AMNブログマーケティングポリシー(β)について

現時点で35個のブログをネットワーク化し、バナー広告や、
ブログ・オン・ブログ広告(最新RSSフィードとロゴを掲載)
等を配信している、

「アジャイルメディア・ネットワーク」
(Agile Media Network、以下、AMN)

が先日、

ブログマーケティングポリシー(β)

を公開しています。


ブログを活用したマーケティングは、
現在最もホットなテーマでもありますので、
当ポリシーについてちょっと考えてみたいと思います。


さて、AMNは、

“ブロガーによるブロガーのためのネットワーク”

であり、

「ブロガーと読者と企業の会話を促進することで、
 三社を共感で結ぶカンバセーショナルマーケティングを推進する」

ことを目指しています。


この枠組みにおいて、企業側がエンドユーザー直接ではなく、
人気ブロガーとの会話を行う意味・価値があるのは、
ブロガーは、多数のエンドユーザー(読者)に対して、

・専門影響力(専門的な知識が源となる影響力)
・情報影響力(コンテンツ自体の質の高さが源となる影響力)

を駆使して、強力な影響を与えることができるからです。


ただし、

『影響力を解剖する(6)影響力の源-2』

で書いたように、
ブロガーが自らの利益誘導だけを目的として、
企業からお金をもらって「やらせ記事」を書いたりすると、
読者の反感を買い、影響力を失ってしまいます。

そうなると、企業としては、
ブロガーと会話する意味・価値がありません。


また、ブロガー自身も、
記事を書き続けるために最も重要な動機付けとなっていた

「読者の支持」(ブロガーに対する共感や理解、信用、愛情など)

が失われます。

読者としては、信頼していたブロガーが、
実は企業の提灯持ちだとわかってがっかりです。

もはやこのブロガーは信用できないと、離れていくでしょう。


この結果、ブロガーの「承認欲求」が
満たされなくなりますから、記事を書く意欲が
低下してしまいます。

もちろん、そもそも目的としていなかったのですが、
「金銭的報酬」も得られなくなります。


これは、企業、ブロガー、そして読者の3者にとって
不幸な結末ですよね。


ですから、ブログマーケティングにおいて
厳守しなければならない基本原則は、

「読者をあざむかない」

ということだと私は思っています。


さて、この基本原則に照らして、

「AMNブログマーケティングポリシー(β)」

を見てみます。


同ポリシーの大項目は次の3つです。

・報酬の有無を開示します。
・広告と編集は分離されています。
・率直で正直な意見を尊重しています。


これらは、「読者をあざむかない」ために
最低限必要なポリシーでしょう。

これらのうち、とりわけ重要なのは

「報酬の有無の開示」

です。

これがなければ、
読者をあざむく「やらせ記事」がどんどん生まれて
しまいますからね。


なお、この項目の詳細説明の中には、

AMNは、記事の内容を問わず、
ブロガーが記事を投稿するだけで報酬を支払う、
いわゆる「Pay Per Post(ペイパーポスト)」
にも関与しない

とも書かれています。


「ペイパーポスト」については、
広告であることが明示されていれば問題ないと
私は考えています。

ただ、ブロガーにとっては、
金銭的報酬による動機付けが強くなりすぎて、
広告ばかりの記事が続くことになる可能性が高いですね。

そうなると、やはり読者の支持が弱まり、
ブロガーの影響力が低下することになるでしょうから、

「ペイパーポスト」

を手がけないというのは賢明な判断でしょう。


そして、続く2項目、

・広告と編集は分離されています。
・率直で正直な意見を尊重しています。

は、要するに、ブロガーの記事内容について
AMNは一切影響力を行使しないということを明確にしたものです。

これによって、ブロガーの公正さ、信頼性が維持できるように
意図しているわけですね。

結果として、少なくとも企業やAMNの操作によって、
読者をあざむくような行為の発生を防止することはできます。


残るのは、ブロガー自身の倫理観ということになります。

これについては、AMNができることは限られていますけど。


ただ、同ポリシーの中に、端的に書けば、

「倫理観に欠けるブロガーは、ネットワークに加入させません」

といった項目を追加してもいいかもしれません。

投稿者 松尾 順 : 2007年09月27日 09:20

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コメント

こんにちは。

>「倫理観に欠けるブロガーは、ネットワークに加入させません」

はいいかもしれませんね。

投稿者 河野 : 2007年09月27日 23:41

河野さま、コメントありがとうございます。

並行して、

「ブロガーが持つべき倫理基準を確立し、
 その啓蒙に勤めます」

という文章もあるといいかもです。

投稿者 松尾順 : 2007年09月27日 23:53

連投すみません(笑)

もう、こうなってくると、なんというか、
「人類みなジャーナリスト化」ですね。
今までのメディアでは、発信する側は、少なくても職業人という意識や目に見えない縛りがあったと思うのです、“喰っていけなくなっちゃうから”などの直接的な理由なんかも。
だから「倫理基準」のようなものを、まがりなりにも設けたりできただろうし、その時代時代で適用もできたんだと思います。
(純粋な意味で「倫理」なのかそうでないかは別にして)
要するに無法者や都合の悪いヤツを閉め出したり啓蒙したりしやすかった。

しかし、今は、(そのサービスを本来受けられるはずの末端ユーザー以外の)発信する側、それを利用しようという企業、
また逆にその企業を利用する発信する側が、
「そんなの関係ねぇ」的な人をも多数抱える
巨大『メディア』だったり巨大『広告代理店』だったりするということなんでしょうね。
こりゃ、大変だ!
乱文にて、すみません。

投稿者 Chrosawa : 2007年09月28日 12:54

Chrosawaさん、連投ありがとうございます!

人類みなジャーナリスト化、確かに。
問題は、本人はその意識が必ずしもないことでしょう!

コミュニケーションがいろいろ複雑になってきてますから、
まさに、「こりゃ、大変だ!」です。

投稿者 松尾順 : 2007年09月28日 14:01

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