「とんがり」を作るということ
「とんがり」
とは、難しくいえば
「製品差別化(差異化)」
のことです。
他社製品と同じポジションにいると、
どちらか一方しか勝てないという状況になってしまいますよね。
ですから、自社商品はできるだけ
他社と異なるポジションを目指すのが賢明です。
島田紳助は、お笑い芸人を目指す若者たちから、
「紳助さんみたいになりたいんです☆」
とよく言われるそうですが、紳助は、
「わしはもうおるで!」
と返すそうです。
同じポジションを目指すな、と釘を刺しているわけです。
彼自身も、他の芸人やタレントと自分のキャラが
かぶらないことを常に意識してきたのでしたね。
さて、ブランド構築のためには、
“製品差別化を行う”
と難しく言うより、
“「とんがり」を作り上げる”
と説明する方が私は好きです。
その理由は、単にわかりやすいだけでなく、
「とんがり」
という言葉が、
「実行上のポイント」
を端的に教えてくれるからです。
ものを“とんがらせる”ためには、
余計なものをそぎ落としていかなければなりません。
あれもこれも・・・と、機能を欲張って増やしすぎたり、
広告コピーなどでも、特徴をずらずらと並べすぎると、
何がその製品の強みなのかが不明瞭になります。
むしろ、当社製品の強みは「XXXです」と
ひとつに絞ってバーンと打ち出す。
それ以外のことはそぎ落としてしまう。
そうしないと「とんがらない」。
つまり、とんがらせるためには、強みや訴求点を
思い切って絞り込むことが必要だということです。
先がとんがっていればいるほど、
ターゲットの心に刺さりやすいですしね。
そう、「とんがり」を作りあげる目的は、
ターゲットの心により刺さりやすくするためです。
すなわち、ターゲットの興味・関心を惹き、
欲望を刺激するため。
先の丸いナマクラ製品では刺さりません。
しかしながら、「とんがり」を作るのは
時間と手間のかかる工程です。
口で言うのは簡単だけど、
なかなか難しいと皆さんおっしゃいます。
それは、とんがりを作りあげる「努力」
をしていないことを誤魔化すための言い訳じゃないですよね?
実際のところ、難しいのは、
どこをとんがらせ、どこをそぎ落とすべきか
の見極めでしょう。
ひとつに絞って残りを大胆にそぎ落とすのは、
勇気がいる決断でもあります。
しかし、とんがりを作り上げることができなければ
その他大勢に埋没してしまうだけです。
なお、ベストセラー本を連発している幻冬舎の社長、
見城徹氏によれば、売れるコンテンツは、次の4つ要素を
備えていると考えているそうです。
1. オリジナリティがあること
2. 明解であること
3. 極端であること
4. 癒着があること
この必要条件を満たすものは必ずヒットするのだそうです。
「とんがり」と共通性がありますよね。
(注)
4の「癒着があること」というのは、すでにファンがいる
有名人や作家のように、売れるベースがあることを意味して
います。これは出版業界特有の条件と言えるでしょう。
(スーパーモデル監修の水着開発等も該当しますけど)
(参考文献)
『編集者という病』
(見城徹著、太田出版)
投稿者 松尾 順 : 2007年07月11日 10:43
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