CRMの魂
私が、
「CRM」(Customer Relationship Management)
というコンセプトを知ったのは1995年です。
以来約10年にわたり、マーケティング分野の中でも特に
「CRM」
をメインテーマに据えて追いかけてきました。
「CRM」は、全社・全部門に関係し、かつ、
企業理念やビジョン、戦略、戦術にまたがるコンセプトで
あるため、なかなかとらえどころがないのが現実です。
それでも、最近はつくづく、核となるCRMの思想が、
最も重要なんだなと感じるようになってきました。
この核となるCRMの思想を私は、
「CRMの魂」
と呼びたいと思います。
「CRMの魂」とは、私の考えでは次の2つだけです。
・顧客が真に求めているものを提供する
・個別対応する
この2つは、要するに
顧客がこうしてもらえると、
「うれしい」と感じ、
「感激」し、時に
「感謝される」こと
です。
こうした行動が全社レベルで、また一人ひとりのスタッフが
自然に行える企業は、長期的に成功を収める企業でしょう。
日経ビジネス最新号(2006年10月23日号)の特集では、
「日本一売る」セールスの人たちが多数登場していますが、
ほとんどの皆さんの行動の背景には「CRMの魂」の存在が
感じられました。
最終的に自社商品・サービスを売ることがゴールであっても、
顧客対応においては、常に顧客が真に求めているものを
提供することに熱心なんですよね。
逆に、自分の売り上げしか考えていないような人、つまり
「CRMの魂」を持たない口八丁手八丁のゴリ押し的営業は
一人も登場していないんです。
例えば、モンスーンカフェなどのレストランを運営する
グローバルダイニングで働く店員の奥澤有紀さんは、
本人が覚えていない「前回食べた料理」を来店客に教えて
驚かせ、また、ドリンクを飲み干したグラスを置くと同時に
お代わりを出す、絶妙の気配りができるカリスマ店員です。
奥澤さんのこのすごいサービスに感激した客は
「ユキちゃん、名前覚えておいて」と名刺を渡してくれる。
その数200人に上るそうです。
また、群馬ヤクルト販売では、逆張りの発想を採用。
戸別訪問の販売員、ヤクルトレディーが
1週間に訪問する顧客数を150から120軒に減らし、
十分にコミュニケーションが取れるようにしました。
販売員は当初売上高の減少につながると反対しましたが、
同社星野社長は、
「売りに行くな。話をしに行け。
話の中からお客様の健康を気遣え」
と指示。
その結果、過去3年間に月間80万円を売る販売員が、
1-2人から16人にまで増加しました。
全国平均は月間40万円ですから、群馬ヤクルト販売の場合、
平均より倍以上売る販売員が続出したということになります。
皆さんの会社には「CRMの魂」はありますか?
投稿者 松尾 順 : 2006年10月27日 11:02
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トラックバック時刻: 2013年08月15日 05:07
コメント
ありません。(爆)
当社の場合BtoB(法人営業)ですが、顧客=クライアントに接する人間はすべて“リサーチャー”であり“プランナー”であるべきだし、自信もそうありたいと心掛けています。
投稿者 課長007 : 2006年10月27日 16:48
課長007さん、まいど!
会社全体としてはさておき、
まずは、社員一人からですね。
課長007さんも、周囲に惑わされず自分の信念を
貫いてくださいね。
投稿者 松尾順 : 2006年10月28日 22:25
松尾さん今日は。
「魂」。いいですね。
最近、私も「月刊販促会議」にCRMを巡る環境に関して記しました。
http://kmo.air-nifty.com/kanamori_marketing_office/2006/10/post_be6a.html
結論としては、ここ数年で「環境」は急激に整いつつあり、かつて「理論先行」の観もあったCRMは、今、正に実現のチャンスであるということです。
「環境」整ったら、後、必要なのは「魂」ですね。
呼応するような、良い記事を拝読いたしました。
ありがとうございました。
投稿者 金森努 : 2006年10月29日 11:26
私も先生にCRMを教えていただいて、大きく考え方が変わりました。思えばあの日が今の職業の基点。。。
投稿者 イヌブシ : 2006年10月29日 17:12
イヌブシさん、まいど!
そんなに大きく考え方が変わったんですか!
知らなかった。(笑)
仕事の内容も変化(拡張ですよね)したとは
講師としてはなんともうれしいことです。
投稿者 松尾順 : 2006年10月30日 16:58
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