イノベーションの達人:人類学者

今日は、

『イノベーションの達人! 発想する会社をつくる10の人材』
トム・ケリー&ジョナサン・リットマン著、早川書房

に紹介されている10の人材のうち、第一番めのキャラクター、
「人類学者」を紹介します。


「人類学者」と呼ばれる人、言い換えると、
「人類学者」の役割を担える人は、

「問題を新しい枠組みでとらえること」

に非常に長けています。

同書では、マルセル・プルーストのこんな言葉を引用しています。

“発見という行為の真の意味は、新しい土地を見つけることに
 あるのではなく、新しい目でモノを見ることにある”


優れた発想・アイディアは、従来とは異なる視点や、
既存の情報の新しい「組み合わせ」から生まれるという主張は、
最近は多くの人が知るところになってきたかと思います。

「人類学者」は、優れた発想・アイディアを生み出すネタ元
であって、イノベーションの中で最も重要な役割と言えるかも
しれません。


さて、トムは、人類学者の特徴として次の6つを挙げます。

1.人類学者は禅の法則「初心」を実践している
2.人類学者は人間の行動を新鮮な驚きをもって受け入れる
3.人類学者は自分の直感に耳を傾けることによって推論を
  導き出す
4.人類学者は、「ヴィジャデ」を通じてひらめきを求める
5.人類学者はつねに「バグ・リスト」やアイディアの財布を
  身につけている
6.人類学者は手がかりを求めてゴミ箱さえもあさる。


詳細は本書を読んでいただくとして、いくつか補足説明が
必要ですね。


4.の「ヴィジャデ」とは「デジャブ」のサカサマ語。

「デジャブ」とは「既視感」と訳されますが、
初めてきた場所なのに、どうも以前来たり、見た覚えがして
しょうがないそんな感覚を言います。
(ありますよね、そんな気持ちになったこと)

「ビィジャデ」はその反対ですから、前に何度も見ている
ものをいま初めて見ているような感覚のことです。


5.の「バグ・リスト」とは、世の中にある不満なこと、
不便なことなどのことです。

一方、アイディアの財布には、革新的なコンセプト、
そのコンセプトを実現するために解決すべき問題点が
含まれています。

人類学者はこうした「気づき」をしばしば
たんねんにメモしているのです。


さて、上記に示した人類学者の6つの特徴を眺めると
ほぼ同じようなことを言い方を変えて言っているだけ
のようです。

人類学者は、端的には「子供のような素直な観察眼と、
あくなき好奇心を持っている人」と言えるでしょうね。


では、単に現在を観察するだけでなく、そこから未来を
見通すためには、誰を観察の対象とすべきかわかりますか?


それは、

「若者」(特に10代)

です。

既存の枠にとらわれず、というか、古いものを
ガンガン壊して、新たな文化を生み出すのは常に若者。

これからの時代の空気を最も敏感に感じているのは若者であり、
新作映画のネタ出しや、仕上がりの良し悪しを確認するために
自社の若手のスタッフに聞く、

と言うのは、スタジオジブリの宮崎敏夫プロデューサーでした。

トムもまた、

「子供は次に何が起こるかを予測するてがかりを
 教えてくれる

と考えているのです。

投稿者 松尾 順 : 2006年08月01日 11:22

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