田園調布の物流拠点
昨日、4月26日、
コーヒーチェーン大手、ドトールとの経営統合を発表した
この企業名にはあまりなじみがないと思いますが、
・洋麺屋五右衛門(お箸で食べるスパゲティ)
・にんにく屋五右衛門(文字通り、にんにくたっぷり料理)
・卵と私(オムレツなど卵料理)
といったさまざまな業態のレストランを運営しています。
関東にお住まいの方ならおそらくご存知ですよね。
さて、この企業のすごいところは、直近年度の経常利益率が
21%
と、業界他社を大きく引き離している点です。
あの吉野家の経常利益率2%足らず。
大手ファミレスでも10%を超えているところはありません。
個人経営の店ならともかく、
連結売上高278億円の大手レストランチェーンで、
これだけの高利益率を達成するのは半端じゃないですよね。
この利益率の秘密は、ひとつは「機動力」のようです。
別の言い方をすれば「変り身の早さ」。
新しくオープンした店舗の客足が伸びないとみるや、
わずか半年でも、さっさと別の業態に鞍替えしてしまいます。
また、たとえ人気のある店舗でも、
長年やってるとお客さんの飽きがくるもの。
そこで、同じ場所をそのまま使いながら、次々と別の業態に
変えていきます。
つまり、うまくいかなかった、あるいは
うまくいかなくなってきたことが数字に表れていたら、
すぐに別の方法を試してみる。
要するに、「トライアル&エラー」で
新業態・新店舗展開を行っているのです。
レストラン業界も、近年は流行りすたりが激しく、
また競争も厳しいですから、何が当たるかわからない。
失敗を恐れずに新しいことにチャレンジするのが
ベストの戦略なんですね。
ただし、「失敗」から学んで、同じ過ちを2度と犯さないこと
が必要ですが。
同社では、こうした迅速な業態転換を可能にするため、
店舗設計・施工、メニュー開発など、
他社では通常、アウトソースしている業務を内製化。
すなわち、同社の社員が店舗づくりの関連業務をほぼすべて
行う体制になっています。
この仕組みは、おそらく
短期的に見たら人件費増につながります。
しかし、長年同社に勤め、こうした同社独特の方法を
熟知した社員がやることで、極めて短期間(数ヶ月)で
新業態を立ち上げることが可能になっているんですね。
結果として、
「効率(生産性)」(単位時間あたりのアウトプット)
は高くなるのです。
同社は、基本的に非常に合理的な考え方を重視した経営を
行っていますが、だからといって、やたらとコストを
切り詰めるといったことはしていません。
むしろ、上記内製化の例にあるように、
表面的・短期的なコストにとらわれていない点が強みです。
このため、同社のやり方は業界では
「非常識」
と思われてしまうことばかりになっています。
というのも、競合他社は、
表面的・短期的なコストにとらわれているところが
多いからです。
その最も顕著な例は、
都心の一等地、田園調布に同社の物流センターを
置いていることでしょう。
物流センターの立地は、業界の常識では郊外です。
土地代が安いですからね。
でも、日本レストランシステムの物流拠点、
つまり、「倉庫」は、田園調布をはじめとして、
すべて都心に設置してあります。
「固定費が高い場所に倉庫を置くなんて」
と軽率な人は考えてしまう。
しかし、実は合理的な正しい選択です。
なぜなら、郊外に物流センターを置いてしまうと、
関東の各店舗に配送する際、首都高の渋滞に
ひっかかってしまうからです。(上り方面の渋滞)
ところが、田園調布にセンターがあれば、
中心から外へ向かうことになりますから、
渋滞に巻き込まれることなくスイスイと動ける。
このため、配送効率がまるで違う。
つまり、「効率」(生産性)でみたら、
田園調布立地の方が、郊外立地よりもベターなんですね。
消費者ニーズの変化への対応のための「変わり身の早さ」
といい、表面的なコストにとらわれない「物流拠点」といい、
「日本レストランシステム」
は、ウオッチする価値のある企業でしょう。
投稿者 松尾 順 : 2007年04月27日 12:13
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