拡大するリターン市場
リーダー(バンドマスター)曰く、
“俺たちはオヤジバンドじゃないから、
オヤジバンドコンテストなんか出ないぜ!”
とは言え、傍目からはどう見ても
「オヤジバンド」
にしか見えないバンドのメンバーとして、
私はエレキベースを担当しております。
もちろん、メンバーは皆音楽が大好きで、
以前バンドをやっていたか、やりたかったかのどちらか。
(私がベースを再開したのは20年ぶりでした。)
ただ、ドラマーは関西在住ですし、
残りのメンバーは関東に住んでますが、
なかなか練習スケジュールが合わないのが悩みの種です。
さて、忙しいビジネスパーソンも、
30代後半から40代過ぎになると多少余裕がでてきますので、
「昔やっていたけど挫折してしまったこと」
「昔やりたかったけど、時間的・金銭的余裕がなくて
やれなかったこと」
に向かう人が増えてきます。
私は、こうした中年以降の消費行動を
「肉体的・精神的な老化を防ぎたい」
という意識の反映だろうと解釈しており、
『アンチエイジング消費』
と呼んでいます。
一方、博報堂生活総合研究所エグゼグティブ・フェローの
関沢英彦氏は、上記のような消費行動の結果として、
拡大しつつある市場のことを
「リターン市場」
と呼んでいるようです。
(日経産業新聞、2008/06/13)
関沢氏は、「リターン」と、
類似した言葉である「リバイバル」の2つの言葉の違いを
上記記事の中で説明しています。
「リバイバル」とは、一度すたれた商品やトレンドが、
時代の一巡によって復活すること。
対して、「リターン」は、消費者が自分の意思で、
「昔やっていたこと」
に戻ることです。
例えば、最近、ハーレーを始めとする大形バイクが、
最近中高年に人気ですよね。
彼らは「リターンライダー」と呼ばれているそうですが、
おそらく、10代のころにナナハンに憧れていたり、
400ccくらいのバイクに乗っていた人たちが多いんじゃない
でしょうか。
若い頃は大型バイクは高くて、とても手が出せずにいた。
でも、子供たちも独立して家計に余裕ができた今なら、
買えないこともないといった人たちでしょう。
同様に、高級コンパクトデジタルカメラも、
以前一眼レフに凝っていた写真好きの中高年層が、
好んで買っているのだそうです。
また、私も子供のころ憧れたものの、
やっぱり高くて買えなかったNゲージ、HOゲージなどの
「鉄道模型」
も、今の中高年が、子供そっちのけで夢中に
なってるんですよね。
音楽系で言えば、ピアノやエレクトーンを始める中高年男性が
増えているようですが、最初からいきなり自分の好きな曲を弾く
練習ができるクラスが人気です。
プロを目指すわけじゃないので、
退屈な基礎練習をしてもつまらないし、続かないからですね。
さて、関沢氏によれば、リターン市場拡大の背景には、
「昔のことに再び取り組みたい」
という熱い思いがあるということですが、
市場活性化のための重要なポイントを示しています。
それは、新しい技術によって、
「ハードルを低くしてあげること」
だそうです。
大型バイクは今はマニュアルではなくオートマが主流。
つまり運転しやすくなっています。
このように、そんなに努力しなくても使いこなせる
操作性の高さや、それなりに楽しめる敷居の低さが
重要なのです。
ちなみに、40代以降の人生の後半生における、
人の心理的発達段階は、次の4つの段階に分かれることを
ジーン・コーエン氏(米ジョージワシントン大学の医学者)
が提唱しています。
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1.再評価段階(40代前半から50代後半)
いつかは自分も死ぬという現実に初めて向き合う。
再評価、探求、移行が行動上の特徴で、探究心や危機感に
駆り立てられて計画を立てたり、行動を起こしたりする
傾向がしばしば見られる。
2.解放段階(50代後半~70代前半)
「いまやるしかない」という意識を持つことが多くなる。
これが、新たな「内なる解放」を呼び起こす。
「解放」「実験」「革新」が行動上の特徴で、
自分の要求に従い、自分の思いや個人の自由意識から
計画を立てたり、行動を起こしたりする傾向が
しばしば見られる。
3.まとめ段階(60代後半~80代)
自分の知恵をみんなと共有しようとする傾向が強まる。
「総括」「決意」「貢献」が行動上の特徴であり、
人生を振り返り、総括する中で、人生を意味を見つけたい
という欲求から計画を立てたり、行動を起こしたりすること
がしばしば見られる。
4.アンコール段階(70代後半~人生の最期)
「継続」「回想」「祝福」:が行動上の特徴である。
人生の大きなテーマについてもう一度、語りたい、
主張したいという思いや、そのテーマの変奏曲のように
新たな人生を探求したいという思いから、
計画を立てたり、行動を起こしたりする傾向が見られる。
*以上は『リタイア・モラトリアム』より一部引用。
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これら4段階のうち、「リターン市場」は、
主に最初の2段階、すなわち
「再評価段階」と「解放段階」
にいる人たちがキープレーヤーだと考えられますね。
(参考文献)
『リタイア・モラトリアム』
(村田裕之著、日本経済出版社)
(関連記事)
『男のアンチエイジング消費』
投稿者 松尾 順 : 2008年06月13日 13:38
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コメント
はーい、アンチエイジング消費に取り込まれたひとりでーす。しかーし、エレクトーンに関して言えば、ハードルが低くなるどころか、機械が新しくなるたびに、操作が難しくなるのですよ。頭を使わなければならない。
・・・・・・ン?
これも、アンチエイジングか?
投稿者 グリーンエム : 2008年06月14日 09:30
グリーンエムさん、まいど!
アンチエイジングという点では、
操作が難しくなるほうが確かにベターですよね!
投稿者 松尾順 : 2008年06月14日 12:10
まつおっちさん
まいどっ!
ドラムメンバーさんが上京できないときは、しがっちをレンタルしてくださいませ。
手足思うように動きませんけど・・・
投稿者 しがっち : 2008年06月14日 21:32
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