イノベーションの達人:コラボレーター
今日は、再びイノベーションの達人の本に戻って、
『イノベーションの達人! 発想する会社をつくる10の人材』
トム・ケリー&ジョナサン・リットマン著、早川書房
に紹介されている10の人材のうち、第5番めのキャラクター、
「コラボレーター」を取り上げます。
そうそう、CNET Japanにトム・ケリー氏の最新インタビュー記事が
掲載されてます。
トム(面識もないのにファーストネームで呼ぶのはちょっと
失礼かもしれませんが)は、毎年日本に仕事で来ているそうですね。
本では、日本企業の事例もいろいろと取り上げられています。
さて、「コラボレーター」は、土台をつくる人たちの中で、
文字通り、多くの人々をまとめて目的を遂行させます。
あの偉大な発明家、エジソンも優れた実験者であり、かつ
コラボレーターでした。
昔の発明家は、バック・トゥ・ザ・フュチャーに出てくる
「ドク」のような、誰にも相手にされないちょっと変わった人。
1人でアイディアを発想し、ガレージでコツコツ試作品を
作っているイメージがあります。
しかし、エジソンの場合、優秀なエンジニアなどの人材を率いて、
「チーム」として新しい発明に取り組んだことが意外に知られて
いません。
最近は、ますます技術が高度化し、専門分化が進んでいますから、
ちょっとした工夫レベルの発明でもない限り、チームとして
イノベーションが起こせる仕組みが必要です。
チームを取りまとめるコラボレーターの役割は以前にも増して
重要になってきていると言えるんじゃないでしょうか。
トムによれば、コラボレーターが務まる人は、
個人よりもチームを重んじ、個人的な達成よりもプロジェクトの
完逐を第一に目指す奇特な人
だそうです。
コラボレーターは、こんな「無私の心」で様々な人々との
共同作業を遂行する潤滑油のような働きをしてくれますが、
同書では、「顧客」との共同によって新たなアイディアを
生み出す方法として、
「非フォーカスグループ」
というものが紹介されています。
通常のフォーカスグループ(インタビュー)では
一般的な顧客を集めます。
これは検証段階では有益ですが、
画期的なイノベーションのヒントを求めるのなら駄目。
フォーカスグループではありきたりのヒントしか
得られないとIDEO社では考えているようです。
そこで、開発している製品やサービスに
「異様に熱中している人」を集めて意見を聞くのが
「非フォーカスグループ(インタビュー)」
です。要するに、その道の「オタク」と呼ばれる人たちを
招くということでしょう。
「非フォーカスグループ」は、
革新的なデザインのテーマやコンセプトに関するひらめきを
与えてくれるそうです。また、どんなものが人を心から興奮させ、
かりたてるかを表情や身振りで具体的に示してくれます。
「オタク」な人たちは、その熱中している対象に
のめりこんでいます。そのことについてなら何時間でも話せる。
メチャクチャ詳しい。
仕事でいきなりテーマを与えられて、取り組み始めたばかりの
プランナーよりも、彼らの方がはるかに豊富なアイディアを
出してくれそうですよね。
コラボレーターは、こんな人々を見つけ出してくるのも
得意なのです。
あなたの会社・組織にも、コラボレーター役の人いますか?
投稿者 松尾 順 : 2006年08月08日 09:33
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