欲しいのはユーザーの主観的情報
今年の夏は、1-2泊の短期滞在型ながら、
国内のリゾート施設に何度か行きました。
海外だと地中海クラブ(クラブメッド)などに
行ったことがありますが、
我が家ではこうしたリゾート旅行が好みです。
1箇所でさまざまなアクティビティが楽しめるリゾート型旅行は、
あちこちの観光名所をみて回る周遊型旅行と違って、
あまり疲れずのんびりできますし、子供の面倒が大変な家族連れに
向いているんですよね。
さて、海外にしろ、国内にしろ、お楽しみどころ満載の
リゾートに行く前にはいろいろと情報収集しておきたいものです。
しかし、紙のパンフは言うまでもなく、
情報の制約がないはずのWebサイトでさえ、
そこで紹介されている情報量には物足りなさを感じます。
国内外のリゾート施設で、十分な情報を事前に提供できている
と言えるところは、一つもないんじゃないでしょうか。
(あったら、ぜひ教えてください!)
結局のところ、Webサイトなどで入手できる情報って、
「客観的な事実」を元にした内容が中心です。
ちょっと揶揄して言えば、運営企業側の検閲を通った
「大本営発表」のものだけ。
さすがに虚偽情報や誇張表現はないでしょうけど、
「リゾートに行ったら、何して遊ぼうかな!」
と期待しているユーザーをわくわくさせる情報に欠けています。
よく考えると、ユーザーがが期待するのは、
「このレストランのこのメニューがお気に入り」
とか、
「こんな意外な楽しみ方がある」
といった「主観的な情報」ですよね。
しかし、こうした内容は、
情報発信者が運営企業である限りは提供しにくい情報です。
やはり、実際のリゾート体験者、つまりユーザーが
情報発信者になる必要があります。
しかも、単なる「ユーザーの体験談」といった枠を超え、
ユーザーが「レポーター」となって、
リゾートの楽しみどころを豊富に紹介する記事を掲載
できる仕組みを組み込むのが理想形です。
彼らレポーターの主観的情報には、
当たりもはずれもあるでしょうけど、それはそれで良し。
なんにせよ一人のユーザーの個人的判断で書かれたもの
ですからね。
私は、こうしたユーザー参加型のWebサイトが、
特に観光・レジャー業界、飲食サービス業界において
増えて欲しいと思っています。
リゾート施設ではありませんが、
このユーザー参加型Webサイトの事例が「相鉄スタイル」
です。(日経MJ、2006/08/21)
「相鉄スタイル」は、
相模鉄道が運営する、相鉄沿線の住民が参加するブログ。
「タウンライター」として選抜された沿線住民が、
駅周辺のグルメやスポーツ施設などのお薦め情報を
自由に書き込みます。
現在タウンライターは約60人、1日平均3本のネタが
アップされ、累計2千本の記事が掲載されています。
その成果は、相鉄のWebサイトへの月間訪問者数が
2年前の約10倍の15万人へと増加。
また、「愛着を持てるようになった」という消費者の声が
聞かれるようになり、ブランドイメージの向上にも寄与して
いるそうです。
従来、企業とユーザー(顧客)との関係は、
こちら側(此方)とあちら側(彼方)という相対する立場で
とらえてきましたよね。
しかし、これからは、共に同じ場所に立ち、
企業にとっても顧客にとっても望ましい優れた商品づくりや、
サービス向上のために協働しあう関係を形成することが
時代の流れではないでしょうか。
投稿者 松尾 順 : 2006年08月22日 14:21
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