2008年米国大統領予備選・民主党両候補のSWOT分析
「SWOT分析」は、
何らかの目標達成に向けての戦略立案に用いられる分析方法
です。
‘SWOT’は、
以下の4つの切り口の頭文字を取ったもの。
S:Strength(強み)
W:Weakness(弱み)
O:Opportunity(機会)
T:Threat(脅威)
SとW、すなわち「強み」と「弱み」は、
当事者(企業または個人)についての特質であり、
「内的要因」
と呼ばれます。
一方、OとT、すなわち「機会」と「脅威」は、
当事者を取り巻く外部環境についての特質です。
「外的要因」
と呼ばれます。
SWOT分析を行う意義は、
戦略立案において考慮すべき、
重要な内外の要因を明確化すること
にあります。
まあ、実際「SWOT分析」をやってみると、
当事者としては既に頭ではわかっていたことを
記述してあるに過ぎない
と感じることが多いのですが、
大事なのは、言語化しておくことで、
未来に向けての方向性を指し示す
「戦略」
の妥当性を検証しやすいこと、また
関係者の納得を引き出しやすいことにあります。
さて、宣伝会議最新号(2008.3.15)では、
2008米国大統領選挙予備選候補である、
民主党のクリントン、オバマ氏、共和党のマケイン氏を
対象としたSWOT分析が行われています。
なかなか面白い分析でしたので、
ここでは、注目度の高い、クリントン、オバマ氏の
SWOT分析の結果のみ引用させていただきたいと
思います。
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★S:強み
(クリントン氏)
・知名度、実績経験、政策通
・民主党基盤層
・党内エスタブリッシュメントとのパイプ
・資金力、組織網、ビル・クリントン
(オバマ氏)
・勢い、新鮮さ、率直、弁舌能力
●若年高学歴高所得層
●外交左派・内政中道
・マイノリティ民主党支持総
・資金力、ネット組織、支持者熱意
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★W:弱み
(クリントン氏)
・分断政争政治の象徴
・世論の好悪感二分、計算高さ
○父権主義・恩寵主義
(オバマ氏)
・経験不足、政策能力未知数
・党内エスタブリッシュメントと疎遠
○●人種
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★O:機会
(クリントン氏)
・共和党不人気、民主党に追い風
・世論の内政重視
(オバマ氏)
・共和党不人気、民主党に追い風
・既存政治への不信、変革志向
・無党派層の予備選挙大量参入
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★T:脅威
(クリントン氏)
・既存政治への不信、変革思考
・無党派層の予備選挙大量参入
(オバマ氏)
・内政緊急課題の山積
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やはり、こうして列挙してみると
両候補者の内外の特質がすっきり理解できますね。
なお、上記の中で示されている
○は、本選挙で「有利」に転化しうる要因
●は、本選挙で「不利」に転化しうる要因
です。
クリントン、オバマ氏のSWOT分析結果を読むことで、
私たちのような傍観者としては、彼らがどのような戦略を
展開してきたのかを考える面白い材料になりますね。
このSWOT分析を行った平林氏の特別寄稿は、
米国予備選において、
「なぜ、オバマ氏は‘変革’という
ブランドイメージの構築に成功したのか」
という点をマーケティング視点で
的確に解説されています。
一読をお勧めします。
(上記SWOT分析の出所)
弱みを利点に変えたオバマ
米国大統領選挙 予備選挙のマーケティング
(平林紀子氏、埼玉大学 教養学部 教授)
宣伝会議、2008.3.15
投稿者 松尾 順 : 2008年03月27日 11:12
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