「歌」というコミュニケーション
元携帯電話のセールスマン。
英国のスター誕生番組でその才能を見い出され、
今は世界ツアーを敢行するほどの人気を
博している英国人の新人オペラ歌手。
その人の名は・・・?
ポール・ポッツ氏です。
彼の名前は覚えていなくても、上記番組
「Britan's Got Talent」(以下「BGT」)
に登場し、冴えない風貌と裏腹に、
「誰も寝てはならぬ(Nessun dorma)」
(プッチーニの歌劇、『トゥーランドット』から)
を高らかに歌い上げ、
聴衆を感動させた動画を「YouTube」で
ご覧になった方が多いでしょう。
彼は今週来日し、渋谷Bunkamuraの
オーチャードホール
での2日間にわたる公演を成功裡に終えました。
私は昨晩(4/30)の彼の公演に、
トレンドウォッチングを兼ねて行ってまいりました。
何がトレンドウォッチングかというと・・・
まったくの無名。しかも、デビューして
1年にもならないオペラ歌手が、いきなり
「オーチャードホール」(総客席数2,150)
でのライブを実現できたのは、
「ネットの力」
以外に考えられないからです。
昨日の公演でも入り口で来場者を観察していたのですが、
中学生だけのグループからお年寄りまでいろんなタイプ
の人たちがいて客層がバラバラ。
おそらく、ポール・ポッツ氏来日コンサートのチケットを
購入した人の共通点は、口コミなどを通じて彼のことを知り、
「YouTube」を見て感動し、
「ぜひ、自分の耳で直接聞いてみたい!」
と考えたことだけだと思います。
もしネットがなかったら、
決してこんなことは起こらないですよね。
さて、肝心の彼の歌ですが、
やや線は細いものの、繊細で伸びやかな高音がすばらしく、
心の奥底まで入り込んできます。
彼は小さい頃から歌が大好きで、6歳から地元の教会で
歌っていたそうです。しかし、オペラの英才教育を受けた
エリートではなく、ほぼ独学で今の歌唱力を身につけた雑草
のような人。
思わずプロ野球の現楽天監督、野村克也氏を連想しました。(笑)
彼が歌った曲の歌詞は英語やイタリア語なので
言葉として伝えたいことはほとんどりわかりませんでした。
しかし、彼の歌に対する「熱い思い」は
聴いているほうにも確実に伝わってきました。
たとえ歌詞がわからなくても、歌はまぎれもない
「コミュニケーション」
であることを改めて納得しました。
ついでながら、私の好きなラブコメ映画のひとつ、
「Music & Lyrics」(ラブソングができるまで)
では、ヒュー・グラント演じる元ポップスターのアレックスと、
ドリュー・バリモアが演じるソフィーの2人が
新曲を作り上げていく中で愛を育んでいくという話なんですが、
この中のある場面でソフィーが口にするセリフがちょっと
面白いです。ご紹介しておきましょう。(意訳してます)
“メロディーは人に初めて会うようなもの。
身体的な魅力だとかセックスだとかに惹かれて。
でもその後で、その人となりを理解するのが歌詞よ。
相手のストーリーを知ることでね。
メロディーと歌詞が組み合わさって魔法ができるの”
このソフィーの言葉に従うなら、
ポールポッツ氏が歌う歌詞の意味も理解できたなら、
さらに昨日のコンサートが楽しめたということになりますね。
どちらにせよあの歌声だけで十分堪能できましたけど!
*ポール・ポッツ情報
http://www.bmgjapan.com/paulpotts/
*こちらで「BGT」のコンテストの動画も見れます。
投稿者 松尾 順 : 2008年05月01日 13:20
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