迷信:3クリックルール

えーと、あなたは、ひょっとしてまだ

「3クリックルール」

を信じてますか?


「3クリックルール」

とは、

Webサイトを訪問したユーザーが、“3クリック以内”に
目的のページ(コンテンツ)にたどり着けるように
サイト構造を設計すべし

というWebユーザビリティのルールのひとつでした。

「でした・・・」と過去形で書いているのは、
もはや、以前ほど重視する必要のないルールと
考えるべきだからです。


もちろん、ユーザーとしては、できるだけ効率的に素早く
目当てのコンテンツに到達できた方が良いということには
変わりません。


以前は、その解決策のひとつとして

「3クリックルール」

が提唱されたわけです。


そして、具体的なサイトの設計方針としては、
おおむね、

・階層構造を浅くする、また、
・ショートカットをトップページに表示する

ということになりました。
これも間違っているというわけではありません。


しかし、3クリックルールを過度に重視しすぎた結果は、

テキストベースのリンクだらけの
あまり美しくないトップページ(HOME)

の氾濫でした。

いわゆる、Yahooなどのポータル風のページデザイン
に偏りすぎてしまったわけですね。


もちろん、ポータル風ページは、
使い慣れると素早く用が済ませられて便利です。

しかし、ポータル風デザインには

・ぱっと見はごちゃごちゃしていて使いにくそうに感じられる
 (実際、慣れるまでは、どこになにがあるかわからず、
  迷ってしまい、クリック以前に立ち往生してしまう・・・)

・あまりに機能的すぎて、愛着がわきにくい
 (ブランド構築にマイナス)

といった欠点があります。

(ただ、老舗のYahooは、さすがに長年の経験を通じてデザインが
磨き上げられており、上記の欠点をほとんど感じさせませんが。)


そもそも、以前、何度もクリックさせられて面倒だと感じたのは、
クリックの「回数」が問題ではなかったように思います。

むしろ、回線スピードが遅いために、
クリックするたびに新しい画面がじんわり開くのを
待たなければならないということが、
ユーザーのいらいらの原因だったんじゃないでしょうか。


しかし、大多数のユーザーがブロードバンドでアクセスしている
現在のネット環境では、クリックを重ねても、すいすいと
目的のコンテンツにたどりつくことができます。


むしろ、重要なのは、適切な情報構造の設計と、
適切なナビゲーション、わかりやすい見出し(ラベル表示)。

これらがきちんと設計されていれば、
クリック数が多少多くなってもユーザビリティが低下することは
ないと思います。(きちんと検証したわけではないので、
あくまで私の仮説ですが)


また、もうひとつのネット利用環境の変化が、

「3クリックルール」

を無意味なものにしつつあります。


それは、Googleに代表される検索エンジンを経由して、
ダイレクトに目的のページに飛ぶユーザーが増えているという
ことです。

となると、トップページ(HOME)を起点とした考え方である
「3クリックルール」の意義が薄れていくのは
おわかりになりますよね。


もちろん、今でも機能性最優先、ポータル風サイトのデザインが
ベストと考えられるWebサイトもありますが、基本的には、

「3クリックルール」

の呪縛からは解放されましょうね。


ちなみに、「3クリックルール」の有効性については、
2003年ごろから異議を唱える人がいました。

また、Webユーザビリティのグル(先生)、
ヤコブ・ニールセン氏は、

“「3クリックルール」がサイトをだめにする”

と言い切っていますね。
(ニールセン氏のユーザビリティガイドラインには、
 当初から3クリックルールは存在していません・・・)


*参考文献

「新ウェブ・ユーザビリティ -
 Web2.0時代に優先すべき最重要ルール」

(ヤコブ・ニールセン+ホア・ロレンジャー共著、
 エムディエヌコーポレーション

投稿者 松尾 順 : 2007年02月16日 22:45

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コメント

しっかり検証しますと、やはり3クリック論は正当です。ラベリングとナビゲーションは重要ですが、検証がやっぱり大事だと思います。

投稿者 FUJIO : 2007年02月19日 10:50

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