(続編)「キリン・ザ・ゴールド」は定番化するか?
今日は、「キリン・ザ・ゴールド」の続編です。
3月20日発売の「キリン・ザ・ゴールド」は、
キリンが出すビールカテゴリーアイテムとしては実に
17年ぶりの主力商品です。
すでに、発泡酒カテゴリーで、
「淡麗<生>」
をまた、第三のビールカテゴリーで、
「のどごし<生>」
という定番パワーブランドを育て上げることに成功したキリン。
「ゴールド」についても、じっくりと育てていく意向のようです。
そのためなのか、初年度の出荷目標は800万ケース。
かなり控えめな数字です。
では、発売後10日間の出荷実績はどうだったか。
年間目標の20%に当たる160万ケースでした。
好調な滑り出しですね・・・
そして、3月末(29-30日)には、
JMR生活総合研究所によるアンケート調査も行われていました。
(インターネットリサーチ、回収サンプル数:634件)
→2007年春のビール商戦 -ビール・発泡酒・第三のビール
(JMR生活総合研究所)
この調査結果によると、
・ゴールドの認知率(「知っている」消費者の割合)は約63%。
・3ヶ月以内での自宅でのゴールド飲用経験は2割弱
です。発売早々としては悪くない数字と言えるでしょうか。
気になるのは「リピート意向」です。
上記調査によれば、ゴールドを飲んだ人のうち、
今後も飲みたいと回答した消費者は、62.8%でした。
60%台のリピート率のビールを見ると、
「サントリー・モルツ」(69.0%)
「サントリー・プレミアムモルツ」(68.4%)
「アサヒ・プライムタイム」(63.4%)
「サッポロ・黒ラベル」(63.2%)
などが並んでいます。
こうしてみると、新製品とはいえ(新製品なのに・・・)
ゴールドのリピート意向はあまり高いとは言えませんよね。
ちなみに、リピート率が高いビールは、
次のようなブランド。
「キリン・一番搾り」(81.2%)
「キリン・ラガー」(80.3%)
「アサヒ・スーパードライ」(75.7%)
「サッポロ・エビス」(74.4%)
これらは、固定ファンがしっかり支えているブランドであること
がうかがえますね。
さて、「ゴールドのリピート意向」に戻りますが、
やはり懸念した通り、「また買いたい」と思わせるだけの商品力
(端的には「味」)は持ち合わせていないように思います。
とすれば、ゴールドの成否は、マーケティングコミュニケーション
の展開次第ということになりますよね。
ご存知かと思いますが、ゴールドの広告のタレントには
「オダギリ・ジョー」を起用してます。
メインターゲットが20-30代ということも踏まえての選定。
肝心のコミュニケーションの内容としては、
「いつ、誰と、どんな状況で飲むのがGOODか」
という提案がどこまでできるかですよね。
そうそう、日経デザインの記事によれば、
「ボサノバに合うビール」
というイメージが、現在のパッケージデザインには
反映されているんでした。
うーん、どうですかねぇ・・・
ボサノバっぽいデザインには見えませんが。
あくまで個人的意見ですが、パッケージデザインについては、
やはりもっと力強いものにした方がいいんじゃないかと
感じるんですけど。
投稿者 松尾 順 : 2007年04月12日 07:49
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コメント
松尾さんこんばんは。
僕もほぼ発売日に飲んでみました。
個人的には、隠し苦みもパッケージデザインも好きですが、
おっしゃっていることは分かります。
「もっと力強いもの」=僕に言わせると「もっと下品な感じ(笑)」、そんなのが日本のビールとしては良いのかなと思います。
昭和の日本人にとっての“ビールの様式美”がまだ根付いているんではないでしょうかねぇ。(だってギネスとかスッキリしたデザインだし)
デザインについてですが、
「オダギリ・ジョー」と「ボサノバ」ってことなので、リッチっぽいというかセレブっぽいというか…そういうことかなぁ。
それでいて、(20-30代はターゲットだとしても)
40、50代が飲んでもおかしくない感じは成功しているようには思います。
「プライムタイム」や「モルツ」はおしゃれなデザインの部類に入ると思いますが、
やはり、いわゆるオヤジには、
「こんなのは、ビールじゃねぇ。まるでジュースみてえなガラじゃねぇか」と思わせている様な気がします。
考えてみれば僕の場合、実際のその味がどうであれ「プライムタイム」のデザインからビールの飲感は思い起こしにくいです。
すみません乱文にて、ちょっとビールで酔ったかも知れません。
投稿者 Chrosawa : 2007年04月12日 23:52
まいど!!
確かに、ゴールドのデザインはすっきりして上品ですよね。
生活にうまく溶け込み、ょっとセレブな気分を味あわせて
くれるというベネフィットをうまく伝えられるといいかな、
と思います。
とにかく、店頭でのアテンション効果は低く、
「ビールをガブガブ飲みてぇ」という人の欲情はそそらない
でしょうから。
投稿者 松尾 : 2007年04月13日 00:14
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