外部の環境変化を直視し、内部変化を起こさないとどうなるか
先日、米国タワーレコードの2度目の倒産が報じられましたね。
リアルなレコード・CD専門店店の破綻を聞くと、
やっぱりインターネットのオンライン販売や不正コピーのせいかな
と反射的に思ってしまいましたが、そうではないようです。
米国の場合、レコード・CDの販売価格は日本と違って小売店が
自由に設定できます。このため、ウォルマートや、ターゲット、
ベストバイといった大手量販店がディスカウント価格で販売
しています。
例えば、女性歌手、パリス・ヒルトンのCDは、タワーレコード
では13ドル99セント、ウォルマートでは9ドル72セント。
ピンクパンサーのDVDは、タワーレコード28ドル99セント、
ウォルマート13ドル72セント。
(日経ビジネス、2006年9月4日号)
勝負になりませんね・・・
日経ビジネスの記事では、1989年以降の「レコード・CD専門店」、
ウォルマートのような「その他の店舗」、および
「インターネット」の市場シェアのグラフが掲載されています。
これをみると、90年台に入って、レコード・CD専門店のシェアは
まさに坂道を転げ落ちるように急落してます。
1989年時点では、「レコード・CD専門店」の市場シェアは
実に71.7%。ところが、2004年には32.5%と半分以下になり、
一方、「その他の店舗」のシェアは2004年には53.8%と半分を
占めるまでに伸長しています。
ちなみに、「インターネット販売」のシェアは、
2004年時点でも、まだ10%に達していません。
要するに、タワーレコードは、インターネット以前に、
ウォルマートのような新たな販売チャネルに対して
価格競争力の面で負けてしまったということです。
しかし、私がよくわからないのは、90年代半ばには既に、
タワーレコードが劣勢な立場にあることがわかっていたはずなのに
なんら自らの経営を革新しようとしなかったことです。
その代わり、憧れの米国文化の象徴ともいえるタワーレコード
ブランドをひっさげて海外へ積極的に展開する道を選びました。
結局、海外進出は失敗に終わりますが、
足下の米国の弱さをそのまま放置していたため、
今回再び破産するしかなかったというわけです。
タワーレコードのケースは、
外部に大きな変化が生じているにも関わらず、それを直視せず、
その外部変化に適応するための内部変化を起こさなかったら
どうなるか
ということを如実に教えてくれますね。
でも、タワーレコードと同じ轍を踏んでいる企業って多いなあ。
経営が迷走しているダイエーもそうでしょう。
そして、おそらく個人レベルでも。
外部の変化に無頓着な人って結構多いんですよね・・・
こんな人・企業にとっては、破綻は「突然」の出来事に思える
でしょうけど、実はずいぶん前から見える人には見えていた未来
なんですよね。
やっぱり、アンテナは外向きに高く立てましょうよ。
投稿者 松尾 順 : 2006年09月06日 08:25
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