「面白がり」になる方法

先日書いた「創造性の必要条件とは?」で、
優れたクリエーターたちはみな、強い「好奇心」の持ち主
であることを指摘しました。

すなわち、好奇心を阻害する「固定観念」や「先入観念」を
簡単に捨てることができ、どんなことに対しても虚心坦懐に

「面白がれる」

ということが「創造性の必要条件」であるということです。


ただ、この記事を書きながら、
ひとつ気になっていることがありました。

それは、

・どうしたら「強い好奇心の持ち主」になれるのか?
・どうしたら、何に対しても「面白がれる」ようになれるのか?

ということでした。


正直なところ、「好奇心の強さ」は生まれつきのものか、
子供の頃の環境によって決まるものだと思っていました。

ですから、大人になってから、

「好奇心」

を強化できるトレーニングなんてないだろうと・・・


でも、確実に好奇心を強化する効果がありそうな方法が
ひとつあることが昨日わかりました。


それは、

「お遍路さん」

になって、四国八十八箇所の札所を回ることです!


実は昨日、過去3年間ほど愛媛での仕事のため
四国に住んでいた友人(女性)が今年東京に戻ってきまして、
四国滞在中に「お遍路さん」をやった話を聞きました。


彼女(以下、Yさん)の話で特に面白かったのは、
八十八箇所を回りきった今、

「なにを見てもやっても楽しい」

と、感じるようになったということでした。


それはなぜなのか、私は突っ込んで聞いてみました。

Yさんによれば、お遍路さんをやっている間に
次のような気持ちの変化があったそうです。


八十八箇所を全部回りきるためには、
毎日30キロ程度歩いても40日以上かかります。

すなわち、総歩行距離は1200-1400キロに達します。


最初は、

「なんでこんなこと始めちゃったんだろう・・・?」

と多少後悔したそうです。


しかし、歩く途中に見える田んぼや山、川などの
自然の風景のすばらしさに感動し、だんだんと楽しく
なってきた。

ところが、さらに歩いていると、
どこまでいっても同じような風景が続くため

「飽き」

が来たのだそうです。

しかし、ここからが大事だとYさんは思い、
我慢して歩き続けた。

そうすると、淡々とした単調に見える風景の中に、
新鮮な何かを感じることができるようになったらしいのです。

今日見えている山は、昨日見た山と同じような山だけれども、
歩き続けているわけですから、もちろん違う山です。

ここで、Yさんは、2つの山の同じ点(共通性)ではなく、

微妙な「違い」(異質性)を見つける、感じること

ができるようになったのです。

一言で言えば、感受性が磨かれたということでしょう。


そして、Yさんは、東京に帰ってからも、
日々の何気ない日常の中から自分にとって楽しいことや
面白いことをごく自然に感じ取ることができるようになった
というわけです。


この話を一緒に聞いていた仲間の一人は、

「Yさんは人生の達人になったんですね」

と言ってましたが、まさにその通りでしょう。


毎日を新鮮な気持ちで迎えることができ、
日々、「発見」の喜びを得られる人こそが

「人生の達人」

です。

そして、こうした発見が、
新たな創造へと昇華されていくのだと思います。


さあ、あなたも「面白がり」になりたかったら、
四国八十八箇所、お遍路の旅にチャレンジです。(笑)

投稿者 松尾 順 : 2007年10月17日 09:00

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コメント

実はウチの妹が大学の時「お遍路さん」をやったんですが、やはり同じようなことを言ってました。

補足すると、めぐりの最中は「お手伝いをする代わりにお世話してもらう」ことが必要になるのですが、この過程で「人に感謝する」「人に感謝される」ということがすごく自然な気持ちで行われるため、心が穏やかになれたのだとか。

「好奇心」と「平和な心」が両立。それが人生の達人への未知なのかも?な~んて。

自分も俄然挑戦してみたくなりました!

投稿者 はぐれヲタ : 2007年10月17日 17:12

はぐれヲタさん、まいど!

「感謝する心」が持てるようになるのは、お遍路さんのもうひとつの効用ですよね・・・

こういう書き方は、自分でもちょっといやですけど。

ともあれ、感謝する心が「自然体」につながり、結果として日々が新鮮で楽しいものになるんじゃないかと思います。

投稿者 松尾順 : 2007年10月18日 00:50

松尾さん、ブログに書いてくださって、ありがとうございました。


ところで、感謝の気持ちももちろん湧くのですが、
信じる気持ちが、より深く自分の中に持てたように思います。

歩ききった自分、それを支えてくれた地元の人々、お遍路さんたち。
人間を丸ごと信じる気持ちと言うのかなー。


支えになったのは、出会った人々ばかりではないんですよ。

同行二人といいますが、一緒に歩いてくださった弘法大師。
また、今までに歩いて回った先輩お遍路さんたち。
数え切れない方々の思いに支えられて歩けた気がします。


共感していただくために、歩き遍路、お勧めします(笑)。
はぐれヲタさんも、ぜひ!

投稿者 うわさの? Yです : 2007年10月19日 00:06

いつも、楽しく拝見させていただいています。
ちょうど、自分もその「好奇心」の高め方であったり
「自信」というものに課題を感じており、Yさんのお話、大変参考になりました。
ありがとうございます。

投稿者 : 2007年10月22日 02:20

周さま、こんにちは。

コメントありがとうございました。
お遍路のように、日常から一歩離れてみる効果って大きいと
思いますね。


今後ともよろしくお願いします。

投稿者 松尾順 : 2007年10月23日 09:28

>うわさの? Yです様

ありがとうございます。
やはり聞いただけではわからないいろんな思いがあるのでしょうね。私も是非挑戦してみたいと思います!

>支えになったのは、出会った人々ばかりではない。

この感覚を味わってみたい!

投稿者 はぐれヲタ : 2007年11月01日 12:02

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