イノベーションの達人:実験者
今日は、
『イノベーションの達人! 発想する会社をつくる10の人材』
トム・ケリー&ジョナサン・リットマン著、早川書房
に紹介されている10の人材のうち、第2番めのキャラクター、
「実験者」です。
「実験者」は、人類学者が提示したアイディアのネタを
具体的なものにする役割を果たします。
ざっとスケッチを描いたり、発砲パネルをテープでつぎはぎ
したり、急ごしらえのビデオを制作したりして、
新しいサービスのコンセプトに「性格」と「形状」を与えます。
実験者は、さまざまなアイディアやアプローチを試すのが
大好きな人。
大発明家のエジソンが典型的です。
エジソンのこんな言葉が本書では引用されています。
“私は失敗したことがない。一万通りのうまくいかない方法を
発見しただけだ”
最近の発明家で大成功した人と言えば、
サイクロン式の掃除機を開発したイギリスのジェーズ・ダイソン氏
が思い浮かびますね。
ダイソン氏は、掃除機の最終的なデザインを決めるまでに、
5127種類のプロトタイプ(原型)をつくって失敗したそうです。
さて、どんなにすばらしいアイディアを思いついても、
言葉だけでは、実際の形のイメージや面白さ、効用を伝える
のは難しいものですよね。
実験者にとって重要なのは、アイディアをできるだけ早く
目に見える具体的なものにすることです。
ここで、会社・組織としては、まだ不完全で未熟なプロトタイプ
を作り、提案することを許容する文化が求められます。
最初から高い基準を持ち、完成度の高いものを求めてしまうと、
みすぼらしい形だからという理由で、すばらしいアイディアが
却下されてしまうからです。
トムは、コンサル先の会社のエグゼクティブに対して、
少しばかり「目を細めてみる」こと-
つまり、表面上の細かい部分は無視して、アイディアの全体像
だけを見ることを推奨しているそうです。
ところで、実験者は、モノづくりの部分だけでなく、
広告の仕方、売り方などにおいても、既存のルールを破って
新たな方法を試すことに果敢に挑戦します。
広告の仕方について言えば、
BMWのショートフィルムの事例が、本書で紹介されています。
BMWのブランディングのために、
今まではテレビコマーシャルを活用していたのを一切止め、
8分間のドラマ「ザ・ハイヤー」を制作して、
同社のWebサイトだけで公開しました。
この従来のルール破りのマーケティングは大きな話題を呼び、
多くの消費者をBMWのサイトに呼び込んだだけでなく、
2年連続で売上げを更新する具体成果につながりました。
あれ以来、日本でもブランディング用のショートフィルム
制作が盛んになってますよね。
トムは、実験は次の大躍進に向かうための最良の方法の
ひとつであり、だから、
いつまでもスタートラインに立ったまま、
レースの行方をあれこれ思案しているのはやめよう。
とにかく動き出して、いろいろなことを試してみればいい。
そのうちに、ひょっとしたら勝つための新しい手段が
見つかるかもしれないのだから、
と私たちに提案しています。
投稿者 松尾 順 : 2006年08月02日 10:15
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