ネット革命後のダイレクトマーケティング
・eDMでセール品の情報が届く。
・または、紙DMでお勧め商品のカタログが届く。
・あるいは、新聞の折込チラシで特価品が目に入る。
あなたは、こうした情報を見て、
それらの販売対象商品を欲しいと思った。
そして、代金を払えるだけのお金もある・使えるとします。
その場ですぐに発注しますか?
しませんよね。
欲しい商品がその企業からしか買えない場合を除いて、
ほとんどの人はまず、ブラウザーを立ち上げ、
検索エンジンや比較サイト、口コミサイトを活用しながら、
・同一製品でもっと安いところはないか
・類似商品と比較して、欲しい商品のスペック(仕様)は、
自分のニーズを十分に満たしてくれるか
を十分に吟味するのではないでしょうか。
これは、
「自分にとって最善の取引(購買)をしたい」
という気持ちがベースにあることはもちろんですが、
「主導権」
が企業側ではなく「自分にある」という状態で
自ら情報を収集し、比較検討できることが大きいと
思います。
言うまでもなく、
人は、誰か他人にコントロールされることを
最も嫌います。
このあたりがわかっているトップセールスマンは、
あたかも買い手が自分で決めたかのように感じさせる
セールストークに長けているわけですが。
したがって、従来のように、
ダイレクトメールやチラシ一発で高い反応を狙うのではなく、
より詳細な情報を提供できることに加えて、
消費者主導での比較検討が可能な
「Webサイト」
への誘導を主体にコミュニケーション設計することが
「ダイレクトマーケティングの定石」
になりつつあります。
いわゆる「ネット革命」のBEFORE/AFTERで
ダイレクトマーケティングのロジックが
大きく変化してしまったのです。
(もちろん、従来の手法が通用する商品カテゴリーも
まだまだありますが)
先日、来日されていた米国のダイレクトマーケティングの
第一人者のひとり、Ron Jacobs(ロン・ジェイコブス)氏は、
私が聴いた講演の中で、現代の消費者心理について
次のようなことを強調されていました。
・私(消費者)は、主権(オウナーシップ)を求める。
ブランドは、ブランド自身のことではなく、
自分たち消費者のことを語ってほしい。
・私は選択肢(製品、品質、サービス、価格)を望む。
そして、選択肢が手に入るところに自ら出向く。
・いつでも、どこでも、どんな方法で売り込んでもらっても良い。
しかし、その売り込み(コミュニケーション)をどんなタイミング、
どんなチャネル、どの場所で受け取るかは私が選ぶ。
・そして、可能なら、私が買う気になったときに、
(企業が)そこにいてくれるといいのだが。
ダイレクトマーケティングの手法は、
本質的には、「プッシュ」なものですよね。
しかし、もはやほとんどの企業は、
「私ども(企業)は、
こんな製品をこんな条件でご提供できます。
十分比較検討なさった上で当社製品を選んで
くださるならうれしいです。」
としか言えません。
こうした消費者主権の時代、「プル」の時代となった今、
ダイレクトマーケティングの理論と実践にも、
大きなパラダイムチェンジが求められているように思います。
投稿者 松尾 順 : 2008年03月26日 13:21
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