銀座ユビキタス実験

1月から実施されていた「銀座ユビキタス実験」のこと、
ご存知でしたか。3月10日でいったん実験は終了したようです。
(日経新聞2007/03/10)


実験参加者は、専用の携帯情報端末を持って銀ブラ。
そして、たとえば銀座四丁目交差点の三越前を通ると、

「三越は、1930年に誕生しました・・・」

などとガイド音声や画像が自動的に端末に流れます。


これは、銀座の要所要所に設置したICタグや赤外線発信装置から
流れている情報を、近くにある端末がキャッチできる仕組みに
なっているからなんですね。


この仕組み、ぱっと聞いた印象ではとても便利そう。
特に、観光客には喜ばれそうなサービスです。

歌舞伎や美術館などで、音声の説明が聞ける小型の機器を
貸し出しているところがありますよね。

あれと同様、このユビキタスサービスは、その場所に不案内な人
にとってはありがたいサービスに違いありません。


と思ったら、実はそうではなかったんですね。
実験参加者の評判はあまり好ましいものではなかったようです。
また、申し込んだものの、実際には参加しなかった人が9割も
いました。


この端末、首から下げるスタイルですが重さが300グラム。
ちょっと重いですね。

また、屋外で使用するため、液晶画面が見づらいという
ハード設計上の問題もあったようです。


しかし、実験参加者が評価しなかった主な理由は、

「音声などに気をとられ、気楽に銀ブラできない」

ということでした。


また、

「知りたくない情報まですべて受信してしまう」

という声も・・・


つまり、この端末の最大の問題は、
情報受信の「選択権」が利用者側になかったことでしょう。


「ユビキタス」のコンセプトは、もしそれが完全に実現したら
さまざまな情報が、まるで「空気」のように世界を満たしている
状態と言えます。

ですから、こうした情報を人がすべて摂取していたら、
それこそ情報過多で頭がおかしくなりそうです。


ユビキタスに限らず、新しいコミュニケーションテクノロジーは、
どうしても情報発信側寄りの発想が強くなってしまうものですが、
情報受信側の心理理解も大切ですよね。


「情報は自分で取捨選択したい」

現代の消費者の、最も切実な願いはこれじゃないでしょうか。

投稿者 松尾 順 : 2007年03月13日 13:57

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コメント

>「知りたくない情報まですべて受信してしまう」

上記の表現で、街を歩くとパーソナライズされた映像がガンガンと網膜に飛び込んでくるという、映画「マイノリティ・リポート(2002年・米・トムクルーズ主演・スティーブンスピルバーグ監督)」のワンシ-ンを思い出してしまいました。

日本ではとかく、アナウンスがうるさすぎますね。
特に交通機関では感じられます。
車内だけでなく、駅構内でも。
東京駅のエスカレーターなどは「手すりにつかまれ」だの「急停止に注意しろ」だの確か、四通りぐらいの注意事項を日本語・英語で繰り返して流しているんですよ!

タウン・ウオッチャー金森としては、街はその空気や雑音を含めて感じながら歩きたいので、件のユビキタス端末なんかを首からぶら下げるのはあり得ないことです。

ちなみに、私のBlog、今日は帽子ネタですが、いつも買っている店は「銀座トラヤ」。妙なところで銀座つながりになりましたね。(余談です)

投稿者 金森努 : 2007年03月13日 14:35

私も、マイノリティ・リポートみたいだなと思いながら書いていたんですが、よく考えてみるとユビキタスな世界は、まさにマイノリティ・リポートのようなことが実現しているわけです。

私たちの仕事は、マーケターですから情報の発信者側にいるわけですけど、一消費者に戻ったらなんともウザイ状態ではありますね。

投稿者 松尾順 : 2007年03月13日 16:16

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