ソーセージは赤いもの

先日、日本ハムで多数のヒット商品の開発を手がけた
伝説のマーケターの方の話を聞きました。


私くらいの年代(40代)が小さかった頃、
つまり昭和40年代に、お弁当などに入っているソーセージと言えば、

「赤いもの」

でしたよね。

あの色はもちろん合成着色料の色です。

そして、中身は、魚肉、豚肉、牛肉などを
ミックスしたものが主流でした。


当時、その伝説のマーケターは、
品質にこだわった商品を開発しようと、
着色しない自然のままのソーセージ、
また中身はポーク100%など、高品質の製品を
いろいろと出したそうです。

ところが、手を変え品を変え、
どんなに優れた高品質の製品を出しても、
見た目の色が「赤」でなければまるで売れなかったのです。


食品の添加物には敏感な今の私たちには、
とても信じられない驚愕の話ですよね。


さて、ユーザーが購入に当たって重視する品質のことを

「知覚品質」

と呼びます。

これは、製品の「客観的な評価」ではなく、
ユーザーがどう感じているかという「主観的な評価」のこと。


昭和40年代のソーセージの場合、

「色が赤いこと」

というのが、ソーセージ選択における
最も重要な「知覚品質」だったというわけです。


新製品開発に当たっては、

ターゲットユーザーの「知覚品質」を
的確に理解していないと売れる商品は作れない

ということをこの話は教えてくれますね。


類似の話では、以前もちょっと書きましたが、
米国進出に失敗した化粧品メーカー、

「ファンケル」

の例がありました。


日本では、ファンケルの無添加化粧品は、

「肌に優しい」

ということが評価されて、
瞬く間に大手化粧品ブランドの地位を確立しました。


ところが、米国の女性には受け入れられませんでした。

その理由のひとつが、

「刺激が少なすぎて使った気がしない」

ということらしいです。

実は、化粧品のピリピリする刺激は、
配合されている添加物のせいなんですが。


ユーザーの「知覚品質」って、
どちらかといえば右脳的・感覚的な判断ですから、
必ずしも合理的なものではないということがよくわかりますね。
(もちろん、食品にせよ、化粧品にせよ、
 添加物は一律に良くないと考えるべきではないでしょうけど)

投稿者 松尾 順 : 2007年10月30日 09:59

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