時計業界における「見える次元」と「見えない次元」の競争
最近、腕時計してますか?
私は、事務所にいる時は壁時計があるし、
腕に付けているとわずらわしく感じるので普段は外しています。
しかし最近は、出かけるときでさえ、
腕時計を事務所に置いたままにすることが多くなりました。
時間の確認ならケータイで十分だからです。
どうやら、私と同じように考える人が多くなっているようです。
腕時計を単に時間を知るためと割り切っている人には、
もはや「不要」なのかもしれません。
実際、ケータイの普及が最大の原因とは断言できませんが、
世界のウオッチ(腕時計など、携帯を目的とする時計)の
生産数量は、2005年には減少(前年比7%減)してるんですね。
さらに、機種別でみると面白いことがわかります。
「クオーツ」(水晶振動式)のデジタル時計の減少度合いが、
前年比19%減と大きいのです。
次いで、クオーツアナログ時計もわずかながら減少。
(前年比5%減)
一方、精度の高いクオーツに一時期駆逐されかけた「機械式」
が、前年比11%増と巻き返し傾向にあります。
さて、日本は、名だたる時計の生産国ですよね。
日本製の時計の世界シェアは、数量ベースでは約6割を
おさえています。ところが、
販売金額ベースのシェアは1割台に過ぎません。
これは、日本の時計メーカーが、
大量生産によるコストダウンが可能で、
販売価格の安いクオーツ時計に強みを発揮してきたこと、
逆に、
日本の時計メーカーは、職人芸的でデザイン性が高く、
高額な「高級時計」には、弱いことを意味しているわけです。
(もちろん、高級時計で強いのはスイス。
販売金額ベースで7割のシェアを持っています。)
そして今、正確無比で安い時計の市場は縮小し、
ファッション性の高い高級腕時計の市場が拡大しつつある。
要するに、時計の分野では、
「見える次元」での競争は限界に到達してしまったわけです。
「精度」(実時間との誤差の発生度合い)といった、
時計の「良し悪し」がわかりやすい性能の軸では、
電波時計のように、誤差=0の時計が登場してますから。
このため、現代の消費者は、
デザイン性やファッション性、ブランドイメージ
をより重視して腕時計を選ぶようになってきました。
しかも、ケータイのおかげで、極論、精度はあまり高くなくても
良くなった。
日本のメーカーが得意な「見える次元」での競争はもはや終結し、
デザイン性などの、良し悪しを一概に決めることのできない
「見えない次元」への競争へと戦場が移ってしまったんですね。
さて、時計業界のこの象徴的的な現象は、他の様々な産業分野でも
起こりつつあるわけですが、では、企業がこうした環境変化に
生き残っていくために重要なことはなんでしょうか?
コンセプト的に言い切ればこうなります。
「プロダクティビティ」(生産性)
から
「クリエイティビティ」(創造性)
へと舵を切れ!
投稿者 松尾 順 : 2006年07月18日 12:04
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