人工生命体Boidsの基本ルール
空を飛ぶ鳥の群れや、あるいは
水の中の魚の群れとそっくりの動きをする
コンピュータ・シミュレーションがあります。
これは、ソニーコンピュータエンタテイメントの
米国研究開発部門で働く、クレイグ・レイノルズ氏が
開発した「人工生命体」です。
「Boids」(ボイド)
と名づけられています。
*シミュレーションはこちらで見ることができます。
まるで生きているかのように、
群れをなして飛び回るボイズの動きは、
次のわずか3つの行動ルールに基づいているだけです。
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1 セパレーション(Separation):分離
→仲間に近づきすぎたら離れる
2 アラインメント(Alignment):整列
→仲間と同じ方向に同じ速度で飛ぶ
3 コアージョン(Cohesion):凝集
→仲間の中心方向に飛ぶ
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「Boids」の動きは、
鳥でいえば「飛行」を模したものになっていますが、
鳥と同じく
「群れる動物」
である「人間」の社会的活動の多くは、
こうした基本的なルールが背景にあると考えても
いいのではないでしょうか。
以前から何度か書いてきたように、人間の3大本能は、
・食欲
・性欲
・集団欲
です。つまり、食欲、性欲と並んで、
「群れたい」
というのはDNAに埋め込まれた本能です。
これは、上記の3つのルールの中では、
・コアージョン:凝集
に該当する行動になるかと思います。
要するに、仲間同士で寄り集まること。
こうして、外敵から身を守ったり、
お互いに助け合って生きていこうとするわけです。
さて、集団を維持するためには、
構成員があまり身勝手な動きをするわけにはいきません。
そこで、お互いの動きを見ながら同調しようとします。
これは、
・アラインメント:整列
のルールに該当しますね。
社会現象におけるトレンド、ブームの発生は
結局のところ、こうした、他の人に合わせようとする
行動が根底にあるということだと思います。
ついでながら、他の人の意見や行動に基づいて
物事を判断したり、自分の行動を決める傾向のことを
社会心理学では、
「社会的証明」
と言います。
さて、人は群れたがるとはいえ、
一方で「個」としてのアイデンティティを維持したいとう
欲求もあります。
自分という存在を他と明確に識別したいということです。
このため、必要以上に近づきすぎるのを避けようとする。
これは、
・セパレーション:分離
というルールに基づく行動として現れることになります。
「群れたい」という「コアージョン」(凝集)と
「離れたい」という「セパレーション」(分離)は、
相反する行動ですが、鳥にしろ、人間にしろ、
くっついたり離れたり
(同調したり、しなかったり)
を繰り返しながら集団生活をしているということでしょう。
そして、この行動のブレは、
当然ながら消費行動にも反映されてきます。
・新商品が出たばかりのころに手を出すのは、
集団の変わり者だけ。
・でも、買う人が増えてくると、
「みんな買っているから」というだけで買いだす。
・そうして、多くの人に行き渡ってしまうと、
みんな同じだと、つまらなく感じてしまって買わなくなる
投稿者 松尾 順 : 2007年11月07日 11:11
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