自動化される顧客情報収集
今日は、技術革新が顧客情報収集の自動化を
可能にしつつあるという話です。
「CRM」(Customer Relationship Managment)
や
「ワン・ツー・ワンマーケティング」
は、詳細な顧客情報に基づき、
適切な個別対応や提案を行うことを通じて、
良好な関係を形成・維持するもの。
その結果として、
長期的な収益を向上させる考え方です。
「CRM」や「ワン・ツー・ワンマーケティング」
は単なる流行り言葉ではありません。
これからの経営・マーケティングの核となるものです。
なぜなら、製品自体の機能・品質では、
競合との差異を生み出しにくくなっている今、
顧客に対する理解の深さ、密着の強さが多くの企業における
「成功の鍵」
だからです。
問題は、個人情報保護法のしばりや、
ユーザー側のプライバシー意識の高まりによって、
個人情報の収集がますます困難になってきたことですね。
性、年齢、職業といった基本的な情報でさえ、
ストレートに聞きにくい。
また、まともに答えてくれないこともが多い。
(年齢はさばを読むなど・・・)
そこで、進展する情報技術によって顧客を自動識別し、
また情報として蓄積する仕組みが開発されつつあります。
(日経MJ、2007/10/10)
例えば、NECソフトの年代・性別推定システム、
「フィールドアナリスト」
は、デジタルカメラを利用した顔認識技術を応用して、
顔の輪郭やしわ、たるみから、
「年代」「性別」
を瞬時に判定することが可能。
その精度は性別判定で9割だそうです。
このシステムと接続されたデジタルカメラを
リアル店のあちこちに設置しておけば、
売り場毎・時間帯毎にどんな性別・年代の人が多いかを
分析することができるようになります。
あるいは、POSデータ(購買データ)と
組み合わせることによって、より詳細な購買分析が可能。
同様の情報を人手で調査・収集しようとすれば、
1日あたり数十万円かかりますが、このシステムは、
カメラ1台につき年間使用料200万円ということですから、
決して高いものでありません。
同システムが発売されれば、
導入する小売店が結構多いかもしれません。
また、映画「マイノリティリポート」の一場面を
思い出させるシステムも登場してます。
(主演のトム・クルーズが、屋外看板の前を通ると、
彼を個別認識して看板の中の人物が話しかけるシーンが
ありましたよね。)
三菱電機が開発中のシステムは、
通行客の性別と人数を顔認識システムで判断し、
客層にあった情報をディスプレイに表示することが
できます。
たとえば、ショッピングセンター入り口の壁にある
ディスプレイの前をサラリーマンが通過すると、
「旬の魚を使った居酒屋」の案内が表示され、
女性3人組の場合だと「イタリア料理店」が
表示されるという具合。
このシステムでは、顔が比較的大きければ男性、
小さければ女性と認識しますが、精度は8割程度。
年代でも、明らかに20代なのに40代に間違うケースもあり、
まだまだ実用化は先になりそうです。
まあ、いかに正確に顧客を判別したところで、
その後の適切な対応・提案も重要なんですよね。
上記のシステムで表示される
サラリーマン→居酒屋、女性→イタリア料理店
という客層と提案の組み合わせは、
ややステレオタイプ的で、その効果は怪しい・・・
現時点ではまだまだ初歩的なシステムではありますが、
今後どこまですごいものになるのか楽しみです。
(ユーザーの立場では、ちょっと気味が悪い感じもしますけど)
投稿者 松尾 順 : 2007年10月24日 10:12
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コメント
こんにちは。お邪魔しています。
年齢って難しいですよね、時計で測るところの時間と、身体的な意味での年齢って違うと思いますから、何をどこまで一緒くたに考えていいのか分からないことが多々あります。
でも9割というのはスゴイ的中率ですね!
投稿者 s2 : 2007年10月24日 16:31
s2さん、まいど!
しょせん、肉体的年齢しか判別してないんですよね。
精神年齢まではわからない(笑)
なんだかんだいっても、デモグラフィク属性だけで
どこまで消費行動が説明できるのか、予測できるのかとう
問題も残っています。
投稿者 松尾順 : 2007年10月24日 17:59
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