
本物の人間のイメージにかぎりなく近くなればなるほど、
「不気味だ・・・」
と感じられてしまい、
そのロボットやキャラクターに対する親しみやすさが低下する
現象のことを
「不気味の谷」
と呼びます。
この考え方を提唱したのは、
ロボット工学者の森政弘氏でした。
森氏は、人型ロボットを制作するに当たっては、
「不気味の谷」
に落ちないよう、むしろ人間そっくりになるのを
避けるべきだと提唱したのです。
ところが最近は、技術力が向上したこともあり、
この「不気味の谷」の理論を無視して、
「人間そっくりのロボット」
が制作されるようになってきているそうです。
(日経サイエンス、2009年2月号)
実際、本物の皮膚のようなシリコーン樹脂を利用した
6,500ドルもするセックス人形が誕生しているとか。
最近の研究では、「不気味さ」を感じる度合いは、
ロボットやキャラクターのリアルさとは関係していない
という実験結果もあるそうです。
「不気味の谷」
とは矛盾する結果ですよね。
とはいえ、
ロボットやキャラクターがリアルになればなるほど、
「目や頭などの大きさを変えられる許容範囲が狭くなる」
こともわかっています。
これは、
「不健康や生殖不能」
を示すような異常な形質を
人が本来的に忌避するようにできているためではないか
と考えられています。
ウォーリーと同じCGアニメ映画、
『ポーラー・エクスプレス』
でも、リアルな人のキャラクターが薄気味悪いと
批判されました。
そこで、同映画製作責任者を務めたソニー・ピクチャーズ・
イメージワークスのマクドナルド氏は、今後の作品では
「眼球の動き」を工夫することにしています。
“目さえちゃんとしていれば、ほかはどうでもいい”
とのこと。
どうやら、不気味さを避けるポイントは
「目の動き」
だと経験的にわかったようです。
「不気味の谷」が本当に存在するのかについては、
まだ結論は出ていませんが、なかなか興味深いですよね。
WALL-E ウォーリー公式サイト
http://www.disney.co.jp/movies/wall-e/
(参考)
日経サイエンス(2009年2月号)
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投稿者 松尾 順 : 2009年01月15日 12:59
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