AFTERのイメージ
その商品(サービス)を購入して実際使ってみたら、
どんな感じなのか、また、どんないいこと(メリット)があるのか?
このことは、特に初めての商品(サービス)の場合、
未経験だけに、あまりイメージができませんよね。
だから、その商品(サービス)に対する確信が持てなくて
購入に踏み切ることができないことあります。
実は、お店でポンと商品が展示してあるだけだと、
使用後のイメージが伝えにくい。
通信販売のカタログなら、現物は見せられないけれど、
使用中のイメージ(例えば、鍋なら、おいしそうなシチューが
湯気を立てている写真)を示したり、ユーザーの声を伝えること
で、実際に使用した場合の価値(使用価値)を伝えやすい。
だから、通信販売でモノが売れる。
というのが、以前ご紹介した通販生活の斉藤駿氏の説です。
では、通信販売以外の業態ではどんな工夫をして「使用価値」を
伝えようとしているのでしょうか。
最近の事例としては、シャープのエアコンの販促ツールとして
制作された「訪販バッグ」がありますね。(販促会議、2006.10)
これは、家電専門店の販売員が、
家庭を訪問してエアコンを売るためのツールです。
エアコンのようなかさばるものは、
とても持ち運びできませんので店頭のように現物は見せられない。
ですから、これまでは、無機質な写真とスペックが並んだ
あまり面白みのないパンフレットを持参するしかなかったわけです。
しかし、シャープでは、エアコンの外枠だけの見本を制作しました。
いわばハリボテのエアコンですが、これならショルダーバッグで
持ち運べる軽さになります。
なお、販売対象商品は、奥行き30cmの大きめのエアコン。
このところ流行の薄型で目立たないことを売りにする商品とは
逆張りの形状です。
そこで、凝った木目調のデザインを施し、
インテリア的に積極的に見せることができるスタイルに仕上げて
います。
こんな特徴を持つエアコンですから、
現品を目の前で見せることで、質感やデザインの良さを実感して
もらえますし、なによりも、訪問先の家庭の家具・調度品に
合うかどうかを判断することができます。
さらに、外枠が持っていけない販売員のために開発されたツール
も面白いです。(中身の入っていないエアコンとはいえ、それなり
の重さがあるので、年配の家電店オーナーにはつらいようです)
「ヴァーチャル設置写真シート&設置イメージシート用製品シール」
と名称は仰々しいですが、実にシンプルなツールです。
下敷き程度の大きさの透明シートにエアコンの写真を貼り、
手に持って部屋の隅に合わせてすかして見ることで、
設置された時の様子が擬似的にわかるというもの。
ローテクだけれど、
・どの部屋にはどの柄が合うのか
・どこに設置したら一番見映えがいいかなど
がイメージできるので予想以上の効果を発揮しています。
なお、売り上げは前年比1.3倍だそうです。
サービス業では、有名美容室の「田谷」の‘擬似パーマ’が
面白いですね。
パーマ後の仕上がりが不安がある顧客に対して、
ムースを使ってパーマ後のヘアスタイルの変化を擬似的に
見せることで、納得してオーダーする客が増え、
パーマをする顧客の割合が、18%から25%に上昇しています。
これらの事例は、要するに
BEFORE/AFTERのうち、「AFTERのイメージ」を
効果的に伝えるために、商品のデモをどううまく行うか
ということなんですが、必ずしもネットに頼らなくても、
ローテクでいろいろと工夫の余地があるということを
教えてくれますね。
投稿者 松尾 順 : 2006年09月21日 08:29
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