未来予測は当たるのか?

先日、日本能率協会総合研究所、
マーケティング・データ・バンク主催の

『未来予測セミナー』

を受講しました。


当セミナーは大変充実した内容で、
今後の世界、また日本を変えていくであろう、

「大きな潮流」

を再確認するよい機会となりました。

具体的な内容については、
今後、折に触れご紹介したいと思っています。


さて、そもそも、
未来予測って当たるんでしょうか?

実際のところ、

「大きな潮流」

については、
その変化の「芽」が多少なりとも
地面から顔を出していることが多いので、
ほぼ確実に当たります。
(「芽」に気づかない人も多いですが・・・)


しかし、

「個別業界や個別商品の先行きがどうなるか」

について言えば、
正確な予測は極めて難しいのが現状です。

というのも、
確実なひとつの収束点というものはなく、
たいていは複数のシナリオがありえるからです。

しかも、どのシナリオが実際に展開することに
なるのかは、確率的にしか予測できませんから、
結局はその時になってみないとわからないのです。


ですから、もし予測が当たったとしたても、
それはまぐれ当たりに過ぎないと言えるでしょう。
(超能力者を除き・・・)


ただ、そもそも、

「ビジネスにおける予測」

はそれ自体が目的ではありません。


たとえ、複数の「未来シナリオ」があるとしても、
将来の変化に適応して生き残るために、
今から準備しておくべき行動が明確になります。

そして、未来のためにやるべき行動が明確であれば、
あとは、それぞれの未来シナリオが現実化する確率を
踏まえて、優先順位をつけた行動計画を立案し、
早速着手する。


すなわち、予測困難だからこそ、
あえて予測してみることで、
未来に備えるために今から取り組むべき
行動を認識する。

これが未来予測の意義だと言えます。

よく、

「どうせ、未来はどうなるかわからないんだから、
目先のことに全力を注ぐべき」

という方がいますよね。

しかし、こんな人は、今転ばないように、
足下の石ばかりみて歩いているようなもの。

ふと顔を上げたら目の前は断崖絶壁だった!
どんづまりにいて、もはや後戻りもできない!

という事態になりかねませんよね。


足下の石ころに気をつけるのも大切ですが、
同時に、遠く水平線を見渡して、自社(自分)が
どんづまりの道を進んでいないかを常に確認する
ことも必要なのです。

要するに、これが未来予測をやる意義です。


ところで、変化には次の3種類があります。

---------------------------------

(1)パラダイム的変化

場・価値基準が短期間に大きく変化するもの
(ex.ガソリン自動車→電気自動車)

(2)構造的変化

一方向に進むが、新しい局面を生み出すもの
(ex.ノートPC→ネットブック)

(3)循環的変化

波状、元に戻る性質のあるもの
(ex.景気循環)

---------------------------------

そして、上記3種類の変化に対して、
企業が取るべき適応戦略の基本方向は以下の通り。

・パラダイム的変化 ←新しい競争条件の予見と革新準備

・構造的変化 ←ニーズギャップの調整や次世代製品

・循環的変化 ←生産調整やカイゼン


現在、私たちは昨年秋のリーマンショックに端を発した
世界的景気低迷期から少しずつ回復しつつあります。

これは、循環的変化ですね。

しかし同時に、
明らかにパラダイム的変化にも直面しています。

パラダイム的変化にはいくつかありますが、
その中で最も看過できないのはやはり、
地球温暖化や地球資源枯渇といった

「地球環境問題」

でしょう。

このパラダイム的変化は、
既に私たちの消費行動にも大きな影響を及ぼし
はじめており、企業は早急な適応戦略を立案し、
行動する必要性を感じはじめています。


というわけで、我田引水ですが、
INSIGHT NOW!さんの主催で、

『ソーシャル消費時代の適応戦略(製造業編)』

という勉強会を開催することにしました。

ご興味・ご関心のある方はぜひご参加ください!

『ソーシャル消費時代の適応戦略(製造業編)』


*本文中、3種類の変化については、
『未来予測セミナー』の内容を参考にしました。

講演者の安部忠彦氏(富士通 研 取締役)、
および、清水克彦氏(東京創研 取締役)には、
この場を借りて御礼申し上げます。

*日本能率協会総合研究所
マーケティング・データ・バンク
http://www2.mdb-net.com/

*富士通総研
http://jp.fujitsu.com/group/fri/

*東京創研
http://www.tokyosoken.com/

『未来予測2009/2019』
~大不況後の事業戦略立案のための基礎資料

投稿者 松尾 順 : 14:30 | コメント (0) | トラックバック

首狩りが上手な部族は歌がうまい!

首狩り族。

この言葉を聞いただけで、
なんか背中に寒いものが走りますね。


首狩り族は、東南アジア、南米など、
世界各地にその存在が確認されており、
意外にたくさんいる部族だそうです。

現在も、多くの部族は、
現代文明からある程度孤立した形で
生活しています。

ただし、首狩りの風習は政府によって
禁止されたりして止めてしまった部族
も多いようです。


彼らは、エスキモーの生活にも近い、
原始共産制の集落を形成しており、
いわゆる「酋長」や「王様」もおらず、
お互いに助け合いながらひっそりと
暮らしてきました。

そして、軍隊さえ持たない彼らが、
部族全員で自分たちの猟場や農地を守るため、
外敵の首を問答無用で切る風習を続けてきた
ようです。


首狩り族というと、
獰猛で野蛮なイメージがありますよね。

でも、実態は繊細で臆病な人たちだそうです。


「首狩り」は、決して楽しみや狂気的な信仰に
基づくものではなく、部族生き残りの手段として
(やむを得ず)行われてきたらしいというのが、
首狩り族の研究を行った民族音楽学者、
小泉文夫氏の見解です。


さて、首狩り族は、お互いに領地を守るため、
あるいは拡大するため、部族同士での戦争を
行うことがあります。

「首狩り合戦」ですね。


小泉氏は、こうした部族間の戦いにおいて、
首狩りが上手な部族は歌がうまく、
逆に、首狩りが下手で首を狩られてばかりの部族は
歌が下手な傾向があることを発見しています。


たとえば、首狩りが一番うまい

「ブヌン族」

は、周辺の部族をみんな
滅ぼしてしまったそうですが、
合唱が大変に上手。


彼らは、首狩りに行く前に合唱を行います。

まず、老人がワーッと即興で歌いだし、
その旋律に皆がハーモニーをつける。

西洋音楽は聴いたことがなく、
もちろん、平均律も知らない彼らですが、
そのハーモニーは純生調!

ぴったりとあうハーモニーを探し出す。
例えば「ドミソ(ミのピッチは少し低め)」。


そして、美しいハーモニーが作れれば、

「みんなの気持ちが合っている」

ということで戦いに出かけて行く。

しかし、もし、いいハーモニーができなければ、
その日は、戦争に行くのを止める!


クジラ・エスキモーと同様、
首狩り族にとっても、歌がうまいこと、
とりわけ

「ハーモニー」

がうまく揃えられることは、
部族の生き残りに関わる重大問題なんですね。

だから、皆額に汗をかきながら、
真剣に歌うのだそうです。


さてさて、現代文明に生きる私たち。

会社勤めにせよ、独立しているにせよ、
多くの人々との協働作業で仕事を進めなければ
なりませんよんね。


どうやって、みんなの気持ちが合っていることを
確認したらいいでしょうか?

また、気持ちを合わせられるようになるために
どんなことをやるべきでしょうか?


たいてい、1人ずつかわりばんこに歌い、
他人が歌っているときは、次の曲を決めることに
夢中でろくに人の歌を聴いちゃいない

「カラオケ」

はあんまり効果なさそうですね。

全社員で、あるいは部署単位で、

「ハーモニー研修」

とかやるといいかも・・・

*参考文献

『小泉文夫フィールドワーク 人はなぜ歌をうたうか』
(小泉文夫著、冬樹社)

投稿者 松尾 順 : 10:20 | コメント (0) | トラックバック

クジラ・エスキモーは歌がうまい!

「私たち人類の言葉は、
 どうやって生まれたのだろう?」


これについては諸説ありますが、

「はじめに歌ありき!」

という仮説を提唱する人がいます。


理化学研究所の
岡ノ谷一夫氏(生物言語研究者)は、

ジュウシマツの求愛の歌

などの分析を通じて、
彼らの歌に見られる一定の法則性を発見。


そして、ヒトの場合、歌をうたうことを通じて

「文法」

が形成され、


「文節」や「単語」

が切り出されていき、
複雑な思考でさえ伝達できる高度な

「言語」

が確立されていったのだろうと、
岡ノ谷氏は考えています。


そういえば、クジラもまた、
クラシックの楽曲形式の一つ

「ソナタ形式」

に類似した歌をうたうことがわかっていますね。
(いわゆる「言語」としては確立していませんが)


ですから、
上記の仮説が正しいとすれば、
私たち人類が

・歌をうたうこと
・歌を聴くこと

が大好きなのは、
ごく自然なことだと言えますね。


さて、

「歌がうまいこと(特に合唱)」

が生存の決定的な条件だったと考えられるのが、
クジラ・エスキモーの人たちです。

*最近は‘イヌイット’と呼ぶことが
 多いようですがここではエスキモーに
 統一します。


カナダやアラスカ、グリーンランドなど、
北極圏に住むエスキモーたちは主に、

「カリブー」(トナカイ)

を狩猟して生活してきました。


カリブーは集団で大移動する動物です。

したがって、エスキモーたちも
広大な北極圏をカリブーを追って
移動していきました。

厳寒の土地ですから農業はできません。
カリブーのような動物の狩りだけが頼り。

こうした不安定な食糧事情において、
以前は、生産活動に従事できない老人や病人は
遺棄されるのが一般的な風習でした。

滅びてしまった部族も多いようです。


そんな中、クジラを捕獲することで
生き延びた人々が、沿岸部に住む

クジラ・エスキモー

です。


クジラを捕獲できるチャンスは、
年に2回だけしかありません。

クジラが湾の中に入ってきて、
氷の割れ目ができているときだけです。

つまり、初冬の氷のでき始めか、
初春の解け始めの2回。

氷が海面を完全に覆っている時、
クジラは海上に姿を現すことはできませんし、
逆に氷がない時は、海上のどこに顔を出すか
わからないからです。


クジラ狩りの時、
クジラ・エスキモーたちは、
ボートに乗ってクジラがやってくるのを
待ちます。

クジラが湾の中に入ってきたら、
出られないように封鎖線をボートで作る。

その後、クジラが呼吸をするため、
氷の割れ目に顔を出した瞬間、みんなで
一斉に襲ってクジラを仕留めるのです。


相手は巨大な図体の持ち主。

みんなで息を合わせて、
一斉に襲えないとクジラを
取り逃がしてしまう。

仲間同士の「チームワーク」、
とりわけ

「タイミング」

が決定的に重要だったのです。


ですから、クジラ・エスキモーは、
極めてリズム感がよく、10人でも20人でも、
ピタっと息の合った歌をうたえるのだそうです。


一方、1人でも捕獲可能なカリブーを
狩猟して生活している、内陸部の

「カリブー・エスキモー」

は、リズム感があまり良くありません。
いわゆる「合唱」はへたくそなんだそうです。

おそらく、狩猟において、
チームワークを必要としないからでしょう。


こうした世界の民族の生活に根ざした音楽に
ついて研究してきた民族音楽学者の故小泉文夫氏は、
次のように述べています。

“人間は、生きるために拍子をそろえて歌うのです。
 拍子をそろえなくても生きていかれるんだったら、
 そんな余計なことはやらないんです”

“クジラ・エスキモーは、そうしたからこそ
 あのグループだけがいきてこられた・・・”


さて、エスキモーとは、
大きく異なる社会に生きる現代の私たちですが・・

ものごとが高度化・複雑化し、
仕事が極端なまでに専門分化したがゆえに、
逆にますますチームワークが求められる時代を
迎えているように思います。


仕事における、

「歌唱力」や「合唱力」

は、どうやって磨けばいいんでしょうね?
(あくまで喩えですが)


*参考文献

『小泉文夫フィールドワーク 人はなぜ歌をうたうか』
(小泉文夫著、冬樹社)

投稿者 松尾 順 : 15:38 | コメント (0) | トラックバック

‘グランブルー’に魅せられた人たち・・・「アプネア」の世界

海底を目指して深く潜行・・・

太陽の光が射し込む海の色は、
グラデーションを描いて変わっていく。

ライトブルー ~ ディープブルー ~ ダークブルー ~ グランブルー

その先にあるのは、漆黒の闇。


さて、美しく変化する海のグラデーションを
目の当りにしながら、

「限りない深み」

に挑戦する人々がいます。


「フリーダイビング」

いわゆる

「素潜り」

の競技に魅せられた人たちです。

正式には

‘アプネア(Apnea)’

と呼ぶようです。

‘アプネア’とは、

「息こらえ」

と言うラテン語が語源の言葉。

まさに、酸素タンクなどの機材を一切使わず、
一息でどれだけ水中に潜っていられるかを競います。


ジャン・レノの演技が印象的な名作、

「グランブルー」

で描かれた世界ですね。


私自身はもちろん、
アプネアをやっているわけではありません。
(正直、水は苦手なほう・・・)

しかし、グランブルーは大好きな映画ですし、
アプネアの競技は実に美しい!

そこで、たいして詳しいわけではないけれど、
アプネアについて簡単な紹介を試みてみます。
(詳しい方、間違っている点があったら、
 ご指摘お願いします!)


アプネアの競技には、
様々なバリエーションがありますが、
基本は次の3種類です。

(バリエーションとしては、

 フィンを使う・使わない

といった違いがあります。)

●スタティック・・・じっとしてどれだけ息を止めていられるか

●ダイナミック・・・息を止めて横にどれだけ移動できるか

●コンスタント・・・息を止めてどれだけ深く垂直に潜れるか


このうち、一般の人にもよく知られている、
最もポピュラーな競技は、

「コンスタント・ウイズ・フィン」(フィンを使って垂直に深く潜る)
(通称:Constant Weight)

でしょう。

1983年、55歳のジャックマイヨールが、
105メートルの世界記録を樹立した競技が、

「コンスタント・ウィズ・フィン」

でした。

日本人としては、
日本のアプネア界の第一人者、
篠宮龍三さんが、今年(09年)4月3日に
ジャック・マイヨールと肩を並べる

水深105メートル(アジア&日本記録)

に到達しています。

なお、現時点(2009年9月)での同競技の世界記録は、

・122メートル(男性)
・96メートル(女性)

です。

一方、スタティックは、シンプルな水中息止め。

小さい頃、お風呂でお湯に顔をつけて、
何秒我慢できるかという遊びをやった覚えが
誰にでもあると思いますが、まさにアレです。

世界記録はなんと、

・11分35秒(男性)
・8分23秒(女性)

です。

アジア(日本)記録。
男性はやはり篠宮龍三さんの

7分25秒

です。


実は、スタティックの練習では、
篠宮さんは、軽く8分を超えることができます。

しかし、本番となると、
よけいな邪念、緊張や力みがどうしても
出るため、脳の酸素消費量が増えてしまい、
練習と同じタイムを出すことはなかなか
難しいのだそうです。


これは、コンスタント、ダイナミックでも同様。

いかに心を平静に保てるかが、
自分の限界を超えた深みに到達するための
決め手なのです。

ジャックマイヨール氏も、
ヨガや禅に学んだ瞑想を行い、
自分は

「イルカ」

であると、心から感じられるような
心境になるまで潜水を開始しなかったのです。


ところで、なぜ陸地に生活してきた私たちが、
10分近くも息を止め、水中深く潜れるのでしょうか?

イルカやアザラシのような海洋哺乳類の能力には
及びませんが、ヒトもまた、水中では心拍数を
低下させたり、手足などに流れる血液を止め、
脳などの生命維持に重要な臓器に血液を集中させる

「ブラッドシフト」

という現象が人間にも起こっていることが
わかっています。

要するに、酸素の乏しい水素において、
酸素を節約し、効率的に使う能力が、
人間にもある程度備わっているのですね。

だからこそ、逆に、心の平静が保てないと、
脳の活動が活発になりすぎ、酸素を消耗してしまい、
長く、また深く潜れなくなるということなんでしょう。


それにしても・・・

なぜ篠宮さん始めとするフリーダイバーたちは、
なぜ、ボンベなしで到達できる限界深度と思われる
グランブルーの世界を目指すのでしょうか?

登山家と同じなのかもしれませんね。

登山家は、「高み」をめざし、
フリーダイバーは「深み」を目指す。

そこには単に記録作りを超えたものがあります。

著名な登山家、ラインホルト・メスナー氏と
同じ気持ちがあるのかもしれません。

“自分という有限の肉体、ハダカの肉体を試し、
どれだけ命の可能性を拡げられるかを確認したかったのです。”

(ラインホルト・メスナー)


余談ですが、ヒトは、

サバンナ(高原)

ではなく、

海辺

で進化したという説があります。

この説によれば、簡単に言うと、
ヒトは、両生類のように、水中と陸上を
行き来しながら生活をしていたというものです。

サルから枝分かれし、
木から降りて森林から出たものの、
他の動物よりも身体能力の劣るヒトの祖先は
簡単に肉食獣の餌食となりました。

しかし、食糧も豊富、そして比較的安全な海辺で
生活すれば生存できる可能性が高くなる。

だから、ヒトは海辺で暮らすようになった。

サルの仲間のうち、
ヒトだけが体毛がほとんどないのは、
水に浸って暮らしていたからだというのです。

(水は相対的に温かいので体毛は不要)


海洋哺乳類には勝てないものの、
優れた潜水能力をヒトが持っているのも
その名残りかもしれませんね。


*篠宮龍三さんの公式ホームページ
http://www.apneaworks.com/index.html


『人は海辺で進化した―人類進化の新理論』
(エレイン モーガン著、望月 弘子訳、どうぶつ社)

投稿者 松尾 順 : 19:26 | コメント (0) | トラックバック

ちょいとセコくないかい、チーズ1枚トッピングクーポン

某プレミアム・ハンバーガーチェーンのお話。

同チェーンで提供しているアメリカンスタイル、
BBQ風ハンバーガーはなかなかおいしい。

なので、たまに東京駅近くのお店に行きます。

さて最近、本郷の事務所に、
近くの店舗のデリバリーサービスのチラシ
が入ります。

このチラシについている

「スペシャルクーポン」

は、ハンバーガー、サンドウィッチにもれなく、

「チェダーチーズ1枚」

を無料でトッピングするというもの。


うーん、なんか、
ちょっとセコいクーポンだと思いませんか?

こうしたクーポンは、
お客さんの購入の決断を
後押しすることが目的ですよね。

つまり、コストが多少増加しても、
それを上回る増収効果を狙うものです。

しかし、チーズ1枚で、

「じゃあ買おう!」

という気になる人はどのくらい
いるもんでしょう・・・?


おそらく、クーポンを利用する人は、
無料のチーズトッピングがあろうがなかろうが、
初めからハンバーガーを注文するつもりの人で、

「せっかくだからクーポン使うか・・・!」

という人がほとんどではないかな。

そうすると、クーポンによる増収効果は
実質ゼロに近く、単にコストが上がって
利益率が下がるだけの結果になりそう。

こうしたセコいクーポンを見ると、

「なんのための販促施策か、目的を意識しているか?」

を考える良い機会にはなりますね。

投稿者 松尾 順 : 15:47 | コメント (0) | トラックバック

「休憩所」から、目的を持って「立ち寄る場所」へ

京葉道路で人気のサービスエリア(SA)が、
「pasar幕張」です。

2008年夏の開業以来、我が家でも、
千葉・房総方面に車で出かける時は
必ず立ち寄ってしまいます。

松戸の自宅を出て、
まだ1時間も経っていないので、
あえて立ち寄る必要はなんですけどね。


‘pasar’というのは、スペイン語で

「立ち寄る」「時を過ごす」

また、インドネシア語では、

「市場」

を意味するそうです。

従来のSAと違って、
体育館のように天井が高く、
柱の少ない建物。

休憩用のテーブルは、
ゆったりと配置してあります。


ごちゃごちゃした雰囲気がなく、
洗練された開放的な空間設計が、
思わず立ち寄りたくなる理由でしょう。

また、他のSAにはない、
専門店があるのも人を惹きつける磁石の
役割を果たしているようです。


従来、高速道路のSAやPAは、
ドライブに疲れた時やトイレ休憩など、
必要に迫られて行く場所ですよね。

そして、私たちは休みたくなるタイミングが
おおむね同じなので、PAやSAによって
混雑の度合いが随分違います。

例えば東名高速では、

「海老名SA」

が休憩を取るのにちょうどよい地点にあるため、
一番人気ですね。

ところが、隣の

「足柄SA」

はといえば、海老名に比べると
立ち寄る人の数は寂しいものです。

したがって、足柄SAに出店している店舗は、
けっこう厳しい経営を余儀なくされています。

個店単位でいろいろと集客努力を
されてはいるようですが、

‘pasar幕張’

のようなトータルなコンセプトチェンジ&
リニューアルが必要なのかもしれません。

投稿者 松尾 順 : 10:54 | コメント (2) | トラックバック

花王のネットコミュニティ‘GO GO pika★pika MAMA’

花王のWebサイト、

‘GO GO pika★pika MAMA’

- ゴーゴー ピカ★ピカ ママ -

は、2007年4月に開設された、
新米ママさん向けのネットコミュニティ。
(以下、「ピカママ」)


「ピカママ」は、大きくは、

・プレママコミュニティ(出産予定の女性対象)
・0歳コミュニティ
・1歳コミュニティ
・2歳以上コミュニティ

の4つに分かれています。

そして、0歳と1歳は、
さらに月別に細分化されています。

生まれたては、
驚くほど成長の早い赤ちゃん。

同月生まれの赤ちゃんを抱え、
ほぼ同じ悩みに直面するママさん同士で、
助け合える場が提供されているというわけです。


登録ユーザー数は、

16,000人(09年07月)

を突破しています。


さて、花王のWeb作成部長、石井龍夫氏によれば、
同社におけるサイトの主な役割は時と共に
変化してきています。


花王が初めてWebサイトを開設したのは94年。

それから10年ほどは、新聞・雑誌などと同様、
企業から消費者へ一方的に情報を伝える

「メディア」

としての役割がメインでした。


しかし、03年以降になると、
ブロードバンドが普及したこともあり、
消費者とのインタラクティブな
コミュニケーションが活発化。

サイトの役割は、
消費者の疑問・要望に応える

「コンシェルジュ」

的な役割が強くなっていきました。


そして、07年以降は、
‘mixi’などのSNSに代表される

「ソーシャルメディア」

が伸長、消費者間のコミュニケーションが
日常のものとなり、いわゆる「口コミ」の影響が
注目されるようになっていきます。

この動きに対応して開設された「ピカママ」は、
いわば

「ショールーム」

のようなものです。

商品を見るだけでなく、
ショールームを訪れた消費者同士が
交流する機会も提供できる場というわけです。


では、「ピカママ」の話に戻りましょう。


「ピカママ」では当初、
新米ママさん向けのコミュニティのみを提供し、

「花王製品について語れるコミュニティ」

はあえて作っていませんでした。

企業臭を出しすぎないように
控えめに振舞っていたのです。


しかし、登録ユーザーの方から、

なぜ花王製品のコミュニティがないのか

という要望が寄せられたため開設したのが、

・柔軟仕上げ剤
・お尻フキ

などの製品について語るコミュニティです。


花王では、こうした製品コミュニティでの発言を
分析することにより、多くの知見を得ています。

まず、コミュニティを通じて、
花王製品のブランドサイトに行くユーザーが
確実に増えることが確認されています。

要するに、製品情報を提供しているサイトへの
集客効果があるというわけですね。


柔軟仕上げ剤のコミュニティについては、
参加したユーザーのうち、実際に発言した人が
なんと66%に上りました。

つまり、3人に2人は、
なんらかのコメントを投稿したということです。

(逆に言えば、ROM:Read Only Memberは3人に1人)

アクティブな人がそれだけ多く
存在したということですね。


一方、お尻フキのコミュニティでは、
ユーザーが別のユーザーを説得するという
現象が見られました。


あるメンバーが、

“花王のお尻フキは、
 フタが固くて開けにくい・・・”

と問題視する投稿をしたところ、
別のコミュニティメンバーが、

“花王さんのことだから、
 むしろ簡単に空いてしまわない
 ようにあえて固めにしてあるのでは・・・?”

などと援護するような発言があったそうです。


また、お尻フキにはトイレに流せるものと
流せないものの2種類あるそうですが、
コミュニティで得た知識を元に、小売店に対し、
ないほうの製品を置いてくれるように頼む人が
現れました。

つまり、消費者が花王のセールスマン
の代わりをしてくれたわけです。


以上のように、花王では、
「ピカママ」の運営を通じて、
ネットコミュニティがもたらす

マーケティング効果

をきっちり検証し、製品づくりに
反映させているのですね。


そういえば、花王のWebサイト(全体)は、
(株)日本ブランド戦略研究所の

「Web Equity(ウェブ エクイティ)2009」

の「再訪問意向ランキング」において、
トイレタリー・製薬業界で

No.1

になっています。


以前、同社に転職した元同僚も言っていましたが、
消費者と真摯に向き合い、目先の利益を追わず、
腰を据えて取り組む生真面目な社風がWebサイト全体、
そして

「ピカママ」

にも現れているようです。


*以上の内容は、

‘ad:tech tokyo 2009’のセッション、

『広告主によるブランドコミュニティの必要性』
(2009年9月2日5:00pm-5:55pm)

における石井龍夫氏(花王株式会社、Web作成部長)
のプレゼンテーションを元にしました。


*GO GO pika★pika MAMA
 - ゴーゴー ピカ★ピカ ママ -
 http://www.c-player.com/pikamama

投稿者 松尾 順 : 09:33 | コメント (4) | トラックバック

「IKEA」カタログばら撒き中?

「IKEA」

の分厚いカタログが、
事務所(文京区・本郷)の郵便受けに
入ってました。

いわゆる「ポスティング」によって、
カタログを配布してるみたいです。


「通販」ではなく、
店舗に足を運んでもらうのが
目的の商品紹介カタログなんですけど。

現在、「IKEA」の関東エリアの店舗は、
船橋、港北、新三郷の3店舗です。

文京区からだと、
どこに行くにしても1時間はかかりますね。


ポスティングの対象地域は、
いったいどのくらい広いんだろうと
思いました。

ひょっとしたら、
都内23区全域の全世帯が対象の
大規模なポスティングかもしれません。


それにしても、
郵便受けにはカタログが
2部はいってましたよ。

こんな分厚くて重いカタログ、
2つもいらんです。

ポスティング担当者の手違いか、
それとも手抜きか・・・

投稿者 松尾 順 : 14:28 | コメント (2) | トラックバック

交通整理のおじさんが3人いるパン屋

千葉・松戸の自宅から、
車を走らせること10分少々。

目当てのパン屋さん発見。

店前の行列ですぐわかったんですけど。
20組ぐらいかな、並んでたのは。


「わあー、いったいどれくらいの時間
 並ばなきゃいけないんだろう・・・?
 家から近いから出直そうかな!」

と思いましたが、
ともかくもそばの駐車場へ。

交通整理のおじさんが2人もいました。


車を止めて、店に向かうと
店の前にも1人、交通整理のおじさん。

「歩道に広がらないように並んでください」
「自転車、通りまーす」

などと注意を促してます。


この人気のパン屋さんは、

「Zopf(ツォップ)」

という名前のお店。

先日(09年9月6日)のソロモン流(テレビ東京)
にて、店主の伊原靖友氏が紹介されたおかげで、
お客さんがさらに増えたようです。


実は、ツォップは、
随分前から地元でも知られたお店。

でも、私は今回が初めて・・・

わざわざ行くのが、
なんか面倒だったんですよね。

実際、駅からも遠く不便な場所にありますが、
ジモティの私の場合、車ならわずか10分でした。
(もっと昔に行っとけば良かった・・・)


さて、行列に並ぶこと30分、
意外に早く順番がやってきました。

中に入ると、6畳ほどの大きさ、
というか狭さ。

しかし、驚くほどたくさんの種類のパンが
並んでいます。

一緒に行った息子は、
あれも欲しい、これも欲しいと
次々と選んでいきます。

息子が大好きなメロンパンも、
2種類ありましたので両方とも買いました。


値段はとみると、100円台のパンも多く、
他店と同じくらいの水準です。

例えば、ソロモン流で一番人気と
紹介されていたカレーパンは1個160円。

パンのさくさくした歯ごたえは、
他の店のカレーパンでは味わえない食感。

確かに病みつきになりそう!


ソロモン流によれば、
当店では1日300種類ものパンを
焼くそうです。

そして、1日に売れるパンの数は、
なんと約6,000個!


さて、ツォップが、
開店時間の朝6時半から、
夕方6時の閉店まで途切れることなく、
お客さんが続くほどの人気店になった
理由をまとめておきます。


・300種類から選ぶ楽しさ

 店主の伊原氏によれば、
 1種類当たりの販売個数は少なくしても、
 種類数は減らさないとのこと。

 実際、たくさんのパンの中から、
 自分の好みのパンを選べるのは実に楽しい。
 (一般的には1店当たりせいぜい
  50種類くらいですかね)

 しかも、ありきたりのものだけでなく、
 オリジナリティあふれた創作パンもあります。

 パン自体を味わえること以前に、まず
「パンを買う楽しさ」も味わえるのが、
 ツォップの最大の魅力でしょう。


・手頃な値段

 私が買ってきたツォップのパン、
 どれもおいしかったですが、

 「他店よりも格段においしいか?」

 と言われると、正直それほど大きな差は
 ないかと思います。

 しかし、一般消費者が「お手頃」と感じる
 値段でこのおいしさなら満足です。

 「そこそこ安いのに十分おいしい」

 という実感を与えてくれる点が重要でしょう。


私は、今の「大衆向け飲食業界」において、
成功するために押えておくべき基本線は、

「そこそこ安いのに十分おいしい」

だと考えています。

「餃子の王将」しかり、「サイゼリア」しかり。
「ツォップ」もまさにこの路線だと言えます。


高いお金を出せば、
相応においしい食事ができるのは当たり前。

しかし、値段を抑えつつ、
「十分においしい」と感じさせる食事を
提供するのはそう簡単なことではないんですね。

逆に、この基本線を押えることに成功すれば、

「どうせ行くならあの店にしようや」

と優先的に選ばれる存在になりえるわけです。


私自身も今後は、

「どうせパン買いにいくなら、
 やっぱりツォップにしよう!」

と思いますもん。


Backstube Zopf
パン焼き小屋 ツオップ
千葉県松戸市小金原2-14-3
http://www.zopf.jp/b_zopf.html

*食べログの評価
http://r.tabelog.com/chiba/A1203/A120302/12000514/

投稿者 松尾 順 : 15:56 | コメント (0) | トラックバック

5秒が待てない人々

松戸駅のJR線から、
新京成線への乗換口にある運賃精算機には、

「(精算)切符が出てくるまでに5秒ほどかかります」

と書かれた手作りのシールが貼ってあります。


こんなシールが貼ってあるということは、
このわずか5秒が待てず、駅員さんにクレームを
つける乗客がいるんでしょうね・・


ホント、なんともせっかちな世の中になったものです。

投稿者 松尾 順 : 05:20 | コメント (0) | トラックバック

タケカワユキヒデさんがビートルズのアルバム全曲カバーに挑戦中!

ビートルズのデジタル・リマスター版

「ザ・ビートルズ・ボックス」

が発売されましたね。

音質が格段に上がってるみたいです!


とはいえ、やはり全アルバムが揃った旧盤の
CDボックスを数年前に購入済みなので、
さすがにこのボックスを買うのには躊躇します。


そういえば最近、
ゴダイゴのタケカワユキヒデさんが、
ビートルズのアルバムを1枚ずつ全曲カバー
していくというチャレンジをやってます。


先日聴いた彼のライブ@六本木では、

『HELP』

を通しでやってました。


アンコールはやはりゴダイゴの名曲、

『ガンダーラ』&『銀河鉄道999』

でしたけど!


次回はあまり知られていない、
ドイツ語で歌ってる曲が収録されてる
アルバムをやる予定だとか。

*タケカワユキヒデ オフィシャル・ホームページ
http://www.mediatv.ne.jp/musicpro/takekawa/index.html

投稿者 松尾 順 : 15:41 | コメント (0) | トラックバック

パーソナルブランドの価値構造


今回は、「@IT自分戦略研究所」に連載している

『エンジニアも知っておきたいキャリア理論入門』

の最新記事である第14回

「選ばれるエンジニアになるためのブランド力を養う」

のポイントをご紹介します。
(エンジニア対象の記事ではありますが、
 すべてのビジネスパーソンにとって大事な内容ですよ)


当記事で取り上げた理論は、
マーケティングにおける「ブランド論」の視点から、
「キャリアづくり」を説いたもの。

博報堂出身、現在は独立され、
マーケティング、人材育成関連サービスを
展開されている山本直人氏の持論です。


さて、山本氏が定義する「ブランド論」とは、

「他者からどのように認知されるべきか」

を考えることです。

ここで、「認知される」というのは、

・どの程度、名前が広く知られているか、
・どの程度、どんな特徴があるか理解されているか
・どんなイメージが連想されるか
・どの程度、好意を持って受け入れられているか

といったことを含みます。

ですから、ブランド論は、
商品や企業、地域などだけでなく、

「人」

に対しても適用可能なのです。


そして、
ブランドを作り上げていく、
すなわち、

「ブランド化のプロセス」

をコントロールすることを

「ブランドマネジメント」

と呼びます。


ここで「ブランド化」とは、
自社(自分)にとって望ましい

「ブランド認知」

を形成することと言えるでしょう。


このブランド化に当たって
ぜひとも押えておきたい切り口が、

「ブランドの価値構造」
(ブランドが利用者などに提供する価値の構成)

です。

山本氏は以下の3つの階層で説明しています。

・属性
・機能的価値
・情緒的価値


これを人に当てはめる、すなわち

「パーソナルブランド」

について考えてみると次のようになります。

-----------------------------

・「人」の属性

 性、年齢、学歴、保有資格など
 (客観的な特徴)


・「人」の機能的価値

 企画力、コミュニケーション力など、
 仕事を遂行するために求められる能力
 (実務遂行能力)


・「人」の情緒的価値

 その人と一緒にやる仕事は、安心できる、
 楽しい、勉強になる、成長感が得られるといった、
 相手に好ましい感情を湧き起こさせる資質
 (端的には「人間性」や「人間力」と言えるでしょう)
 
--------------------------------

そして、ブランド化とは、
基本的にはこの価値構造の視点から、
それぞれの価値を高めていく取り組みだといえます。

もちろん、すべての価値を同じように
高めるのではなく、自分の強み・弱みを考慮して、
メリハリをつける必要がありますが。


上記の人のブランド価値構造を踏まえると、
さまざまな示唆が得られますね。

例えば、

・高い学歴や資格など、
 どんなに優れた属性を持っていても、
 機能的価値、すなわち実務遂行能力が
 伴わなければブランド化は難しい

・どんなに優れた実務遂行能力を発揮できる人でも、
 極端な自己チューや高慢な態度によって周囲の人に
 ネガティブな感情を与えてしまうようであれば、
 情緒的価値を提供できていないことになり、
 仕事が回ってこなくなる可能性がある。

といったことです。


近年は、機能的価値=実務遂行能力を
提供できるのは当然であり、むしろ、

情緒的価値=人間性、人間力

を求める傾向が強くなってきています。

この背景には、
あらゆる分野が高度化、複雑化、専門化した一方、
もはや1人でできる仕事はほとんどなくなり、
実際の業務では、様々な専門家がチームを組んで、
共に取り組む必要性が出てきたことがあります。

チームとしての成果につながるためには、
メンバーから総スカンされるような、
情緒的価値のない人間は、個人としてどんなに
優秀でも「使えない」ということになってしまうわけです。


近年、米国のビジネス界でも、

“Personality matters”(人格が大事)

という言葉がささやかれるようになっています。

他人を押しのけてでも個人の成功を追求することを
良しとしてきた米国でさえ、もはや、仕事力だけでなく、
高い人間性によって人を魅了しなければならないという
認識が高まってきているのです。


山本氏の説くパーソナルブランド論の詳細については、
下記参照記事、および参考書籍をぜひご覧になってください。


*参照記事

『エンジニアも知っておきたいキャリア理論入門』
第14回 選ばれるエンジニアになるためのブランド力を養う


*参考書籍

『グッド キャリア』
(山本直人著、東洋経済新報社)

投稿者 松尾 順 : 09:06 | コメント (0) | トラックバック

♪民主党の時代いつ来る♪なんて歌ってた桑田さん

先日の衆議院議員総選挙。

下馬評というか事前予測通り、
民主党の大勝に終わりましたが。

ただ、春先の時点では、
民主党が総選挙で大勝ちする可能性は
かなり低かったですよね。


5月4日に放送された

『桑田佳祐の音楽寅さん』(フジテレビ)

では、ビートルズの名盤「アビーロード」を元に、
当時の政局を風刺した内容が盛り込まれた

ソラミミ版「アベーロード」

の中のバラード、

‘Because’

で桑田さんは次のように歌ってました・・・
(Becauseのメロディにあわせて、
 ソラミミ日本語を歌ってみましょう!)

-------------------

民主党
Because


違法?小沢 譲らん
Because the world is round

異端児微妙・・・
It turns me on

違法?小沢 剛腕
Because the world is round

(中略)

Ah・・・ゼネコン金づる
Ah・・・love is all, love is new

特捜もナタ振るう
Love is all, love is you


民主党の時代いつ来る
Because the sky is blue

夢くすみ暗い
It makes me cry

民主党の時代 いつ来る
Because the sky is blue・・・

---------------------

投稿者 松尾 順 : 17:22 | コメント (0) | トラックバック

ガソリンスタンドがなくなる日

先日、両親の金婚式のため福岡に里帰りした際、

「自動車整備」

の会社をやっているイトコたちと久しぶりに
話すことができました。

イトコたちも私もいい年(中年)なので、
自然に仕事が話の中心になります。


自動車整備業界も厳しい昨今ではありますが、
長年地元に根ざして信頼を築いてきたおかげで
彼らの会社もなんとか回っているそうです。


とはいえ、自動車の電子化の進展によって、
修理・整備の能力がどんなに高くても、
いわゆる従来の

「自動車整備士」

では手に負えない部分が増えてきています。

ですから、長期的には楽観できないし、
次世代の自動車整備士として生き残って
いくためには日々勉強が必要のようですね。


さて、これからの自動車整備士に、
確実に新たなスキルを要求することになるであろう、
電子部品だらけの

「電気自動車」

の本格普及期はいつ頃やってくるんでしょうか?


日産自動車社長&CEOのカルロス・ゴーン氏は、

「2020年までに電気自動車は市場の一割を占める」

と予測しています。


たとえ、

・エンジンからモーターへ
・ガソリンから電気へ

という移行が完了したとしても、

「自動車」

そのものが不要になることはないでしょうから、
自動車整備の仕事は残るとしても、
間違いなく存亡の危機に立たされるのが、

「ガソリンスタンド」(以下「GS」)

ですね。


当面、電気自動車の「電池」の容量の制約から、
ガソリンと同様、街中に充電設備が必要です。

ですから、従来のGSが

「充電スタンド」(電気スタンド?)

へと生まれ変わっていく流れが、
まず起こるでしょう。


ただ、1台の電気自動車の充電に
必要な電気代は200円足らずなのだそうです。

充電スタンドにとっては、この電気代が

「原価」

になりますよね。

これに、諸経費、利益を乗せたとして
1台当たりの売上はせいぜい、

300-400円

といったところでしょうか。


ガソリンの場合は、おおむね

2,000円以上/台

でしょうから、
充電スタンドの売上(単価)は
現在の数分の一にとどまる。

とても採算が取れません。


また、危険物を扱うため、
厳しい規制の元で設置されるGSと異なり、
充電器はコンビニなどにも簡単に設置可能。
(現在は1台800万円くらいするようですが)

ですから、

「充電サービス」

だけでみると、
充電スタンドの競争相手は
拡大することになります。

GS業界にとっては、
さらに厳しい時代が間近に迫っているのです。


しかしながら実は、

そもそも充電器さえ不要になる時代

が、おそらく50年くらい先には
やってきそうなのです。

現時点ではまだ実験段階ではありますが、

「無線で電気を飛ばす技術」(無線充電)

が実用化され社会に浸透した時、
GSはおろか、

「充電スタンド」

さえ過去のものとなるでしょう。


無線充電装置が、路肩のガードレール、
あるいは、道路のアスファルトに
埋め込まれていれば、電気自動車の受電装置に
常時電気を送ることが可能になります。

そうすると、
レールから常時電気をもらって走る電車と同様、
電気自動車も、充電の心配を一切することなく
好きなところに行けるようになる。

充電のために立ち寄る施設は、
もはや不要になるというわけです。


今回、随分未来の話をしています。
しかし夢物語ではありません。

先端技術動向をチェックしていれば、

いつ(WHEN)変化が起きるか

までは正確に言えないけれど、

「確実にやってくる未来」

を見ることは可能です。


ここで、

“まだまだ先のことだから・・・”

と油断していると、
どんな業界、どんな会社・人にも

「時代遅れ」
「過去の遺物」
「無用の長物」

などと言われる日が、
あっというまにやってきます。

実際、ドッグイヤー、マウスイヤーと呼ばれる
インターネット技術の進展と社会への浸透に
よって、わずか10年足らずの間に、
消滅を余儀なくされつつある業界や会社が
既に出てきていますよね・・・


GSに話を戻しましょう。

ガソリンスタンドは、実は和製英語。

米国では、

「サービスステーション」(SS)

と呼ばれているのをご存知かと思います。


今後、GSが生き残っていくためには、
給油、あるいは充電サービス以外に、

「どのようなサービスが可能なのか?」

を真剣に考え始める必要がありそうです。


*参照記事

『充電インフラ整備、どこも及び腰 
 電気自動車、普及に向け不安』
(日経ビジネス、20098月10日・17日号)

『2030年への挑戦 次世代産業技術
 光速充電技術(下)』
(日経産業新聞、2009/07/29)

投稿者 松尾 順 : 12:09 | コメント (2) | トラックバック

ひろみトラベル

東京JAZZ2009、9月5日(土)19:00~@東京フォーラムA

3組のアーティストが登場。
上質のパフォーマンスをたっぷり聴かせてもらいました。

みんな良かったけど、やはり上原ひろみさんが最高。

今回のテーマは、‘ひろみトラベル’

世界ツアーで立ち寄った場所で書いた曲中心の演奏。
聴衆を世界の旅へ!

シシリアで書いた曲。
手でピアノの弦を直接ジャラランとならして、
オリエンタル風のイントロが印象的。

ニューヨークの曲。
ひろみさん曰く、‘闘う街’にふさわしく、
アグレッシブで変化に富んだメロディ。

パリの曲はシャンソンの香り。

曲名忘れたけど、
バロックの名曲で箸休め。

ピアノなのに、チェンバロのような複雑な音色が。
弦の上に鉄板でも渡してあったのか・・・

締めは、ラスベガス。
3曲編成。

またもや邸音階の弦を直接弾く。
ウッドベースがピアノから飛び出してきた!

ひろみさんほど、
ピアノを弾くのが楽しくてたまらない
という気持ちが伝わってくる人は
いないですね。


投稿者 松尾 順 : 17:47 | コメント (0) | トラックバック

京おかき

京都せんべいおかき専門店

『小倉山荘』

のECサイトから、

「京都老舗おかき18種類34枚福袋」
(初回限定お試しセット、送料無料1,260円)

を注文してみました。

以前、機会があってちょっといただいたんですが、
とてもおいしかったからです。


うーん、やはりおいしい!!
コンビニのお菓子とは比べものになりませんね・・・


最近、和系お菓子、たとえば
「あんこ」入りのまんじゅうや、先日記事でも取り上げた
「かりんとう」などを若年層はけっこう苦手とする傾向が
高まっているらしいのですが・・・

この背景には、高品質で、本当においしい
和系お菓子を食べる機会が少なくなったからかも
しれませんね。


『小倉山荘』
http://www.ogurasansou.co.jp/

投稿者 松尾 順 : 10:28 | コメント (0) | トラックバック

誰のためのデザイン? - デザイナー調味料ビン

‘マーク・ニューソン’

というオーストラリア出身の
プロダクトデザイナーはご存知ですか?

彼が手がけた製品のうち、
私たちが一番ピンとくる身近なデザインは、

au携帯電話「Talby」

でしょう。

私は、恥ずかしながら知りませんでした。
(そういえば聞いたことがあったような・・・のレベル)

世界的にはかなり有名な存在のようですが、
一般消費者には遠い存在ですよね。


さて、先月(2009年8月24日)から、
マーク・ニューソン氏がデザインした、

「味の素(R)」(調味料)

が新発売されています。


もちろん、中身はあの「味の素」でして、
ビンのデザインが違うだけです。

「味の素マークビン」

と呼ばれています。


同製品は、

「味の素(R)」

の発売100周年の記念として新発売されたもの。


味の素(株)のニュースリリースによれば、

“グローバルに通用する洗練されたデザインの
 新ボトル品種を発売し、商品鮮度をUPする事で
 新規消費者の獲得、使用者層のさらなる拡大を図ります”

とのこと。


で、実際一般消費者の評価はどうかというと・・・

他国ではわかりませんが、
日本の消費者にはあまり受けが良くないようです。


日経デザイン(2009年9月号)では、
既存の調味料ビン2種に、「マーク瓶」を加えた
3種類のビンの形状について、アンケート調査による
比較評価の結果が掲載されていました。


比較対象となったのは、
具体的には以下の3種です。

A:アジパンダビン(たれ目パンダが描かれているもの)
B:卓上小ビン(ビン下部がボテっとしているもの)
C:マークビン(三角錐のとがっている部分を切ったようなデザイン)


詳細は記事を見ていただきたいのですが、
圧倒的一番人気は、やはり「アジパンダビン」でした。

ビンに描かれた笑顔の「たれ目パンダ」を見ると、
思わずこちらも微笑んでしまうデザイン。

そもそも、擬人化(というか擬動物化)されたデザインに、
私たちは強く惹かれる傾向があります。

(とりわけ、「目」には無意識に注目してしまうのです)

この点が、今回の調査でも明確に現れています。


2番人気は、卓上小ビン。

こちらは、いわゆる「ウーマンボディ」に近い形状で、
スカートをはいた女性のイメージ。

親しみを感じやすいデザインだと言えます。


一方、マークビンは全く人気がないのです。

設問のうち、

「総合評価」
(あなたが実際に購入するとしたらどれが欲しいですか?)

の回答結果について数値(全体)を示しましょう。

A:アジパンダビン 59.7%
B:卓上小ビン  32.0%
C:マークビン  8.3%

回答者の1割の支持も得られていないのは、
新規層を獲得するのが狙いとしても、
かなり厳しい結果ですよね。


マークビンのデザインに当たって、
発売前のユーザー評価は行われなかったのでしょうか?

もちろん、一流デザイナーの感性から導かれた
デザインですから、ユーザーテストの評価が仮に
低かったとしても、修正してくれとはなかなか
言えないでしょうけど!


マークビンのデザインで、
私が個人的に特に気になったのは、見た目の

「使いにくさ」(使いにくそう・・・)

です。


末広がりのすっと伸びたボディライン。
デザインとしては美しい。

でも、調理中の濡れた手で握ると、
スルッと滑って下に抜けてしまいそうに
見えます。


実際、アンケートの結果を見ると、
全体的に良くないのですが、
特に中高年の評価が低くなっていました。

40代以上の男女で、
マークビンを「使いやすそう」と答えた人は
わずかに7.8%に止まっているんですね。


見た目の持ちやすさや、使いやすさは、
いわゆる

「アフォーダンス」

と呼ばれる理論で説明できます。


アフォーダンスとは、
簡単に説明すれば、

・ドアのノブが丸ければ、回したくなる
・レバーであれば、横にひねりたくなる
・横棒が渡してあれば、押したくなる

といったように、モノの形状によって、
私たちの特定の行為が誘発されるというものです。


ビンの形状についていえば、
一般には、マークビンとは反対の形状、
すなわち

「下すぼまり形状」

が持ちやすさを感じさせ、
利用者の評価が高くなることがわかっています。


したがって、マークビンの形状は、
アフォーダンス的にもあまり好ましくない
と言えそうです。


まあ、あまり評価のよろしくないデザインだとしても、
既存のビンが撤去され、店頭に「マークビン」しか
並んでなければ、この製品を選択するしかなく、
結果的にちゃんと売れていくわけですから、
OKなのかもしれませんが・・・!


ちなみに、アンケート対象者のうち、
マーク・ニューソン氏のことを少しでも
知っていたのは5%でした。

ですから、このビンは

「あの‘マーク・ニューソン’のデザインなんですよ」

と訴えたところで、

「ふーん、誰その人」

と軽く受け流されてしまうだけでしょう。

つまり、本来なら期待したいはずの
著名デザイナーが持つブランド効果も
あまり期待できないということですね。


マークビンのデザインを見ていたら、

“いったい誰のためのデザインなのか?”

ということを改めて考えされられました。


*参照記事
 『ブランド向上委員会第24回 味の素のパッケージ比較
  調味料のビンにデザイナー名は不用』
 (日経デザイン、September 2009)

*関連記事『下すぼまり形状』

*「味の素(R)発売100周年記念「味の素(R)マーク瓶」50g 新発売
 (味の素 ニュースリリース)

*味の素(R)商品詳細情報


*『誰のためのデザイン?』
(D.A.ノーマン著、野島久雄訳、新曜車認知科学選書)

投稿者 松尾 順 : 14:39 | コメント (4) | トラックバック