音声で届ける特売情報
実は、私は電話がかなり苦手です。
受けるにしろ、こちらからかけるにしろ、
相手の状況を無視して強引に割り込むような感覚が
あるからです。
また、ミーティング中などに携帯電話を取るのは、
通話中待たせてしまう相手の時間を奪うことになるので、
私は原則出ません。
しかも、電車などでの移動中の携帯通話はマナー違反ですから、
外出している間は、ほとんど電話に出られるタイミングが
ないんですよね。(したがって、いつも留守電にしてあります)
ですから、今日今すぐ電話で話せないと問題が起こる場合を
除いて極力、メールでのやりとりにしています。
以前から、私は電話ではなかなかつかまらないと
言われておりますが、こんな事情があります。
ご理解いただければありがたいです。
さて、事務所にしょっちゅうかかってくる売込みの電話。
おおむね投資の話ですが、
仕事が中断されるので、ほんと頭に来ます。
電話が苦手かどうかに関わらず、
誰にとってもセールスコールはいやなものでしょう。
ただ、ちょっと不思議なことがあります。
生身の営業マンが、
「このたび、このエリアの担当となりまして、
ご挨拶に回っているんですが・・・」
などといった、説得力ゼロの切り出し方で
なんとかして面会の約束を取り付けようとするよりも、
電話を取ると自動音声が流れて単刀直入、
「御社の業務効率改善に役立つ○○に興味がおありでしょうか、
もしご興味がある場合は1を押してください・・・」
といった内容の電話を受ける方がまだ気が楽だということです。
相手がコンピュータだとわかっていれば、
途中でさっさと切ることに心理的抵抗を感じませんし、
用件をすぐに切り出すので、こちらもあまり時間を取られずに
済むからでしょう。
ですから、企業が
「アウトバウンドコール(お客様へにかける営業電話)」
をやるのなら、対象商品によって向き不向きはありますが、
生身の人間じゃなくて、自動音声にしたほうが効果が
ある場合も多いんじゃないかと思います。
えーと、ようやく本題に入ります。
前ふりが長くてすいません。
今日ご紹介したい事例は、
ドラッグストアの特売情報を会員カードを保有している
既存ユーザーに自動音声の電話で伝えたというものです。
(アイティセレクト、2007.07.08)
「ハックドラッグ」「ハックエクスプレス」といった名称で
展開するドラッグストアを運営するCFSコーポレーションでは、
「Voice Reach」(プレミアグローバルサービス社)
という音声の一斉配信を行うASPサービスを利用し、
「ハックドラッグ」会員に対して、特売情報をあらかじめ
録音された音声データで伝えることにしました。
ただし、いかに販促の対象者が「既存ユーザー」とは言え、
突然自宅や携帯に電話をかけ、音声データを流すという
販促方法に対する会員の反応が当初読めなかったため、
まずは限定された店舗でテストをやることにしたのです。
テストは06年の8月、10月、12月の3回にわたって行われ、
最初は1万人程度で試し、その後2万人へと対象者を増やして
いきました。
その結果は、音声配信をした顧客は、しない顧客よりも、
3%-8%
多く来店することが分かりました。
このコンバージョン率はなかなか悪くない数字ですね。
費用対効果がどうだったのかが気になります。
(記事には記載なし)
また、懸念された苦情はわずかだったようです。
ただし、表立っての苦情は少なかったかも知れませんが、
不快感を持った客はいたでしょうし、別途顧客の反応について
調べたほうがいいと感じました。
日本では、自動音声によるアウトバンドコールは
米国ほどには普及していません。
しかし、意外に、受ける側の抵抗感が少ないことが
上記事例からもうかがえますので、今後伸びる可能性が高いと
思います。
投稿者 松尾 順 : 2007年07月09日 12:03
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