その商品は、どんな奴だ。
当メルマガ&ブログでも以前ご紹介しましたが、
「ペルソナ(デザイン)法」
という比較的新しいプランニング手法があります。
「ペルソナ」とは、
企業が提供する製品・サービスにとって
最も重要で象徴的な
「顧客モデル」(=顧客像)
のこと。
そして、「ペルソナデザイン」とは、
上記の顧客モデルを作ることです。
「ペルソナ」は、実在する人物ではありません。
しかし、ちゃんとした名前を与えます。
そして、性別、年齢はもちろん、
職業、住居、年収、家族構成、趣味、レジャー、
スポーツ、ファッション、購読雑誌、結婚観、
飼っているペット、食事の好みなどなど、
できるだけ詳細なプロフィールを設定します。
すなわち、「ペルソナデザイン」では、
従来のマーケティングにおいて設定されることの多い、
「20代男性」
といった大括りの漠然としたターゲット像と異なり、
より具体的で明確な顧客像を描きます。
したがって、
エッジの効いたデザインやコンテンツ設計、
コミュニケーション施策のプランニングが可能になります。
最近ようやく、ペルソナデザインを解説した単行本が
初めて発刊されたばかりですし、普及はまだまだこれから
というところですが・・・
『ペルソナ戦略-マーケティング戦略、製品開発、
デザインを顧客志向にする』
(ジョン・S・ブルーイット著、秋本芳伸訳、ダイヤモンド社)
さて、ペルソナ(デザイン)法は、
理想とする典型的な「顧客像」を詳細に描くことによって、
マーケティングプランニングに役立てるわけですが、
同様に「商品」を人に見立てる、すなわち、
「擬人化」
することがあります。
当記事のタイトルとして使わせていただいている、
“その商品は、どんな奴だ”
は、実は、コピーライター、仲畑貴志氏の寄稿記事
「仲畑貴志氏の勝つ広告」(宣伝会議、2007.7.1)
のタイトルです。
仲畑氏は上記記事において、次のように述べています。
“新製品はもちろん、新たに商品広告に着手するときは、
その商品を一人の人間に見立てて人格形成をしてから
表現に入ると、その後の広告活動にブレがなく進行できる”
“まず性別を決め、年齢、職業、経済性、生活エリア、
家族構成、(中略)・・・と細部に至るほど、
明確な人物像が見えてくる。”
“このように、ひとりの人間として商品のプロフィールを
設定すると、新聞広告や雑誌広告であれば、ヘッドラインや
ボディコピーの文体がおのずと生まれ、さらにその文体が
タイポフェイスを決定し、レイアウトが作られていく。”
つまり、商品の「個性」をはっきりさせ、
人の心に刺さるコミュニケーションを行うためには、
擬人化が有効だということですね。
いま、「個性」という言葉を使いましたが、
ある商品が、単なる「商品」ではなく、
「ブランド」
として確立するためには、
まさにその商品ならではの「個性」を磨き、
際立たせる必要があります。
「擬人化」を行うことは、商品に命を与えるために、
担当者の「魂」を吹き込むようなものと言えるかもしれません。
ついでながら、マーケティング・コンサルタント、
森行生氏の「プロダクトコーン理論」の3層構造、
・規格
・ベネフィット
・エッセンス
のうち、最上位に位置する「エッセンス」とは、
商品が持つ性格(擬人化)のことです。
<ペルソナ(デザイン)関連記事>
<プロダクトコーン理論関連記事>
*シンプルマーケティング(9)プロダクトコーン理論:訴求の順番
投稿者 松尾 順 : 2007年07月17日 05:55
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コメント
これはペルソナ法とは違うと思いますが、
オタクの世界では消費者が商品を擬人化し、そのキャラクターの力で知名度を得る商品もところどころ見かけられます。
あるいはキャラクター自身が商品になったりすることも。
逆に、その流れを利用してやろうとメーカ側がユーザにこびる中途半端なキャラ作りを行ったものは、ボロックソに批判されることが多いです。
今後は開発の段階でユーザーが関わって性格付けが行われた製品が今後いろんな市場で現れるかも?
投稿者 はぐれヲタ : 2007年07月17日 15:41
はぐれヲタさん、まいど!
キャラクター戦略自体は、擬人法を使った効果的なブランド戦略ですね。メーカーが勝手にキャラ作りをするとボロクソに言われるというのは笑えます。
投稿者 松尾順 : 2007年07月17日 20:17
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