健全な懐疑精神を持て!

今のように変化が激しい時代では、
自分の持ってる知識があっという間に通用しなくなりますよね。

「昨日は正しかったことが、今日はもう間違い」

ということが頻繁に起きています。


また、世の中はいろんなことが複雑に絡み合っていますから、

「何が原因で、何が結果なのか」

を判断することもまた、ますます難しくなってきています。


ですから、私たちは、自分の知識や、外部から取り入れる「情報」
に対して、もっと慎重になる必要があるんじゃないでしょうか?

具体的には、

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「自分の知識は、既に古くなっていないだろうか?」

「自分の知識は、間違った思い込みではないだろうか?」

「この情報は、どの程度信用できる(正しい)のだろうか?」

「この情報は、短絡的なロジックに基づいていないだろうか?」

---------------------------------

といった質問を常に行い、

「使える(生きている)知識・情報とそうでないもの」

を適切に選り分けるべきでしょう。


これは、ものごとをネガティブに見るためのものではなく、
「使える情報」を拾い上げるための意識的な姿勢ですから、
「健全な懐疑精神」と私は呼んでいます。

そして、こうした姿勢は、
単なる「情報(インフォメーション)」を価値の高い情報、
すなわち、「インテリジェンス」に磨き上げるために
必須だと思います。


今、「意識的」と書きましたが、かなり意識しないと
私たちは、すぐに思い込みの短絡的な思考に
陥ってしまいがちです。


先日、池上彰氏が書かれた

『伝える力』(PHP研究所)

を読んでいて、あらためて驚いたことがあります。

それは、実に多くの人が、
勝手な思い込みや陳腐化した知識でものごとを判断し、
また「批判」しているということです。


池上氏が以前担当していた「NHK週間こどもニュース」
でのエピソードを紹介しましょう。


日銀が金利を引き上げたときのこと、

「日銀は金融機関同士が貸し借りしている
 資金の金利水準を一定にしていて、この金利を引き上げた」

という説明を池上氏がしたら、

「なぜ公定歩合と説明しないのだ」

という抗議電話が何本もかかってきました。

しかし、日銀は公定歩合で金利を決めることを
とっくにやめているのです。
(恥ずかしながら、私も知りませんでした)


私は、この抗議をした人たちに言いたい。
電話をかける前に、まず公定歩合の現状を
なぜ自分で調べないのですか?


あるいは、

「年金は、若い人が払った保険料がお年寄りに渡されます」

という説明をしたら、お年寄りたちから、

「若い者の世話にはなっとらん。我々が昔払った保険料を
 積み立てて、それを受け取っているだけだ」

という抗議電話が多数かかってきたそうです。

これも思い込みです。今は制度が変わっています。
公的年金制度は、

「(子から)親への仕送り」

の制度化と考えるのが正しいのです。


池上氏は、

「自分が受け取っている年金について、
 きちんと理解していないお年寄りが大勢いることが
 わかりました。」

と書いています。


実際、世の中には、実はわかっていないのに、
わかったつもりになっている人が多いですよね。
(自戒を込めて・・・)


逮捕状はどこが出すか知ってますか?

「警察」だと思い込んでませんか?
実は、「裁判官」が出すんです。
(私も、やはり知らなかったんですけど(^_^;)


思い込み、短絡的な思考を捨て、
謙虚に知識と情報に向き合いたいものですね。

とりわけ、批判・抗議する時には。

今回は、ずいぶん説教くさくなっちゃいました・・・(笑)


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How much easier it is to be critical than to be correct.

     -Benjamin Disraeli
      (British prime minister and novelist,1804-81)

批判的であることは、
正しくあることよりもなんとたやすいことか

-----------------------

投稿者 松尾 順 : 2007年06月01日 08:33

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コメント

松尾さん

こんにちは。本日の思い込みの話、かなり痛く読みました。私は昨年6月「メスネコあげます」の掲示板で見つけたネコを飼っています。半年もお嬢さんとして育てたのに、実はオスネコとわかったときのショック。思い込みの恐ろしさでした。

もう一つ、松尾さんと同世代の私は、同じく同世代の女性が昔のままの化粧をしているのを見て、悲しい思いをします。若かったときの化粧方法をしても、浮いているのに気がついていないのは本人だけです。自分の皺と向き合うにも勇気が必要だけど、その思い込みを捨てよう、と自分に言い聞かせています。下世話な話でスミマセン。

投稿者 Abby Jane : 2007年06月01日 13:27

Abby Janeさん、まいど!

思い込みは、要するに「ありのままを素直に見る」ことができない状態ですよね。自分に対しては特にそれが難しいんだなあ・・・

投稿者 松尾順 : 2007年06月02日 18:38

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