影響力を解剖する(9)影響方略-2
相手に影響を与えるための具体的な「働きかけ方」のことを
「影響方略」
(Influence tactics、Influence strategy)
と呼びます。
この「影響方略」においては、
これまで紹介した6つの影響力の源、すなわち、
・賞影響力
・罰(強制)影響力
・正当影響力
・専門影響力
・参照影響力
・情報影響力
を有効に活用することにより、
相手に影響を与えることに成功しやすくなります。
『影響力を解剖する』
では、18種類の「影響方略」が挙げられていますが、
これら18種類を
・賞影響力に関連する影響方略
・罰影響力に関連する影響方略
・賞罰に関連しない影響方略
の3つに分類して説明が行われています。
前回は、
「賞影響力に関連する影響方略」
に分類されている5項目をご紹介しました。
今回は、
「罰影響力に関連する影響方略」
に4項目をご紹介します。
[罰を与えると警告する]
罰の基本的な使い方。
親が子供に対して、
「宿題をやらなければ、今日のおやつはなしよ!」
はこれですね。
罰を与えてまでも影響の「受け手」にやらせたいことは、
多くの場合、受け手があまりやりたがらないこと。
このため、影響の「与え手」の指示・命令などに対して、
受け手は表面的に従っているだけに過ぎない、
という点が問題ですね。
これについて、具体例を思い出しました。
在籍した中学の陸上部から、何人もの日本一を輩出したことで
有名なカリスマ体育教師、原田隆史氏は、若いころは
大変なスパルタ先生だったそうです。
「学校では、生徒は先生に従わなければならない」
という正当影響力を背景に、
「ヒットラー」
と影で呼ばれるほど生徒に恐れられました。
ですから、原田先生がいるところでは生徒たちは従順。
まじめに部活動に精を出す。
ところが、原田先生が出張でいなかったりすると、
さぼりまくり。まさに「鬼の居ぬ間に洗濯」。
原田先生は、一度出張したふりをして、
グラウンドが見えるマンションからこっそり
生徒たちを観察して、この現実を知ったそうです。
以来、たとえつらい練習であっても、
生徒たちが自発的に取り組むための工夫を始めた
ということでした。
罰影響力の「持続力のなさ」を原田先生は
身をもって知ったということですね。
[受け手が応じるまで罰を与える]
罰を警告したり、脅かすだけでは、
相手はそう簡単に応諾しないこともあります。
そこで、相手が応じるまで「罰」を与え続ける
「継続的な罰の付与」
が使われることがあります。
これの極端な例は、「拷問」です。
人気テレビドラマの「24」を
好きな方はおわかりになると思いますが、
容疑者の事情聴取の場面が頻繁に登場しますね。
そして、容疑者が筋金入りのワルの場合、
「さっさと吐かないと痛い目にあうよ」
といった単なる脅かしでは通用しないことが
わかっているジャック・バウワーは、
周囲の制止を振り切り、強引な体罰を与え続けますね。
相手が自白するまで。
[第三者から罰が与えられることを指摘する]
母親が、電車内で騒ぐ子供に対し、
「ほかの人に怒られるよ」
というのはこれ。
会社であれば、
「この仕事に失敗したら、社長がどんなに怒ると思う?」
などと、より権威のある、立場の強い存在からの罰を
ほのめかすものです。
自分に罰を与えるだけのパワーがない場合に
有効な影響方略ですが、なんとも陰険なやり方ですね。
[受け手が与え手にかけた迷惑を思い出させる]
過去において、
受け手が与え手に与えた迷惑を思い出させ、
「罪の意識」
を感じさせることによって、従わせようとするもの。
これは、受け手に「負い目」を感じさせることが、
「罰」
を与えていることに等しいと考えられます。
ただ、相手によっては、
「過去のことなんか持ち出して・・・」
と逆に反発を招く可能性があります。
また、
「過去は過去、今は今でしょ」
と開き直る人には効果が減少します。
以上ご紹介した「罰影響力」を使った4つの影響方略は、
基本的に、人のネガティブな感情を突くものですから、
他に方法はない時以外は、利用しないほうがよさそうです。
投稿者 松尾 順 : 2007年09月10日 11:07
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