「e託販売サービス」は何の前兆か?

アマゾンユーザーの方はお気づきかも知れませんが、

「e託販売サービス」

が開始されてます。


これは「委託販売」のオンライン版。

委託販売は、リアル版だと、
古着のリサイクルショップが典型的ですね。

リサイクルショップでは、通常、売主が持ち込んだ古着を
一定期間店頭に陳列します。そして、売れた分だけ、
委託手数料を差し引いた売上を売主渡します。
売れなかった分は売主に戻すので、店舗側は
在庫費用を負担するだけで済みます。


アマゾンでも同様に、インディーズCDや自主出版物など、
あまり大きな売上は望めない、いわゆる「ロングテール商品」
を委託販売していこうというわけです。

「ロングテール商品」とは、大手の卸やリアル小売店構成される
従来の販路(チャネル)では、仕入・在庫コストと比較して、
たいした収益が望めないのでなかなか扱ってくれなかった、
ニッチな商品のこと。

巨大な顧客ベースを抱えて圧倒的な販売力を誇るアマゾンが
委託販売をやってくれるのは、
「販路開拓」が最大のボトルネックとなっていた「ニッチ商品」
にとって大きなチャンスになりますよね。

「e託販売サービス」の場合、売上額の6割を売主に還元する
ということですから、委託手数料は4割ということになります。


さて、このサービスは、出版業界、特に卸会社には結構な波紋を
投げかけているようです。

元々自分たちはあまり扱いたくなかった商品とはいえ、
中間業者の卸を中抜きして直接小売店と取引するという動き
だからです。


実は、出版業界は、実質的には委託販売型。
本屋で売れなかった本の大半は、出版元にあっけなく返品
されてしまう。

なので、アマゾンのような巨大小売店が在庫管理と販売を
やってくれるなら、出版社としては「卸」を通す意義が
なくなってしまうわけですね。


今回の動き、
今はダムの壁にあいた小さな穴に過ぎないように見えますが、
本格的なミドルマン淘汰への前兆なのかもしれません。

投稿者 松尾 順 : 2006年06月15日 10:52

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コメント

松尾さんこんにちは。
僕が中学生の頃(なのでかなり前(笑)、リサイクルショップなどというものがない時代から、駅前のレコード・ショップでは「委託販売」を行っていました。確かな数字は忘れましたが、多分売り上げの10%程度の委託手数料でした。通常に販売している商品とダブル場合もありましたが、店主は気にせず。でした。要するにそれでの収益ではなく“人集め”または“お客さんへのサービス”だったんだと思います。
さて、
「e託販売サービス」の場合は委託手数料は4割ということですから、アマゾンとしても大きな収益につながると思いますが、例えば、インディーズCDの場合、全国の有名レコード店に並べるためには中間業者に約5割渡さなくてはなりません。なので一瞬「4割もとるのか」と思いましたが、妥当なラインなんでしょうね。
乱文にて。

投稿者 Chrosawa : 2006年06月16日 12:04

Chrosawaさん、コメントありがとうございました。

駅前のレコードショップとアマゾンの決定的違いは、
抱えている顧客数の数ですよね。

どんなマイナーな商品だって、アマゾンならそこそこ売れそうですよね。委託手数料も悪くないんですね。というか中間業者を意識した料率でしょう!

投稿者 松尾順 : 2006年06月16日 13:04

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