[BRQ]ブランド関係性の質を評価する(4)BRQ低下をもたらすもの

「BRQ」(Brand Relationship Quality)

における「消費者」と「ブランド」との間の

「感情的なつながり」

は次の7つの軸でした。

1 親密さ(Intimacy)
2 こだわり(Commitment)
3 パートナー品質(Partner Quality)
4 今の自分とのつながり(Self-connection)
5 愛着(nostalgic feeling)
6 相互依存(Interdependence)
7 愛情(Love/Passion)


これら7つの軸のそれぞれの評価方法は、
以前ご説明したように、基本的には、
消費者対象のアンケート調査を自社ブランド、
および競合ブランドについて実施することで数値的に把握します。


その結果、たとえば、1の「親密さ」の軸の数値が、

自社:4.3、競合:3.1

だったとします。

これは、消費者(顧客)がそれぞれのブランドに対して抱く
「親密さ」については、自社ブランドのほうが強い
ということを意味しています。

ところが、7の「愛情」の軸の数値は、

自社:2.2、競合:4.5

だったとします。

これは、競合ブランドについては、
そのブランドを愛する熱狂的なファンが多いと考えられること、
逆に自社ブランドに対しては、消費者は愛情をあまり
持っていないことがうかがえる結果です。

ちなみに、「愛情」の数値が低い結果になるのは、
他ブランドと変わり映えしないのでどれを選んでもいいのだけど、
たまたま近くの店に置いてあるから買っているだけとか、
他に選択肢がないから、仕方なしに買っているようなブランドに
多く見られます。


ともあれ、自社としては、この結果を踏まえて、
どうしたら消費者が自社ブランドに対する

「愛情」

を高めてもらえるのかという「改善施策」を考え、
実行に移すのが次のステップになります。


さて、今回は、BRQの7つの軸を低下(悪化)させる原因になる
企業行動にはどんなものがあるかを解説しておきましょう。


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・勝手な製品仕様の変更

「ニューコーク」の失敗が典型事例ですね。

慣れ親しんだ味やパッケージデザインをいきなり大胆に
変えてしまうと、ユーザーの怒りを買い、「愛情」「愛着」が
低下します。

ですから、多くの企業では、製品仕様は、
消費者の嗜好の変化に合わせて、ごくわずかずつ、
気づかれないように変化させています。

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・在庫切れ

「相互依存」が低下します。

消費者とブランドの間に「なければ困る」という
関係性ができている場合、「在庫切れ」が消費者にとって
最大の悪夢となります。

ちなみに、若者にとって「相互依存」が高いのは、

「コンビニ」

ですね。店として考えた場合、
24時間365日、いつでも開いてるという安心感が
あることが、「相互依存」を高めることに寄与しています。

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・見当外れなメール

先日新車を買ったばかりのディーラーから、
別の車のダイレクトメールが届いたら、

「自分の状況をまるで理解していないな」

と感じますよね。自分を理解していないことがわかる
コミュニケーションは、「親密さ」を低下させます。

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・品質の低下・問題

最近、頻繁に明るみになることの多い、
賞味期限切れ食品の販売や食品表示偽装などが典型例ですが、
「パートナー品質」や、「こだわり」「愛情」を低下させるのが、
品質の低下や問題です。

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・信頼の裏切り

上述した食品表示の偽装などは、
単なる品質上の問題だけでなく、

「信頼の裏切り」

でもあります。

しかも、事件発覚後に自己保身からごまかすためについた
「うそ」がばれることによって二重の裏切りを犯してしまう
企業が多いですね。

これもまた、

“このブランドなら安心だ”

という「パートナー品質」や、

“このブランドでなければ・・・”

という「こだわり」を低下させます。

地に墜ちた「雪印」ブランドが代表的なケースと言えます。

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次回は最終回。まとめです。

投稿者 松尾 順 : 2007年10月09日 11:15

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コメント

コレは客側としても、サービス提供側としても思い当たるところがありますね・・・。

この中で「相互依存」を取り上げてみます。

「在庫切れ」が「相互依存」の値を下げるという点は新鮮な感覚ですが、言われてみれば納得ですね。
ちょうど昨日「Amazon」の仕入れの対応の遅さにいらだって、「楽天ブックス」を初めて使うことになったのでその感情も理解できます。

逆に考えると「Amazon」はいつのまにか私に対して「高い相互依存」を築いてきたともいえます。これがスゴイ。
自分の会社お客さまに対しても、「相互依存」のような状態を作るためには、どうしたらいいのかも考えたいところです。

P.s.絞るつもりでしたが、もう一点。
「パートナー品質」と「セルフコネクション」は両者の区別を含めてまだまだ理解が不十分かもしれません。明確に区別する必要はないかもしれないんですが、どうもしっくりこないんですよね・・・。もうちょっと実例とかを考えてみます。

投稿者 はぐれヲタ : 2007年10月09日 12:58

パートナー品質とセルフコネクションは、このキーワードだけではピンとこないですよね。

「パートナー品質」は、端的には、文字通り商品やサービスの安定した品質の高さからくる安心感や信頼のことです。「頼れる」「まかせられる」という感じ。

「セルフコネクション」は、当該ブランドと自分の価値観や生き方とのマッチ度。「しっくり感」あるいは、「ぴったり感」とでも言い換えるといいですかね。

投稿者 松尾順 : 2007年10月09日 13:08

>松尾さん

どうもありがとうございます。
「まかせられる度」や「ぴったり感」という表現は良いですね。
自分も「品質」という範囲が広い言葉や横文字を、自分なりに理解できる表現に変換する訓練をしておきます。

投稿者 はぐれヲタ : 2007年10月18日 14:31

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