「魚介類サラダ」vs「海鮮サラダ」
あなたが和風レストランに行ったとします。
そして、メニューブックを見た時、
以下のどちらのメニューの方がより注文したくなるでしょうか?
1 魚介類サラダ
2 海鮮サラダ
おそらくほとんどの方が、
2 海鮮サラダ
と答えるんじゃないでしょうか。
そもそも、「魚介類サラダ」なんて
野暮な名前をつけるレストランは見たことありませんし、
センスありませんけど・・・
さて、レストランで
「海鮮○○」「シーフード○○」
というメニューは思わず注文したくなる、
売上げ増加に効くマジックワード。
魚を好む日本人の食欲中枢をとりわけ刺激する
言葉だと言えます。
「海鮮」のような、
人の感情や欲求を刺激することのできる言葉は
「情緒的意味」
を持っています。
一方、「魚介類」のように、
描写は正確だけれども辞書的な説明にすぎないものは、
「知的意味」
しか持っていないと言えます。
冒頭の例で言えば、
「魚介類サラダ」も「海鮮サラダ」
も実体は同じです。
しかし、人の心を刺激し、動かすという点で
マーケティング的にどちらが優れているかは明白ですよね。
なお、
「情緒的意味」と「知的意味」
の説明は、言語戦略研究所所長、齋藤匡章氏によるものです。
齋藤氏は、
“ビジネスでもプライベートでも、情緒的意味を意識して、
相手の心にスッと入り込むような、気分に合うコトバ、
心になじむ言葉を使うことが大切”
と喝破しています。
余談になりますが、
昨年のM-1の覇者、サンドウイッチマンのコント、
「ピザの宅配」
では、伊達さんがシーフードピザを注文したのに、
富澤さんが演じる宅配のお兄さんは、
「ミックスピザ」
を渡します。
注文違いに気づいた伊達さんが、
「これどう見てもミックスピザじゃねえか!
シーフードピザが、どんなものかわかってるかい?」
と文句を言うと、富澤さんは
「はい、シーフドピザは、
‘死んだばかりの魚介類’
が載ってるピザです。」
と返す。
そして、伊達さんが
「おいおい、
‘死んだばかりの魚介類’
なんて言うな!」
と突っ込みを入れて笑いを取りますね。
彼らの言語感覚の鋭さが現れているコント
だと思います。
*参考文献
『コトバを変えなきゃ売れません。』
(齋藤 匡章 著、サンマーク出版)
投稿者 松尾 順 : 2008年05月19日 10:33
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コメント
WEB広告(テキスト広告)とかリンク文言なんかは、「情緒的意味」より「知的意味」で表現したほうがよさそうな感じですね。「情緒的意味」はややもすると抽象的すぎて意味がわかりにくくなるようにも思えます
投稿者 kaiji : 2008年05月19日 13:35
kaijiさま、コメントありがとうございました!
確かにその通りですね。
人は理屈じゃなくて感じて動くわけですから、
クリックしてもらう文言は情緒的意味が強いものを
選択すべきでしょう。
投稿者 松尾順 : 2008年05月19日 13:40
まつおっちさん
昨日の映画のお話は、私に情報・知識がないため、「ふんふん」と読んでおわってしまったのでした。
今日のお話は、読んでいて、セリングスキルの基本と一緒棚と思いました。
「Feature&Benefit」に近いのかな。。。と。
お客様はその商品・サービスの特徴(長とはかぎらないので)を購入するのではなく、その商品・サービスから得られる自分にとっての「価値(それが直感・感覚的なものであっても)」を購入するんですね。
しがっち
投稿者 しがっち : 2008年05月20日 08:12
しがっちさん、まいど!
なるほど確かに!
知的意味=実体的、機能的訴求
情緒的意味=便益的、感覚的訴求
と対応させられそうです。
投稿者 松尾順 : 2008年05月20日 09:05
難しいですねぇ 海鮮? 魚介類? 確かに私もどちらかと聞かれれば海鮮もしれません ネーミングって難しいですね ネーミング次第で商品の
売れ行きが決まると言っても過言じゃない
私は、うちのお客様に花の名前を聞かれた時 お年寄りには昔ながらの名前で 若者にはカタカナや横文字の今風の名前で説明します。
特に団塊の世代以外の世代はネーミングや知名度でお花を選ぶ方も少なくありません
日本人はミーハーなのでしょうか(笑)
手にとって綺麗な花なら たとえ『田吾作』というネーミングでも私なら買いたいですが、
どうもブランドや学歴を気にする世間様の価値観は違うようです。
見た目、ネーミング、花持ち、その方々のハートを掴まなきゃ商品は売れませんからね(笑)
投稿者 光!治める為に!! : 2008年05月20日 16:00
光!さん、ども!
年齢に応じて花の名前を使い分けるなんて
さすがですね。
贈答品としてのお花なら、実体よりも
イメージが重要ですよね。だから年配の方は
ネーミングや知名度で選ぶのかも。
投稿者 松尾順 : 2008年05月20日 18:30
あえて「魚介類サラダ」とメニューに書き、
お客さんも納得して頼む
(そういうお客さんが集まる店)というのも戦略かと…。
懲りすぎですかね(笑)
「たっぷり魚介類サラダ」とか!
ブログでしか存じ上げませんが、
いつも松尾さんの深い分析に感心しております。
投稿者 川島孝之(表参道の小さな広告屋から) : 2008年05月20日 23:39
川島さま、コメントありがとうございます。
魚介類でも別にネガティブなイメージは
ないのでネーミングに使ってもOKではありますよね!
投稿者 松尾順 : 2008年05月21日 10:37
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