インターネット風評の伝達スピード

今さら言うまでもないことですが、
インターネットはとっても便利なコミュニケーションツール。

便利になったおかげで、なんだかとっても忙しくなったように
感じますけど!(⌒o⌒;


でも、インターネットは、「両刃の剣」であるという認識も
お持ちですか?

つまり、ネットは単なる媒体にすぎず、
良い情報も良くない情報も、圧倒的なスピードで広範囲に広がる
ということです。


自社(自分)にとって良い情報が流れれば、
ブランドイメージアップになるし、収益増につながりますね。
これはありがたいこと!

これを仕掛けていくのが、「ネット口コミ」のマーケティング
なわけです。


一方、自社(自分)にとって良くない情報が流れてしまうと
大変ですね。イメージダウンは必至、会社なら倒産の事態
だってありえます。

良くない情報は、自ら流してしまうことが多い。
いわゆる口からポロッと「失言」です。

今、話題になってる、ハリウッド俳優のメルギブソンが、
飲酒運転で捕まったときにこぼしたユダヤ人に対する蔑視発言
なんてそうですね。

元々彼は有名人ですから、ネットがあろうがなかろうが、
あっという間に広がりましたけど、こうした失言はネット上に
記憶され続けますし、メルギブソン氏は、
ネットのために全世界のより多くのユダヤ人の怒りを買うことに
なったのは確かでしょう。


さて、失言より困るのが、出所のはっきりしないウワサです。
他人の口に戸は立てられない・・・

いわゆる「風評」による被害は、ネットによって増幅
される可能性がありますから、企業としては対応策を
明確に決めておく必要がありますよね。


「ネット風評」の場合、その伝達スピードがすざましい。
例えば、2003年のクリスマスイブに発生した佐賀銀行の
取り付け騒ぎがあります。
(PRIR 2006 July、インターネット風評の影響と対策)

「佐賀銀行が潰れるそうです」という、
他愛のない友人間のメールが県内外の多数者に転送されて
大騒ぎ。

この騒ぎを大きくしたのは、年末で混んでいるATMの窓口
を見た人が、

「潰れそうだからみんな急いで引き出している」

と勘違いし、自分も早く預金解約しなきゃと焦ってしまったこと。
これが連鎖反応を呼んだんですね。

この事例の場合、携帯メールの転送によって、うわさの発生から
わずか12時間後には解約者が銀行に殺到したそうです。


このような金融機関の風評被害は以前なんどか発生していますが、
最も大きなものは、1927年の渡辺銀行などのケースです。
いわゆる「金融恐慌」と呼ばれる事件。

これは、取り付け騒ぎが連鎖して半年間で37行が休業、または
閉鎖に追い込まれています。

この事例の場合、うわさの発生から取り付け騒ぎにつながる
まで数週間かかっています。昭和初期の頃ですから、
伝達速度は実にのんびりしたものですね。


また、1973年の豊川信用金庫のケースは、
女子高生を発端として町内にウワサが広がり1支店に
預金解約者が殺到したもの。

当時はまだ、インターネットも携帯もないころですが、
町内のアマチュア無線が伝達速度を速め、数日で騒ぎに
なったそうです。


さてブログやSNSなど、個人メディアが乱立し、
おたがいにつながりあっている2006年の今、
風評のスピードはひょっとするともっともっと早くなって
いますよね。

適切、かつ俊敏な対応が風評を流されてしまった企業には
求められるというわけです。

ちなみに、「インターネット風評の影響と対策」を
寄稿された駒橋恵子(東京経済大学助教授)によれば、
風評発生時の基本対策は次の2点だそうです。


●迅速な完全否定

 うわさがデマの場合、できるだけ早く公式な否定コメントを
 出すこと


●風評を再生産しないこと

 例えば、取り付け騒ぎのケースで言えば、
 銀行に殺到した預金解約者に落ち着いて対応し、
 混雑を緩和する方策を取ることにより「ウワサは本当だった」
 と感じさせない工夫をする

投稿者 松尾 順 : 2006年08月07日 15:35

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