リンガーハット・・・体感価格の読み違い
「長崎ちゃんぽん」
って、九州以外の方にはあまりなじみのない料理だと思います。
うどん、そば、ラーメンのように
どこでも食べられるものじゃないですからね。
でも、福岡生まれの私にとっては、
「長崎ちゃんぽん」
は、小さいころから
うどん、ラーメンと同じくらい慣れ親しんだ味です。
(「そば」は年に1回、年越しそばの時に食べるくらいでした)
ですから、18歳で東京に出てきてからも、
渋谷や銀座にあるチェーン店の「リンガーハット」に
わざわざ足を運んでいました。
今は、事務所から近い御茶ノ水店ができたので、
週1ペースで通っています・・・(^_^;
さて、リンガーハットは、
昨年(06年)9月に若干の値上げをしたんですが、
以来、客数の落ち込みが激しく業績悪化に苦しんでいます。
値上げ前のレギュラーちゃんぽんの値段は、
399円(税込み)、値上げ後は450円。
海鮮、肉、野菜がたっぷり入った健康的でおいしい料理が
400円未満で食べられるのは格安。大変お得でしたし、
値上げ後の450円でも十分安いと思いませんか?
(逆に、具がちょこっと乗っただけの普通のラーメンが、
東京では600円以上するのが信じられません・・・)
リンガーハットの経営陣も、
「450円でも通用するだろう」という自負があったようですが、
ふたを開けてみたら大誤算!
今、慌てて割引クーポンを発行して客を呼び戻そうと
がんばっています。
まあ実際に、ひとりのユーザーの立場で考えると、
約400円から450円への値上げというのは、
絶対的な価格としては安いけれど、値上げ率は10%以上に
なりますから、「体感価格」としては「大幅値上げ」です。
リンガーハットの場合、味のおいしさだけでなく、
安さに惹かれていたユーザーも多かったと思いますから、
この価格差の大きさが客足を遠ざけることになったのでしょう。
リンガーハットの誤算は、
「プライシングの難しさ」を教えてくれますよね。
絶対価格じゃなくて、
元の価格(基準価格)との相対的な差が重要だ
ということをうまく読めなかったということでしょう。
まあ、後付け講釈ですから
いくらでももっともらしいことは言えますけど。
私の場合は、値上げ後もリンガーハットに
足繁く通ってますから多少の批判はお許しを!
大好きなリンガーハット、がんばれ!
余談ですが、マクドナルドは、
今年(07年)6月から地域別価格を導入してますね。
東京では3-5%の値上げ。
当初、ユーザーに受け入れられるか心配されましたが、
あまり客足に影響は出ていないようです。
マクドナルドの場合、かなり綿密なシミュレーションに
基づいて地域別価格を決定したようです。
さすが外資系企業。
リンガーハットのように、
「原材料の価格高騰」を理由に、経営側の思い込みだけで
値上げしてしまうのとは違います。
ただ、マクドナルドの場合、
ここ数年、あまりにも価格改定が頻繁でしたから、
そもそも元の価格(基準価格をどこにおくべきか、
ユーザーがよくわからなくなっています。
マックの価格に対する感度は、いわば
「マヒしている状態」
と言えます。
100円マックが維持されているのも、
値上げを感じさせないことに寄与していますね。
投稿者 松尾 順 : 2007年07月23日 11:14
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コメント
長崎生まれの私としては、ちゃんぽんが450円で食べられる、ということにすら驚愕なのに!
オフィス(大手町)近辺に、リンガーハットがあったら足繁く通うと思います。現場のちゃんぽんの相場を知っている人間ならこのお得感を分かってもらえそうですけど。
プライシングって難しいですね。
頑張れ!リンガーハット
投稿者 よしまさ : 2007年07月23日 12:23
よしまさ様、コメントありがとうございます!
長崎でも400円代って安いんですね・・・
その意味でも、リンガーハットは本当にいい店です。
投稿者 松尾順 : 2007年07月23日 12:38
あくまで推測ですが・・・。
リンガーハットは基本的にカウンターの店ですよね。
そのスタイルは吉野屋、松屋などと一緒。
それらの店は一番安いメニューは300円台。
それが450円となると、おっしゃる「体感価格」上場のインパクトは大きかったのかなと。
他にもメニューがあるのだから、そちらは値上げして、399円は堅持。
その分、つい手を出してしまうサイドメニューやトッピング(既に具だくさんだから難しいか?)を充実するなどの手だてはなかったんですかね
もしくは大盛り分の追加価格を値上げとか。
ペネトレーションプライシングからの値上げって、一番難易度高いですからね。
マーケティングの4Pのうちpriceは利益に直結するので、いじりたくなる気持ちはわかるんですが・・・。
投稿者 金森努 : 2007年07月24日 07:27
金森さん、まいど!
ご指摘のとおり、レギュラーメニューを
いきなり400円台にしてしまったのは明らかな間違い。
メインユーザーは若者ですし、
比較対象は松屋、吉野家あたりでしょうから。
サイドメニューあたりからじわじわと焦らず
上げるべきでした。
あるいは、ボリュームを若干減らして
実質値上げにするとか。(これはちょっと、
ユーザーをだますようなやりかたではありますが)
なお、テーブル席もかなりありますので、
郊外店は家族連れが主力です。
投稿者 松尾順 : 2007年07月24日 09:23
リンガーハットはわりと好きなチェーンです。
10年以上前に在籍していた会社の近くにあって、深夜まで開いていて安くて味が僕好みだったのでよく行ってました。
最近は近くにないのと安さにこだわらなくなったので頻度は減りましたが、味は好きなので見かけたら行きますね。
値段は・・・確かにぎりぎり300円台(笑)と450円は、実際以上に心理的な差が大きいかも。
ほんと、プライシングは難しいですね。
投稿者 開米瑞浩 : 2007年07月24日 10:02
開米さん、まいど!
ちゃんぽんは、とんこつ味ですから、
結構、好き嫌いが分かれるんじゃないかと思います。
開米さんはあの味がお好きなんですね。
私の場合、御茶ノ水店ができる前は、年数回しか食べる機会がありませんでした。さすがに、わざわざ店に行くために出かけるということはしなかったです。
投稿者 松尾順 : 2007年07月24日 13:23
ちなみに僕が行ってたのは渋谷店なので、どっかですれ違ってたかもしれませんなー
投稿者 開米瑞浩 : 2007年07月24日 14:04
人はやはりラーメンやうどん、ちゃんぽんを食べに行くときに値段を気にするものなんですね。けして裕福ではありませんが、さすがに50円くらい別にかまわないじゃないか。と私は思ってしまう側。あぁ、経営者でなくてよかった?
投稿者 sopiez : 2007年07月25日 12:31
sopiezさん、コメントありがとうございました。
50円の差は実際、ほとんどの人にとってはたいしたことないんですよね。
購入対象によって、「心理的財布」の大きさが違ってくるのってほんと不思議です。
投稿者 松尾順 : 2007年07月25日 12:41
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