消えないウワサ

人のうわさ、つまり口コミはネットによってとんでもない
速さで伝わるようになりましたよね。

良いウワサなら歓迎ですが、悪いウワサが広がると、
最悪の場合、企業の息の根を止めてしまう可能性さえあります。


さて、従来の口コミとネット口コミの決定的な違いは、
おわかりですよね。

それは、従来の口コミは「揮発性」が高く、
ネット口コミは、「揮発性」が低いということです。


従来の口コミは文字通り口伝えでした。

つまり伝えたい情報は、言葉として発声され、
すぐに消えてしまう。(=揮発性が高い)

情報が瞬時に消えてしまうからこそ、
最初の人と最後の人で内容がまるで違ってしまう「伝言ゲーム」
が面白いわけです。


ところが、ネット口コミは、その大半が掲示板やブログなど、
文字データとして発信され伝わっていきます。

すると、良い内容であれ、悪い内容であれ、
長くオンライン上に閲覧可能な状態で残ったままに
なりますよね。(=揮発性が低い)


つまり、昔の口コミと違って、
人のウワサがオンライン上では消えてしまわない。
「人のウワサは75日」ということわざは、もはや成立しない
世の中になったんじゃないかなと思います。

もちろん、どんな出来事でも、時を経つにつれ人々の関心は
薄れていくことには変りありません。

でも、ネットで軽く検索しただけで、当時の情報がいくらでも
出てくる。出来事の記憶がリフレッシュされてしまう。
「忘れ去られてしまう」ことがなくなったといえるわけです。


これ、いい情報ならともかく、
悪い情報の場合だと、大変困ったことなんですよ。


以前、Googleで温泉宿を探していた時のことなんですが、
ある旅館で食中毒を起こしていたという情報が
引っかかってきました。

ニュース記事ではなく、地元の人のWEB日記に書かれていた
情報です。ただ、その食中毒事件は5年も前のことした。


その旅館も、5年後の今は厨房施設を一新しているかも
しれませんし、衛生管理にもには気をつけていて特に
問題はないと思います。それでも、食中毒を起こした旅館と
いう情報を見たら、当方の希望にぴったりの旅館だったにも
関わらず、なんとなく予約する気がなくなりました。

これは、理屈では説明できない感情レベルの問題ですが、
多くの人が、同じような気持ちになるんじゃないでしょうか?


企業側としては、
起こしてしまった事件についての情報が流れるのを防ぐのは
できませんが、その後の対応についての情報や、
根も葉もないウワサ、風説の扱いには、細心の注意が必要
ということになりますね。

しかし、まだまだこのことがわかっていない企業が、
東横インやシンドラーエレベータをはじめとして、
たくさんあるようですけど・・・

投稿者 松尾 順 : 2006年06月12日 11:11

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