エロ本と同じくらい買うのが恥ずかしかったもの
ここで私のちょっとした秘密を明らかにします。
(「秘密」というほどたいしたことはなくて、
実は、書くのが恥ずかしいだけなんですけど・・・)
私は甘いものが好きで、
毎日のように「シュークリーム」や「大福」、「アイスクリーム」
などを近くのコンビニ(サンクス)で買っています。
また、別のコンビニ(AM/PM)では、しばしば
ソフトクリームをレジで頼んで買います。
「コーン」を指定して。
これだから、ダイエットも続けなきゃいかんのですが・・・(笑)
さて、私と同じ年頃の甘いもの好きの貴方(男)、
そんな貴方なら身に覚えがあると思いますが、レジに並んでいる時、
「このシュークリームや大福は、子供に買ってきてと
頼まれたものなんですよ・・・」
と無意味な弁解を心の中でしていませんか。してますよね。
いい年をしたオヤジがシュークリーム食べんのかよ、
なんて若い店員に思われるのが恥ずかしい。
ですから、いかにも「これは私が食べるのではありません」
という顔つきをしたいわけですよね。
私はそうです。もちろんこの弁解は大ウソで、
事務所で一人密かに楽しんでいるんですが。
甘いもの系のお菓子は、固定観念として「女子供の食べ物」
というイメージを大方の男性(特に中高年)は持っています。
でも、やはり大人になっても好きなものは好き。
食べたいものは食べたい。
ですから、多少の恥ずかしさは我慢できます。
しかし、さすがにパッケージに幼児の絵が描かれた「ビスコ」
は買えません。心の中の弁解も通用しないんですね。
さて、こんな男性の隠されたニーズを掴んだのが、
「オフィスグリコ」でした。
これまでも何度か取り上げてきてますが、
「オフィスグリコ」は、富山の置き薬方式の職域お菓子販売です。
手で抱えられるくらいの小さめのプラスチックボックスに
お菓子が入れてあります。お菓子が欲しい人は、
100円玉をカエルの貯金箱のようなものに自分で投入し、
好きなお菓子を取り出す仕組みです。
このビジネスモデルでは、
お菓子の補充や代金の回収はすべて人手でやっていいます。
大変な労働集約型業務ですので事業開始時は採算性が疑問視
されましたが、やはり
「規模の経済」
の考え方が通用したようです。
現在、事務所に置かれているボックス総数は、
69000台(2006年3月松)です。年商約20億円。
ここまで台数が出ると、
1ボックスあたり1日100円(お菓子1個分)の売上げ
で採算が合うそうです。
グリコの「置き薬」ならぬ「置き菓子」は
なんとも原始的な販売方法ですが、
結構すごいですよね。
実は、このオフィスグリコ、当初のターゲットは
「OL」
でした。
グリコでは、
「男性より女性の方が、お菓子が好きなはず」
という常識(実は検証されていない「仮説」に過ぎない)
をベースにビジネスモデルを考え、事業展開したわけです。
ところがいざフタを開けてみると、購入者の70%が
男性。しかもそのコア層は30-40歳だったそうです。
彼らは、いままでコンビニではエロ本を買うくらい
お菓子を買うのは恥ずかしかったのです。
一方、事務所では空腹を我慢しながら
残業を続けていることが多い。
そこに、「オフィスグリコ」は救世主のように登場した。
(オオゲサですが)
これなら、大好きな「ビスコ」だって、こっそり買える!
家で食べたら、カミサンや子供に笑われてしまうけど、
自分のデスクならそんな心配もない。ちょっと空腹を
満たすという正当な理由がある。
要するに、「オフィスグリコ」は、
残業続きの男性社員の心を掴んだのです。
グリコさん側としては意図せざる結果でしたが。
よく、
「恥ずかしい系商品」
の典型として、エロ本などのセックス関連商品や
「ズラ」などが取り上げられますよね。
でも、ユーザーの属性や状況によっては、
「お菓子」
でさえ恥ずかしいものになりうるという点は、
マーケティングのヒントになりそうじゃありませんか?
*今回の内容は、I.M Press 2006-7の記事を参考にしました。
投稿者 松尾 順 : 2006年07月04日 11:04
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コメント
男性も実はお菓子好き、という説に異論はまったくないのですが、
オフィスグリコの利用者で男性が多いというのは、単に男性との総コンタクト時間が多いから、ということではないんでしょうか。(元ネタみてないのでわからないんですが)
そもそも男性社員の人数が多いとか、男性の方がよく残業しがちだ、とか。
あと思い出したのは、以前にテレビで、楽天のスイーツお取り寄せの40%は男性だ、というのをやっていました。
ただ、これもダンナの名前でIDを取っていたり、ダンナのカードを使っていたり、ダンナはいなくとも安全のために男性に偽装していたりするので、そのまま鵜呑みにするのはどうかなと思いました。
ちなみに私は、シュークリームもアイスクリームもプリンも買うのにまったく抵抗ないです。プリンダイスキ!
(頻度はそんなに高くないと思いますけど)
投稿者 菅原 : 2006年07月04日 14:23
菅原さん、まいど!
男性との総コンタクト時間が多いから、オフィスグリコの利用者における男性の比率が高くなるのは確かにそうだと思います。
ただ、それ以前に、オフィスグリコによって、眠っていた男性のお菓子購買意欲が喚起されたことがポイントでしょう。
菅原さんや私のようによっぽど甘いものが好きなら別ですが、そうでない男性はわざわざお菓子を買ってストックしておくことはしないと思います。
でも、オフィスグリコはいつも手の届くところにあって、目立たずに買える。このおかげで、再びお菓子に目覚めさせられた男性が増えた。
そうなると、事務所での絶対数の多い男性の消費量が女性を
圧倒することになりますよね。
なお、プリンもよく買います。(笑)
私のコンビニで買う甘いものトップスリーは、シュークリーム、大福、プリンです。
なお、オフィスグリコは事務所にはあえて置いていません。
まず確実にいまの5倍くらいお菓子を食べてしまいそうだからです。(⌒o⌒;
投稿者 松尾 順 : 2006年07月06日 12:36
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