ディズニーランドより楽しい?「キッザニア東京」

2006年10月に開業した

「キッザニア東京」(以下「キッザニア」)

に行かれたことありますか?


「キッザニア」は、
子供たちのための「職業体験型テーマパーク」です。

この施設では、

・働いてお金を稼ぐ
・稼いだお金を銀行に預ける
・稼いだお金を店で使う

といった、大人にとっては「日常的なこと」ですが、
子供たちにとっては「非日常なこと」を体験できます。


キッザニアでは、
楽しみながら社会勉強ができる(仮想の)街ということで、

「エデュテイメントタウン」

と自らを呼んでいます。


なお、「エデュテイメント(Edutainment)」は、

・エデュケーション(Education)
・エンターテイメント(Entertainment)

の2つの要素が融合しているという意味を持つ造語ですね。


キッザニアのメインターゲットは、
小学校低中学年、つまり7-9歳の子供たち。

ただ、実際には中高生の社会科見学や修学旅行先として
利用されることも多いため、7-9歳を頂点として
顧客層の裾野は意外に広いようです。


ご存知の方も多いと思いますが、
キッザニアが生まれたのはメキシコ。

メキシコの子供たちに大人気だったキッザニアを
日本に持ってくる際には、日本のスポンサー企業の理解・賛同
を得るのに苦労したとのこと。

従来にない施設だったからです。


また、果たして日本ではうまくいくかどうか、
懐疑的な人もいましたが、フタを開けてみれば大成功!

昨年07年度は、延べ97万人の来場者数を記録。

「ディズニーランドより楽しい!」

と繰り返しリピートする、
熱狂的な子供たちのファンも生まれています。

実は、私の長男(小6)も、
昨年初めてキッザニアを体験しましたが、
今もディズニーランドよりキッザニアに行きたい
と申しております・・・


さて、キッザニアとディズニーランドは、どちらも

「非日常」

を演出している点は同じながら、
それぞれのコンセプトや仕組みを比較してみると、
ある意味対極的な位置づけにあることがわかります。


それは、まず第1に

・ディズニーランド=ファンタジー
・キッザニア=リアリティ

という対比です。


ディズニーランドは、
来園者を夢の世界に連れて行くため、

「日常生活」

を思い出させないための細かい工夫がしてあります。

とことん

「ファンタジー」

を追求しているのがディズニーランドです。


一方、キッザニアは、
「リアリティ」にこだわっています。

子供たちはスポンサー企業のパビリオンで、
様々な仕事、職種を体験できます。

例えば、大和運輸のパビリオンでは宅急便で荷物を配達し、
ピザーラのそれでは、実際に食べられる本物のピザを焼き上げる。


キッザニアでは、スポンサー企業の出展に当たって、
自社事業に関連のある仕事であり、かつ各事業の独自ノウハウに
基づいた職業体験ができることを求めたそうです。

ですから、100%全く同じとはいかないまでにしても、
大人が実際に行っている宅急便やピザーラなどの仕事を
子供たちも同じ業務で行うことができるようになっています。


また、キッザニアでは、
様々な企画を立てるに当たって、

「子供だましはしない」

ということをいつも言っているそうです。

相手が子供だからといって、
リアリティに欠けた

「ままごと遊び」

に過ぎない内容にしてしまうと、
子供たちはすぐにふざけ始めてしまうからです。


さて、ディズニーランドとキッザニアの
もう1つの大きな違いは、

・ディズニー=受動的体験
・キッザニア=能動的体験

です。


ディズニーのアトラクションは
基本的に見て楽しんだり、決められたレールの上を走る
ライドに乗って楽しむ。

客側のアクションはほとんどありませんよね。


しかし、キッザニアでは、1部2部総入れ替え制、
1度に最大1500人の子供たちを入場させ、
5時間にわたって、70種類を超える職種の中から
好きな職種を選んで、子供自身が体験できる仕組み。
(1回の入場で体験できるのは、5職種前後だそうです)


例えば、テレビ局(BSフジ)のパビリオンでは、
子供たちが、アナウンサー、音響エンジニア、ディレクター、
スタイリストなどになりきって番組を作っていく。

運営方のスタッフは結構大変でしょうけど、
いろいろとハプニングも起きたりして、子供たちは
臨場感あふれるリアルな仕事現場の一員になれるわけです。

すなわち、キッザニアが提供しているのは、

能動的な娯楽

なのです。


同じテーマパークでも、ディズニーとキッザニアでは、
ずいぶんと楽しみ方が異なることがおわかりでしょうか。


なお、子供たちの中には

「キッザニアよりもやっぱりディズニーが好き!」

という子もいるでしょうし、
どちらがより優れているかという話をしたいわけではありません。


ただ、ハード面でも多大な投資が必要なディズニーランド型
のテーマパークと違い、「職業体験」というソフト面の充実
でリピート客を生み出しているキッザニアからは、
大人も学べる点が多いように思います。


当記事は、以下の講演の内容を参考にしました。

*日本マーケティング協会 月例会(2008/09/28)

「職業体験テーマパーク『キッザニア』の開発について

 講師:株式会社キッズシティージャパン
    マーケティング部部長 関口陽介氏


*キッザニア東京
http://www.kidzania.jp/index.html

投稿者 松尾 順 : 2008年09月29日 17:37

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