穴は大きくすべきか、小さくすべきか
今日も引き続き「シンプルマーケティング」の内容を
ご紹介するつもりでしたが、移り気な性格でもあり、
ちょっと休憩して横道にそれます。(笑)
ちょっと前のマーケティング入門書や発想法の本などに、
次のようなエピソードがしばしば掲載されていました。
覚えている方います?
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「味の素」の売り上げアップを
製品自体の改良なしで実現したアイディアがあった。
それは、容器の「振り出し穴」の大きさを
ちょっとだけ大きくすることだった。
これによって、一回当たりの使用量が増え、
結果的に購買頻度が上昇し、売り上げ増につながったのである!
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このアイディア、
コストをかけずに売上げを伸ばしたケースとして
「すばらしい!」という賞賛を込めての紹介でした。
しかし、この話が実際に行われたものかどうかわかりませんが、
よく考えてみると、消費者をあざむく「姑息な手段」ですよね。
数十年前の、「生産者志向」のマーケティングが主流だった時代
だから通用した話でしょう。
一方、近年の類似事例に、
「フィネスコンディショナー」
があります。
ヘレンカーチスのヘアケア商品です。
さて、フィネスのマーケティングチームも、味の素と同様、
製品改良なしに、売上増を図るアイディアを実行に移しました。
それは、ディスペンサーキャップの穴を「小さく」すること。
味の素と真逆をやったわけです。
穴を小さくすると、一回あたりの使用量が減ります。
結果として、短期的には購買頻度が低下することになりますよね。
しかし、フィネス担当者は、
顧客ロイヤルティの獲得による長期的なリターンが
短期的なロスを上回ると判断したのです。
実際、大幅な業績増を実現したそうです。
この話、顧客志向のマーケティングが求められる今の時代に
ふさわしい好例ですよね。
*このフィネスの事例は、
「世界最強CMOのマーケティング実学」
(ブラッドフォード・C・カーク著、ダイヤモンド社)
から。
なお、上記の本は文字通り、
企業内のマーケティング担当者の実務に役立つ単刀直入な
アドバイスが書かれています。
(広告会社などの方には、あまり面白くないでしょう・・・)
投稿者 松尾 順 : 2006年10月19日 12:11
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