2007年日本の広告費とMC戦略の課題
先日、2007年の「日本の広告費」(推定値)が
電通から発表されていますね。
普段はどっぷりとミクロな現場にはまっているせいか、
私自身、なかなかこのようなマクロ的な視点で
自分の属している業界を眺めることがありません。
でも、たまに大枠の数字を振り返っておくのは、
方向性を見失わないために役立ちます。
では、全体感の把握を優先して、
おもいきり丸めた数字で広告費の構成を見てみましょう。
日本の総広告費は約7兆円。
7兆円の構成比は、大きくは
・従来のマス媒体(テレビ、ラジオ、新聞、雑誌)と、
「インターネット」「衛星メディア関連(CATV、BS、CS)」
・プロモーショナルメディア
の2つに分けて考えるのがわかりやすいです。
「プロモーショナルメディア」とは、
具体的には、
・屋外・交通広告
・新聞折込
・DM
・フリーペーパー
・POP(店頭での広告)
などのことを指します。
ブランド認知や理解を主目的とするマス媒体の広告と異なり、
プロモーショナルメディアは、消費者の「購買行動」を
刺激することに重点を置く「販売促進ツール」ということで
分けて考えるわけです。
さて、7兆円の約4割(39.7%)を
「プロモーションメディア」
が占めています。
金額にして約2兆8千億円です。
つまり、残り6割が
「4大マス媒体+インターネット+衛星メディア」
となります。
では、4大マス媒体とインターネット、衛星メディア関連の
それぞれの広告費、および構成比を並べてみます。
・テレビ 約2兆円 約3割(28.5%)
・新聞 約1兆円 1割超(13.5%)
・インターネット 約6千億円 1割弱( 8.6%)
・雑誌 約4千5百億円 約7%( 6.5%)
・ラジオ 約1千7百億円 約2%( 2.4%)
・衛星メディア 約6百億円 約1%( 0.9%)
インターネットの広告費(媒体費+制作費)が、
ついに雑誌を追い抜いていますね。
実は昨年2006年時点ですでに逆転していたのですが!
傾向としては、4大マス媒体はどれも、
近年、広告費の低下が顕著になってきています。
インターネット、そしてより究極の成果(購買)を
求めるプローショナルメディアへの予算配分が増加している
ためです。
ところで先日、
日本マーケティング協会主催のセミナー、
「マーケティングフロンティア2008」(08/03/10)
に出席しました。
当セミナーのオープニングで登壇された
田中洋氏(法政大学教授)は、
上記に挙げた日本の広告費の数字を説明しつつ、
現在の日本企業においては、
「マーケティングコミュニケーション戦略」(MC戦略)
が岐路に立たされているという問題提起をされていました。
この「岐路に立たされている」背景としては、
私もご説明したように、
・インターネット広告の隆盛
・既存マスメディアの相対的後退
に加えて、
・コミュニケーション戦略の困難
を田中氏は指摘されています。
確かに、これだけ多様なメディア・ツールが次々と現れ、
かつ、それらを適切に組みあせること(クロスメディア)
が求められるわけですから、戦略の立案にしろ、
実行にしろ、以前よりもはるかに難易度が高くなっています。
そしてまた、田中氏は、
「MC戦略において何が問題・課題なのか?」
という点が、
関係者間できちんと共有されていないと
考えているそうです。
そこで、今回のお話の中では、田中氏が考える
「MC戦略の課題」
を挙げてくれました。次の通りです。
-----------------------------------------
1 マス広告の効率悪化にどう対処するか
2 インターネット広告をどう活用するか
-マスメディアとどう連関させるか
-ウェブサイトをどう位置づけるか
3 プロモーションメディアをどう活用するか
-OOH(Out of Home広告:屋外・交通広告等のこと)、
フリーペーパー、DMなど
4 キャンペーンをどうプランニングするか
-そのための人材をどう確保・育成するか
------------------------------------------
さらに、上記課題の達成のヒントを
田中氏は示してくれています。
------------------------------------------
*メディアの位置づけをはっきりさせる
-多メディア時代にメディアの役割がハッキリする
*メディアのリンケージによるシナジーを考える
*その業種に特有な効果的メディアを見つける
-(例えば)消費者金融→テレビ、ネット、ティッシュ(街頭配布)
*キャンペーンプランナーの養成と発見
------------------------------------------
以上のテーマはどれも重い内容を含んでますので、
おいおい取り上げていきます・・・
(ご参考)
日本の広告費の推移がわかるグラフが、
以下のページで閲覧できます。
電通「日本の広告費」 1985年~2007年の時系列データに
よるグラフ(ネットレイティングス社長、萩原雅之さん作成)
投稿者 松尾 順 : 2008年03月12日 13:23
トラックバック
このエントリーのトラックバックURL:
http://www.mindreading.jp/mt/mt-tb.cgi/787
このリストは、次のエントリーを参照しています: 2007年日本の広告費とMC戦略の課題:
» プロモーションの変化 from みんなの知
今日は以前TBをさせて頂いたことのあるブログ「マインドリーディング」に広告のことで気になる情報がありましたので、まず以下に引用させて頂... [続きを読む]
トラックバック時刻: 2008年03月12日 22:44
» same day payday loans from same day payday loans
デイリーブログ『マインドリーダーへの道』 [続きを読む]
トラックバック時刻: 2013年06月12日 09:19
» teeth whitening at home from teeth whitening at home
デイリーブログ『マインドリーダーへの道』 [続きを読む]
トラックバック時刻: 2013年06月17日 02:02
» fat burners from fat burners
デイリーブログ『マインドリーダーへの道』 [続きを読む]
トラックバック時刻: 2013年06月23日 18:27
» cheap jordans from cheap jordans
デイリーブログ『マインドリーダーへの道』 [続きを読む]
トラックバック時刻: 2013年09月18日 14:21
» christian louboutin outlet from christian louboutin outlet
2007年日本の広告費とMC戦略の課題 [続きを読む]
トラックバック時刻: 2013年10月14日 15:38
» シャネル 歳末セール 通販 from シャネル 歳末セール 通販
2007年日本の広告費とMC戦略の課題 [続きを読む]
トラックバック時刻: 2013年12月29日 12:40
» New Years Nike Running from New Years Nike Running
2007年日本の広告費とMC戦略の課題 [続きを読む]
トラックバック時刻: 2013年12月31日 19:46
» シャネル from シャネル
2007年日本の広告費とMC戦略の課題 [続きを読む]
トラックバック時刻: 2014年01月03日 10:04
» social media marketing services from social media marketing services
2007年日本の広告費とMC戦略の課題 [続きを読む]
トラックバック時刻: 2014年01月16日 16:15
コメント
コメントしてください