購入者と利用者

商品によっては、

「購入者」と「利用者」

が違うことがありますよね。

例えば、夫の身の回りのもの(特に下着などの衣服類)は、
妻が適当に選んで買っているという家庭が多いでしょう。

これは、一般に

「代理購買」

と呼ばれていますね。


ちなみに、千趣会の方のお話で知ったんですが、
団塊の世代よりも上の年配の男性は、

「Y体」「B体」

といったスーツサイズが分からない人が多いそうですね。

奥さんが買った服をそのまま黙って着てるだけなので
自分のスーツサイズを知らないのです。


さて、今年3月、ワコールが発売した男性用ガードル、

「クロスウォーカー」

が大ヒットしています。
(日経ビジネス、2008年11月17日)


当初の販売目標は、年間20万枚でした。

ところが、この目標はわずか3ヶ月でクリア。
10月には50万枚を突破しています。


当商品は、女性向けの補正下着として、近年、
高い人気を維持している、

「スタイルサイエンス・トレーニングボトムシリーズ」
(ブランド名としては、‘おなかウォーカー’など)

の技術を男性用下着にも応用したもの。

この下着を週5日、毎日6千歩以上歩くと、
体脂肪を燃焼させ、胴囲を減少させる効果があります。


ところが、発売前の量販店バイヤー向けの商品説明会では

「売れない」

という声が多かったそうです。


その理由は、高価格であること。

当商品の価格は、

・量販店向け3,150円~
・百貨店向けは約4,935円~

です。

一般の男性用下着は1枚1,000円以下ですから、
3倍以上の価格差があります。


男性用下着の購入者は、
前述の通り、代理購買者である「主婦層」です。

低価格志向の強い主婦には、
とても受け入れられる価格ではないとバイヤーは
判断したのでしょう。


ところが、メタボに悩む現代の男性は、
これまでの下着にはなかった

「体脂肪を燃焼させる」

というクロスウォーカーの機能に注目し、
奥さんに任せるのではなく、自らスーパーに
足を運び、購入する人が増えているのだそうです。


つまり、クロスウォーカーでは、
従来の下着にみられた「代理購買」ではなく、

購入者と利用者が同一

という新たな購買パターンを生み出すことに
成功したわけです。

自分のため、しかも、「痩身」「健康」といった
現代人の最大の関心事のためであれば、多少高くても
買っちゃいますよね。


マーケティングプランを立案する際、
対象商品に関わる購買者、利用者、提案者、影響者など
立場が異なる様々なターゲットを考慮しなければなりませんが、

「クロスウォーカー」

のケースは、ターゲットを硬直的に捉えてはいけない
という教訓を与えてくれますね。


*関連記事

「愛すべきなまけものたちへ」・・・
ワコール・スタイルサイエンスのWeb-CRM

投稿者 松尾 順 : 2008年11月17日 14:40

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.mindreading.jp/mt/mt-tb.cgi/963

コメント

コメントしてください




保存しますか?