サービスだけでは勝負できない
大手量販店に、
「価格」
では太刀打ちできない中小小売店は、
「サービス」
で勝負するしかない、と言うのは、
中小相手のコンサルタントの常套句です。
確かにおっしゃるとおりではありますが、
現実はそう簡単ではありません。
価格ではなく、サービスを優先して
購入先を決める消費者はそう多くはないからです。
やはり、ほとんどの人は、
目先の購入時点での価格が安いほうがいいわけです。
購入後に受ける「未来のサービス」を考慮した上で、
高い値段を受け入れてくれる奇特な人はまれでしょう。
実際、九州地盤の「ベスト電器」(業界7位)は、
「サービス」を強みにしており、「価格」については
強気の水準で設定していましたが、本土から進出してきた
ヤマダ電機やヨドバシカメラの安値攻勢に押され、
このところ厳しい状況が続いています。
(日経MJ、2008/07/28)
既に一般消費者には、
「ベスト電器は高い」
というイメージを持たれてしまっているため、
店頭での価格交渉が可能にも関わらず、
値札を見たら、さっさと帰ってしまうお客さんが
多いそうです。(その後はヤマダ電機などに足を
運ぶのでしょうね)
電器製品のように、どこで買ってもモノ自体の価値が
変わらない場合、やはり「サービス」だけでなく、
「価格」でも勝負できなければ話にならない
というのが真実でしょう。
逆に、価格で大手に対抗できるなら、
大手にはできない
「キメ細やかなサービス」
が大きな強みとなります。
この点で、中小電器店を糾合し、
購買力(バイイングパワー)を大手並みに高めることに
成功した
「アトム電器チェーン」
の取り組みは注目に値します。
アトム電器チェーンに加盟する全国の電器店は、
現在510店舗です。
同チェーン本部では、
この加盟店全体の販売力を背景にメーカーと直接交渉。
大手量販店と同じ売価でも、
十分に利益が取れる卸値で仕入れを行っています。
ただ、アトム電器チェーンが、
巨大な販売力を持つ大手量販店に今後も対抗していくためには、
さらに加盟店を増やし、購買力を高めていく必要があります。
消費者の立場で言えば、もし価格が同じ水準なら、
言うまでもなく、親身で手厚いサービスをしてくれる町の
電器屋さんで買いたいと考える方がほとんどでしょう。
とりわけ、高齢化の進む日本社会においてはです。
メーカー主導の系列電器店の活性化の取り組みは、
「価格」に手をつけられないためあまり成功していませんが、
特定メーカーのしがらみのないアトム電器チェーンの今後の
事業展開には注目しておきたいと思います。
*アトム電器チェーンについては、
『ガイアの夜明け』(7月22日放送、324回)を参考にしました。
→バックナンバー
『巨象に立ち向かえ ~町の電器店と商店街の闘い』
投稿者 松尾 順 : 2008年07月28日 18:39
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ヤマダ電機やエディオンが、街の電器店のフランチャイズ化を加速しているようです。
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