「小さく作って、高く売る」・・・花畑牧場のブランディング
「生キャラメル」って食べたことありますか?
タレントとしても活躍されている田中義剛氏が経営する
「花畑牧場」
の人気商品のひとつですね。
「生キャラメル」は、2007年4月の発売。
口に入れた瞬間に溶け出すような食感が特徴です。
当初は、販売場所を新千歳空港だけに限定して
プレミア感を創出。
月商4億円を記録する大ヒット商品となりました。
さて、1994年に花畑牧場を開設した田中氏は、
当初から
「ブランディング」
を意識した酪農をするという経営理念・方針を掲げていたそうです。
すなわち、作ったものをそのまま売るのではなく、
農産物を商品化し、その商品に価値を付加して販売すること
にこだわっていました。
そこで、大量生産・大量流通という一般的な方法を避け、
生産量や販売チャネルを限定することにしたのです。
こうして商品のブランド力を高めれば、
高価格での販売が可能になると田中氏は考えました。
これは、
「小さく作って高く売る」
を基本とするヨーロッパ流の酪農経営だそうです。
最初の10年、花畑牧場の経営は赤字続き。
田中氏のブランディングが最初に実を結んだのが、
「カチョカヴァロ」
というチーズです。
スーパーなどへは卸さず、
全国の物産展などで売り続けた結果、
現在は1日に800個を売り上げる人気商品に
なっています。
こうして花畑牧場の取り組みを学ぶと、
田中氏のブランディングの考え方の素晴らしさに
感嘆すると同時に、ブランドを確立するためには
長い時間が必要であり、経営者には我慢と粘りが
必要であることがわかりますよね。
さて、田中氏の優れた経営感覚がうかがえる、
その他の取り組みとしては、
複数の異なる製品カテゴリーを
「ブランドポジション」
を意識しながら展開することで
リスクを分散していることがあります。
花畑牧場の現在の主力商品は、
・生キャラメル
・チーズ
・ホエー豚(養豚)
養豚は今年4月からの新規事業です。
ホエー豚を使った「ホエー豚丼」は、
新千歳空港の直営飲食店では
1日600-1,000食
が出る人気だそうです。
田中氏は、
“芸能プロダクションになぞらえれば、
生キャラメルがアイドル。ホエー豚丼は演歌歌手で、
チーズは万人受けするマルチタレント”
と言っています。
3つのブランドの性格の違いをうまく活かすことで、
安定した売上げを確保することに成功しているのです。
近年、農畜産業は、
燃料や肥料・飼料高等によるコスト上昇と、
大手流通業の圧力による売価の低下によって
赤字経営を余儀なくされているところが多いですよね。
農畜産業における経営改革を進めるのは
そう簡単ではないのはわかりますが、
花畑牧場のブランディングには学ぶところが
多いのではないでしょうか?
*参考資料
・日経4946file キーパーソン(2008 OCTOBER)
・日経MJ記事(2008/12/08)
投稿者 松尾 順 : 2008年12月09日 09:11
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コメント
まつおっちさん
まいどっ!
経営者には我慢と粘りが必要ですが、田中氏はほんとに借金だけでも膨大だったし大変だったでしょうね。
見かけだけでは分からないすごい経営者ですね。
投稿者 しがっち : 2008年12月10日 09:11
しがっちさん、まいど!
内面の強さ、不屈の精神は、
ぱっと見の外面だけではわからないことも
ありますね。
投稿者 松尾順 : 2008年12月10日 16:11
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